【金鯱賞】三冠牝馬デアリングタクト登場!データが導く逆転候補は?
勝木淳
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舞台・中京芝2000mの適性とは
かつてサイレンススズカが、圧倒的なパフォーマンスを披露した金鯱賞。その頃は初夏、ヤマカツエースがわずか4カ月間で連覇したのは暮れと春。その2勝目の2017年から大阪杯の前哨戦になった。
春に移ってわずか4年。舞台は同じであっても施行時期が変われば、傾向もまた変化する。そのためサンプル数が少なく、データとしての有効性を担保できない恐れがあるため、今回は中京芝2000mの傾向を探っていく。なおデータは改修後の2012年以降、古馬3勝クラス以上、計37レースを対象にする。
まず中京芝2000mは急坂の途中からスタート、1、2コーナーから向正面残り1000m標識付近までゆるやかにのぼり、そこから直線入り口まで一転してくだり、最後の急坂を迎えるというレイアウト。前半のぼり、後半くだり、最後に急坂とアップダウンへの適性が重視される。
そういった構造のため前半のペースは遅く、後半早めにペースがあがるラップになりやすい。裏を返せば、前半で先行馬がやり合い、厳しい流れになれば最後に追い込みが決まることもある。出走馬の顔ぶれから前半の流れを吟味する必要がある。
では具体的な傾向を。1番人気【12-4-5-16】勝率32.4%、複勝率56.8%は、同条件の1200m(勝率23.8%、複勝率50%)、1400m(勝率13.3%、複勝率53.3%)、1600m(勝率14.3%、複勝率50%)と比べると、かなり優秀。
ちなみに中京芝全体では勝率28.4%、複勝率52.1%である。デアリングタクトは安泰か。だが、2番人気【4-6-7-20】勝率10.8%、複勝率45.9%、3番人気【4-3-2-28】勝率10.8%、複勝率24.3%と2番人気以下は開きがある印象。上位人気で3着以内独占というケースは少ない。
三冠牝馬に立ちはだかるディープインパクト産駒
さらにここからは好走する馬の背景にある戦歴や血統についてみていこう。
種牡馬別成績着度数別トップ5をみると、1位はディープインパクト【11-12-7-48】勝率14.1%、複勝率38.5%。芝中距離戦でディープインパクトの牙城は崩せない。中京芝2000mは先述したように前半遅く、後半が速い舞台なので、ディープインパクトの長所をいかんなく発揮できる。
今年の金鯱賞ではギベオン、グローリーヴェイズ、サトノフラッグ、ポタジェがスタンバイ。であればここを掘り下げよう。なおデアリングタクトの父エピファネイアは初年度が4歳になったばかりなので、出走ゼロ(そもそも古馬オープンはアリストテレス、デアリングタクト、シーズンズギフトの3頭のみ)。
ディープインパクト産駒でどんな馬が好走したのか、前走位置取り別成績をみる。前走中団だった馬【2-7-3-17】、後方だった馬【2-0-1-16】だが、前走逃げ【1-2-0-0】、先行【6-2-1-13】で好成績。後半に強いディープインパクト産駒であっても、前走で前にいない馬は厳しそうだ。
サトノフラッグ(前走AJCC後方)やポタジェ(前走白富士S中団)よりグローリーヴェイズ(前走ジャパンC先行)、ギベオン(前走白富士S先行)を上位にとりたい。
一発狙うならば、距離短縮の先行馬
あまり父ディープインパクトについて触れると、デアリングタクトの分析ができなくなるので、ここからは前走距離について考えてみたい。
前走との距離を比較すると、同距離が【9-16-18-173】で不思議と勝ちきれない。成績がいいのは距離短縮、つまり前走2000mより長い距離を走った馬で【18-8-11-127】勝率11.0%、複勝率22.6%。前走がジャパンCだったデアリングタクトも該当するので、さらにみていく。
デアリングタクトが当てはまる2400mは【5-3-3-18】勝率17.2%、複勝率37.9%で勝率3位、複勝率でトップと申し分ない。同じレースに出走したグローリーヴェイズも忘れてはいけない。あとはジャパンCでの0.1差をどう考えるかだろう。
勝率で2400mを上回る2500m【6-0-3-22】勝率19.4%、複勝率29%はキセキが当てはまる。角居調教師から厩舎を引き継ぐ形になった辻野厩舎の転厩初戦、さてどんなレースをするだろうか。
勝率と複勝率どちらも優秀なのは先行【7-3-4-33】勝率14.9%、複勝率29.8%。グローリーヴェイズはこれにも該当する。デアリングタクトの中団は【6-3-4-51】勝率9.4%、複勝率20.3%。この数字をもって不安とはいえず、三冠牝馬には問題なさそうだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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