【フェブラリーS】前走は負けて強し あらゆる好走条件が揃った本命馬とは?

京都大学競馬研究会

ダート1600m以上の勝利経験別成績(過去10年)インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

前走GⅠ組は好走するが勝ち切れない

2月21日(日)に東京競馬場で行われるフェブラリーS(GⅠ・ダート1600m)。ダート中距離戦線は、オメガパフューム、クリソベリル、チュウワウィザードの3頭が抜けているが、マイル路線は古豪から新興勢力まで多彩で混沌としている。

今回は、明け4歳馬のカフェファラオや短距離戦線から臨んできたレッドルゼルなどが参戦し大混戦だ。2021年のGⅠ初戦、しっかりと予想を的中させて好スタートを切りたいところだ。

フェブラリーS好走馬の前走(斤量)ⒸSPAIA


まずはフェブラリーSの傾向について、過去10年さかのぼってみていく。フェブラリーSで3着以内に好走した述べ30頭のうち、16頭は前走GⅠ(交流GⅠを含む)に出走していた。つまり好走馬の半数以上は前走GⅠ組から出ているのだが、着順の内訳は1着が2頭、2着が7頭、3着が6頭となっており、意外と勝ち切れていない。

逆に勝ち切っている点で注目したいのは、ステップレースで57キロ以上を背負った馬だ。過去10年の勝ち馬のうち根岸Sまたは東海Sを使ってきた馬は7頭いたが、そのうち4頭は58キロを背負っており、57キロであった馬も1頭いた。ステップレースで斤量を背負わされるような実績馬が、前哨戦を叩いて本番に照準を合わせてきたのなら要注意だ。

ダート1600m以上で勝利経験がないと厳しい

次に過去10年の出走馬について、距離適性を見ていく。フェブラリーSはワンターンの1600mで行われるため、本来は1400mや1800mが適性距離である馬も集まりやすい。特に1400m以下が適性距離である馬にとっては目指せる大舞台が少ないため、多少距離の壁があったとしてもこの舞台を目指してくることが多い。そこで、過去10年のフェブラリーSにおいて、ダート1600m以上での勝利経験の有無別で成績を調べてみた。

ただし、以下のデータについては、中央競馬と地方競馬ではコース形態などが大きく異なることを考慮し、距離経験の対象は中央競馬のみであり地方所属馬は含んでいない。

ダート1600m以上の勝利経験別成績(過去10年)インフォグラフィックⒸSPAIA


勝利経験のあった馬の成績は【9-9-9-85】、無かった馬の成績は【1-0-1-35】で圧倒的に勝利経験のある馬の方が好成績だ(※2着馬の数の合計が10にならないのは、2010年2着のフリオーソが地方所属馬のため)。

ダート1600m以上での勝利経験がない馬で3着内に入ったのは、2020年のモズアスコットと2017年のカフジテイクであるが、前者はフェブラリーSがダート2戦目であったことに加え、初戦の根岸Sを完勝しており非常に特殊なケース。

後者も前年の武蔵野S3着で1600mに目処を立てており、東京コースも得意であるなど条件は悪くなかった。これらのことを踏まえると、余程特別な理由がない限り1600m以上での勝利経験がない馬は手を出しづらいと言えるだろう。レッドルゼルにとっては嫌なデータだ。

すべての条件が揃ったアルクトス

以上のような傾向を踏まえて、本命はアルクトスとする。前走の根岸Sでは先行勢が崩れる中、59キロの斤量を背負いながらも0.2秒差の4着。その上、直線入り口では前が詰まって追いだしが遅れる不利もあった。

ダート1600mでは【5-1-0-2】と非常に安定した成績で、掲示板を外したのは去年のフェブラリーSのみ。同レースは、完全な前崩れの流れであった上に、慣れない逃げの形になったため度外視できる。叩いた上積みは大きく、陣営のコメントもかなり強気。コース適性、臨戦過程、状態と全ての条件が揃った今回は大チャンスだ。

対抗はサンライズノヴァ。前走のチャンピオンズカップは12着と大敗しているが、1800mはこの馬にとって長いので参考外。東京のダートなら常に安定した成績を残しており、このコース替わりは大歓迎だ。明け7歳と古豪の域に入ってきたが、昨年も重賞を2勝しておりまだまだ衰えてはいない。昨年の3着馬でもありこのコースなら大崩れはないとみて重い印を打ちたい。

3番手にオーヴェルニュ。前走の東海Sはかなりタイトな流れの中、3角過ぎから早めに並びかけてそのまま押し切る強い内容。もっか3連勝中だが、近走は1周コースの競馬しかしておらず、ワンターンの競馬はかなり久々であること、どちらかと言えば不良や重など脚抜きの良い馬場の方が合っていることなど不安要素もあるので3番手評価とした。

4番手にカフェファラオ。昨年のユニコーンSは好位追走から楽に抜け出し独走するという、重賞とは思えないほどの楽勝で力の差を見せつけた。潜在能力は非常に高く、力を発揮することができれば十分ここでも勝ち負けのレベルにある。ただ、昨年のJDDのように気性などの影響で力を発揮できないこともあり安定感に欠けるのが難点だ。東京1600mはおそらく最適な舞台で、ハマれば圧勝してもおかしくないが、もろい面もある。

5番手にワンダーリーデル。前走の根岸Sは展開に恵まれたとはいえ、後方から鋭い末脚を繰り出して2着。昨年のフェブラリーSでは4着に好走しており、東京コースでは常に警戒が必要な馬。そのうえ今回は叩き2走目でさらなる上積みが見込める。まだギリギリ人気しない範囲で買えるとみて、展開次第なのは百も承知で買い目に加えたい。

穴馬としてはエアスピネルとソリストサンダーを挙げる。前者は昨年夏にダート転向してから4戦して重賞で2着と3着が1度ずつと、インパクトは薄めだが確実に結果を出している。ダート1600m以上の勝利歴はないが、ダート歴が短くマイル重賞でも好走しているので大丈夫だとみる。

後者はここ2戦の内容がよく、特に前走は58キロを背負いながら、ハイペースを早め先頭で押し切っており力をつけている。ゴール前の差し返しも相手が止まったわけではなく自身が伸びてのものなので、穴人気しそうだが抑えておきたい。

レッドルゼルは距離延長がネック。前走の根岸Sもしっかり我慢させて何とか距離を持たせている印象。また1600m以上での勝利経験がないどころか出走自体が初めてで、GⅠの厳しいレースでは距離の壁が立ちはだかるとみて今回は軽視したい。(文:川崎)

【フェブラリーS予想印】
◎アルクトス
○サンライズノヴァ
▲オーヴェルニュ
△カフェファラオ
×ワンダーリーデル
☆エアスピネル
☆ソリストサンダー
消レッドルゼル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。

《関連記事》
【フェブラリーS】ワンダーリーデルはキケン  激走ゾーンにハマった穴馬候補とは
【フェブラリーS】今年の上位3頭は侮れない 前後半ラップ差で探る根岸ステークス組の狙い馬
【フェブラリーS】好データは「5歳」「500キロ以上」「前走1着」など 今年の該当馬は?

おすすめ記事