【フェブラリーS】新星候補を本命に抜てき  主役不在の混戦を制する馬は?

東大ホースメンクラブ

フェブラリーS4角通過順位別成績 インフォグラフィックⒸSPAIA

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今年も差し決着か

2月21日(日)に東京競馬場で行われるフェブラリーS(GⅠ・ダート1600m)。2021年最初のGⅠレースに砂の実績馬16頭が集結した。

年に2回しかない中央のダートGⅠだが、昨年のチャンピオンズCを制したチュウワウィザードとGⅠ4勝馬クリソベリルがそれぞれ海外遠征と故障により不在。さらに長らくダート界を引っ張ってきたゴールドドリームは昨年で引退ということで、メンバー的には主役不在の混戦模様だ。

波乱含みの一戦で狙うべきは果たしてどの馬なのか、今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、過去10年の傾向を分析する。

フェブラリーSのタイムと4角通過順位(過去10年)ⒸSPAIA


一般に下級条件のダート中距離戦、マイル戦は隊列がすんなり決まって逃げ・先行馬がそのまま押し切るケースが多いが、OPや重賞となると先行馬が揃うことでペースが上がり、差し馬が台頭しやすい傾向にある。当然このレースも例外ではなく、過去10年で前半3Fが34秒台を記録した7レースにおいて、4角5番手以内から馬券になったのは13年エスポワールシチーと15年コパノリッキー、インカンテーションと2016年モーニンの4頭のみであった。

また2011年トランセンドと2019年インティが逃げ切っているが、いずれも前半3Fが35秒台後半の楽な展開に持ち込んでの勝利。展開に恵まれれば前残りの目もあるのだろうが、両レースとも追い込んだ2着馬の脚勢のほうが目立っていたことを思えば差し馬に分があるのは明らかだろう。

今年はGⅠを逃げ切った経験のあるインティとワイドファラオを筆頭に、サクセスエナジー、エアアルマスあるいはヘリオスなど、前に行きたい馬が例年以上に多いように見受けられる。これらの馬には揉まれたり自分のペースで行けなかったりすると崩れるタイプも多いだけに、馬券的には差し・追い込み勢を重視するのが最適だろう。

外枠有利のコースで

東京ダ1600m枠番別成績(過去5年)ⒸSPAIA


東京ダート1600mは芝発走の特殊なコース形態による影響が非常に大きいコースとしても知られ、過去5年の枠番別成績によれば芝を走る距離が長い外枠の成績が非常に優秀。1枠と8枠で複勝率が10ポイント以上も異なっていることからも、「外枠有利・内枠不利」の傾向が強いのが見て取れる。

東京ダ1600m上級戦・枠順×脚質(過去5年)ⒸSPAIA


これらのレースのうちOP特別と重賞に限って脚質との関連も確認してみると、7~8枠で4角5番手以内を確保した外枠先行勢が特に好調なことがわかる。

一方で外枠から控えた馬はむしろ低調であり、テンの速さが発揮できなければ枠の利はあまり生かせないと考えるべきだろう。真ん中から内目の枠に入った差し馬を中心視しつつも、外枠の先行勢も馬券的にはケアしておく必要がありそうだ。

新星誕生なるか

本命にはソリストサンダーを推す。条件戦を走っていたころは勝負所でモタついて取りこぼす場面も多かったが、2走前の武蔵野Sで11番人気2着と穴を空け、前走の門司Sでは4角先頭から一度は並びかけられるも差し返して0秒2差の完勝。6歳でついに本格化を迎えたといっていいだろう。近走のパフォーマンスから考えると流れが速くなるほど良さが発揮されるタイプのように見受けられ、広くて直線の長い府中もプラス。未対戦の一線級が相手でも十分に戦えるはずだ。

対抗にサンライズノヴァ。チャンピオンズCはいつも通り後ろから運ぶも差を詰められないまま12着と大敗。やはり距離が長かったという感じの負け方であり、仕切り直しの一戦としては今回がベストな条件だろう。前走から間隔を十分にとってレースに臨めるのも好材料であるし、3着に終わった昨年の雪辱も十分に期待できるだろう。

3番手にワンダーリーデル。極端な追い込み脚質のためどうしても波はあるタイプだが、道中最後方から2着に食い込んだ前走のようにハマった時の脚は魅力的。相手はGⅠ相応に強化されるが、展開の助けも期待できそうでここでもチャンスはあるだろう。もともと叩き良化型と見られていた馬が久々で結果を出したため評価が割れるところかもしれないが、さらなる上がり目もあるならば怖い一頭だ。

4番手にはオーヴェルニュ。リステッドを2連勝して臨んだ前走の東海Sでは、先行争いの2頭を前に行かせる直線で抜け出す好内容。短縮も向きそうで、内の速い馬たちを行かせつつうまく立ち回れればチャンスはありそうだ。

以下、相手にはカフェファラオ、レッドルゼル、エアスピネルの差し・追い込み馬と、根岸Sで斤量59kgながら4着に健闘したアルクトスまで押さえておくことにする。

▽フェブラリーS予想▽
◎ソリストサンダー
○サンライズノヴァ
▲ワンダーリーデル
△オーヴェルニュ
×カフェファラオ
×レッドルゼル
×エアスピネル
×アルクトス

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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