【フェブラリーS】横山典弘騎手の単回収率200%超え 東大HCが東京ダ1600mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

東京ダート1600mデータⒸSPAIA

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東京ダ1600mの概要

今週は東京ダート1600mを舞台にJRAの春のダート王決定戦、フェブラリーSが行われる。国内無敵を誇っていたクリソベリル、同馬に昨年のチャンピオンズCで土を付けたチュウワウィザードなどを欠いた混戦模様の中、明け4歳の筆頭格カフェファラオ、根岸Sを快勝したレッドルゼル、昨年のマイルCS南部杯で日本レコードを樹立したアルクトスなどが今年最初のGⅠタイトルを争う。

当該コースが舞台の重賞は3レース。グレード順に今週のGⅠフェブラリーS、GⅢは3歳限定戦のユニコーンS、チャンピオンズCの前哨戦である武蔵野Sが行われる。コースの特徴を過去のデータから分析していこう(使用するデータは2016年2月20日〜2020年2月16日)。

まずはコース紹介。ダートのチャンピオンコースでありながら2コーナー奥の芝をスタートし、そのまま150mほど芝を走る。コースレイアウト上、内枠に比べて外枠の馬のほうが芝を走る距離が長く、スピードに乗りやすい。向正面を上って3コーナーで緩やかに下り、4コーナーからダートコースでは日本一長い500mを超える直線を走り抜ける。大箱を生かしたワンターンの形態だ。

カネヒキリでも勝てなかった1枠

東京ダ1600m・過去5年の枠別成績ⒸSPAIA


芝スタートという特殊なコース形態とあって、長い距離芝を走行できる外枠が圧倒的に有利。単勝回収率でも1枠:45%、8枠:95%と歴然とした差がついており、昨年も8枠15番ケイティブレイブがしんがり人気ながら2着に食い込んだ。

対照的にGⅠに格上げされて以降のフェブラリーSを1枠から勝ったのは2013年のグレープブランデーただ1頭で、過去10年では【1-0-0-18】と他に好走例すらない。2009年は名馬カネヒキリですら1番人気ながら8枠15番のサクセスブロッケン・7枠14番カジノドライヴの後塵を拝す3着に敗れており、白帽の行方次第で馬券戦略が大きく変わるレースといっていい。

東京ダ1600m・過去5年の脚質別成績ⒸSPAIA


脚質別成績では先行が最も有利で、僅差で逃げが続く。回収率も同様だ。ただフェブラリーSは毎年のように差し馬が刺さっており、過去10年のフェブラリーSで上がり最速をマークした馬は【2-5-3-2】複勝率83.3%と高水準。

勝ち切るケースは少ないものの2・3着を多く確保しており、後方待機の切れ味自慢に席がひとつはあるイメージで予想を組み立てたい。

フェブラリーSといえばゴールドアリュール

東京ダ1600m・過去5年の種牡馬別成績ⒸSPAIA


同コースに出走の多い種牡馬で複勝率が高いのはヘニーヒューズ。100回以上の出走機会があった種牡馬の中では勝率・連対率・複勝率全てトップに君臨している。とはいえ下級条件を中心としてのもので、重賞となると数字上は荷が重そう。同コースのユニコーンSを制しているワイドファラオが角居調教師の花道を飾れるか。

どのコースでも堅実に結果を出している大種牡馬キングカメハメハも複勝率3割超え。過去10年のフェブラリーSには3頭の産駒が出走し、2019年3着のユラノトをはじめ全頭が掲示板を確保した。これまた同コースの武蔵野Sで3着の実績がある古豪エアスピネルにも注意を払いたい。

またフェブラリーSといえばゴールドアリュールで、複数回の馬券圏内があるコパノリッキーやゴールドドリームをはじめとして好走例は枚挙にいとまがない。今年唯一の該当馬であるサンライズノヴァが悲願の中央GⅠタイトルを狙う。

東京ダ1600m・過去5年の騎手別成績ⒸSPAIA


騎手別成績ではやはりルメール騎手が他を引き離している。この騎手を差し馬に乗せればもはや敵なしで、上がり3ハロン2位以内に限定すれば【46-15-9-1】複勝率98.6%。約4年にわたって脚を余しての着外がないという恐ろしいデータがある。フェブラリーSではカフェファラオに騎乗するが、同馬を管理する堀宣行調教師の管理馬でも【4-1-0-1】と堅実で、外枠を引きさえすればまず崩れないだろう。

お膝元の府中では戸崎圭太騎手も黙っていない。前走から継続騎乗の場合では【28-20-11-49】複勝率54.6%とルメール騎手の全体成績を上回っている。お手馬がいるレースでは3連複の軸に最適だ。馬券妙味を追求するなら横山典弘騎手で、人気薄を頭まで持ってくることから全体の単勝回収率が200%を超えている。

昨年の5月からは【8-7-1-16】複勝率50.0%・単勝回収率300%とまさに絶好調。しまいは確実に脚を使うワンダーリーデルには展開も鞍上もこれ以上ない条件が整った。

とにかく勝ち切る堀宣行

東京ダ1600m・過去5年の調教師別成績ⒸSPAIA


調教師別成績では自然と出走回数が多くなる関東のトレーナーをピックアップ。地方転入前のノンコノユメなどを管理した加藤征弘調教師が安定している。出走回数は田村康仁調教師に次ぐ2位につけながら複勝率トップという点が素晴らしい。確実性に加え、150%を超える単勝回収率とくれば買わない手はない。残念ながら管理馬デュードヴァンは除外となったが、普段から覚えておきたいデータだ。

カフェファラオを手がける堀宣行調教師は22回の馬券圏内のうち17勝を挙げる勝ちっぷりが魅力。1番人気に限定すれば【10-2-1-3】と凄みが増す。前述したとおりルメール騎手との相性が良く、本命党の方には頼りになるだろう。アルクトスで一年越しのフェブラリーS制覇をもくろむ栗田徹調教師も3頭に1頭以上が馬券になっている計算で、東京ダート1600mを最も得意とする同馬にも追い風だ。



《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

東京ダート1600mデータⒸSPAIA

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