【中山記念】3連勝中のヒシイグアスには不安要素あり 「内」と「前」では決まらないレース

山崎エリカ

2021年中山記念PP指数インフォグラフィック

ⒸSPAIA

中山芝1800mはタフなコース

2回中山開幕週に行われる中山記念は、1回中山開催で8日間使用されたCコースからAコースに変更される。このためグリーンベルトが発生し、馬場が高速化することが多い。今回は金曜日の段階でクッション値12.1。これは昨秋の中山開催初日のクッション値11.2を上回る硬さで、超高速馬場が予想される。こうなると内枠の逃げ、先行馬を狙いたくなるが、案外とそう簡単でもないことも多い。これは中山芝1800m自体がタフなコースだからだろう。

特徴としては、最初の1角までの距離が約205mと短く、スタートしてすぐに急坂を上がって行くコースのため、前半のペースは遅くなる。しかし、上級条件、それもGⅠ馬や将来のGⅠ馬が集う中山記念ともなると、前が後続にまくられないように向正面の下り坂でスピードに乗せて動いて行くため、ラスト5F目からペースアップすることが多い。この早仕掛けがたたって前が失速し、外差しが決まることも少なくない。

今回は逃げ馬バビットに、テンの速いトーセンスーリヤ、パンサラッサ、ウインイクシードなど、前に行きたい馬がそれなりに出走している。内枠の逃げ、先行馬は有利ではあるものの、そこにこだわり過ぎないように、予想を組み立てたい。

能力値1〜5位は?

2021年中山記念PP指数インフォグラフィック


【能力値1位 ヒシイグアス】
2勝クラスから3連勝で中山金杯を制した上がり馬。ただし、近3走とも超絶スローペースで前有利の流れを、前目で流れに乗ったもの。中山金杯当日は、Cコース使用で外が伸びる馬場状態の中、好位の外でレースを運び、向正面で外からふたをされても動かずに脚をためたことで、最後にしっかりと前との差を詰めることができた。全てがかみ合っての優勝であり、自身の指数最高値を記録。ペースが速くなった場合や余力の面で不安がある。

【能力値2位 ケイデンスコール】
新潟2歳S優勝、NHKマイルC2着の実績馬。その後は低迷が続いていたが、2〜3走前に距離が短いレースを使われていたことで、前走の京都金杯ではレースの流れに乗ることができ、内枠を利して3〜4角で最短距離から位置を押し上げ優勝した。直線前半で進路を切り替えるロスはあったが、うまくいった感はある。今回は前走から1Fの延長となるが、前半であまり無理をせず、楽に位置を取るという意味ではこの距離の方がよさそう。再度の好走の可能性も否定できない。

【能力値3位 クラージュゲリエ】
2歳時に京都2歳Sを勝利し、3歳春のクラシック戦線では善戦した実績馬。その後は長期休養後の緒戦カシオペアSでは大敗したものの、次走アンドロメダSでクビ差の2着、前走の日経新春杯では、勝ち馬に2馬身離されたものの3着と善戦し、能力の高さを見せた。

前走はいつもよりも早めに動いたのもあったにせよ、ラスト100mで伸びを欠いたことから、芝2200mがベストとは言えない。ただ、芝2000m前後で後半に徹する競馬なら安定して走れるので、本命はともかく重い印は打ちたい一頭。

今回の穴馬はサンアップルトン

サンアップルトンは洋芝では2戦し、ともに7着に敗れているように、時計のかかる馬場が苦手。それだけに不良馬場の前走、AJCCは崩れても当然の条件だった。ましてスタミナが不足する休養明けで、馬体重12kg増となれば、なおさらだ。今回はひと叩きされての良化が見込める一戦。

また、同馬は中山芝1800mの新馬戦で4着に敗れて以来、芝2000m以上を使われ、前々走のアルゼンチン共和国杯でも3着と好走しているが、高速馬場の上がり勝負で結果を出しているので、本来は中距離がベストである可能性が高い。開幕週を意識して他が早仕掛けをする展開になれば、一気の瞬発力で逆転の可能性を秘める。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ヒシイグアスの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.9秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


《関連記事》
【中山記念】上位人気馬に死角アリ! 伏兵の激走も? 当日まで覚えておきたいデータとは
【阪急杯】インディチャンプ、レシステンシアが参戦 浮上する穴候補と覚えておきたいデータとは?
【中山記念】ハイブリッド式消去法で残ったのは1頭 本命候補は前走復活V飾った馬

おすすめ記事