【共同通信杯】折り合い次第で一発も  変わり身が期待できる穴馬とは

東大ホースメンクラブ

共同通信杯 「人気」×「4角位置」別成績インフォグラフィックⒸSPAIA

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クラシックへの登竜門

2月14日(日)に東京競馬場で行われる共同通信杯(GⅢ・芝1800m)。後の活躍馬を多数輩出してきたクラシックへの登竜門に精鋭12頭が集結した。実績ではサウジアラビアRCを勝利し朝日杯FSでも2着に好走したステラヴェローチェが抜けているが、皐月賞馬アルアインの全弟シャフリヤールを筆頭に、前走新馬勝ちの素質馬たちにも注目が集まるところ。

頭数こそ手ごろに収まったが、力関係がはっきりしていない馬が多いという意味では難解な一戦だろう。ここで狙うべきは果たしてどの馬なのか、今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、過去10年の傾向を分析する。

共同通信杯 タイムと4角通過順位(過去10年)ⒸSPAIA


ここ2年連続で出走馬が10頭を割るなど頭数が揃いにくいレースであり、まさに少数精鋭の言葉がふさわしい一戦。そのせいもあってペースが落ち着きやすく、2018年エイムアンドエンド(10番人気3着)や2013年マイネルストラーノ(9番人気3着)など人気薄の粘りこみの例もある。極端なスローなら前残りにも注意すべきだろう。

今回は典型的な逃げ馬不在のメンバー構成。唯一ステラヴェローチェだけが逃げた経験の持ち主だが、近2走を見る限り先手を取りに行くとはやはり考えにくい。となればタイソウあたりがハナを主張するか。いずれにしてもかなりのスローペースが濃厚であり、場合によっては例年以上に前目の位置取りを重視する必要があると思われる。

地力勝負?

広いコースかつ少頭数という条件のため、紛れは少ないようにも思われるが、過去10年で単勝1倍台の馬は6頭出走して【0-3-0-3】と勝ち切れていない。2着に入ったアドマイヤマーズ、ドゥラメンテ、ディープブリランテが後にGⅠを勝つことを思えば、地力のある馬でもしばしば足元をすくわれるレースと捉えるべきだろう。

共同通信杯 人気×4角位置別成績(過去10年)ⒸSPAIA


さらに3番人気以内の馬に注目すると、4角4番手以内と5番手以下で連対率・複勝率ともに30ポイントもの差がついており、位置取りによって明暗がはっきり分かれている格好だ。

直線が長い府中ではあるが、テンの利かない馬を過信するのはやはり避けるべきということだろう。また伏兵サイドでも、位置さえ取れれば圏内に来ていることから、テンの速さがありつつ上がり勝負にも対応できそうな穴馬を狙ってみたい。

素質馬を差し置いて

伏兵のカイザーノヴァから一発を狙いたい。前走の朝日杯は後方で折り合いに徹する競馬で、最後は上がり最速の脚で8着まで食い込む競馬。マイルより長い距離は適性外でないかという懸念が拭えたわけではないが、まだまだ奥がある内容と言うべきだろう。少なくとも前走より位置は楽に取れそうだし、モーリス産駒は芝の距離延長で複回収率101%を記録しているのも強調材料。うまく折り合いさえつけばチャンスはあるはずだ。

対抗にステラヴェローチェ。不良馬場のサウジアラビアRCを制したのち、朝日杯FSでも2着に好走。GⅠタイトルこそ逃したが、高速決着にもきっちり対応できた点は大きな収穫だろう。距離は伸びても問題はなさそうで、春始動戦の今回も不安はない。とはいえ、唯一の斤量57kgという条件を考えれば頭で信頼できるとは言いにくいところではある。

3番手にディオスバリエンテ。新馬戦で2着に下したボーデンが未勝利戦を好時計で勝利し、さらにその3着馬も次走で勝ち上がっていることから、力の裏付けは十分にあるとみる。管理する堀宣行調教師も過去10年で【0-3-1-2】と結果を残してきた得意なレースであり、期待は持てそうだ。

4番手にエフフォーリア。百日草特別ではスタートでモタれる格好となったが、経験のなかった府中での末脚勝負にもキッチリ対応して完勝。速い上がりが求められる今回の条件でも問題はないだろう。距離適性という点では2000m以上の方が向いている感もあるが、地力で十分通用するとみる。

以下、シャフリヤールとキングストンボーイの2頭に加え、穴で先行力のあるタイソウを挙げておきたい。京成杯こそ圏外に敗れはしたが、もともと飛びが大きい馬で府中に変わって見直す余地はあると思われる。

▽共同通信杯予想▽
◎カイザーノヴァ
○ステラヴェローチェ
▲ディオスバリエンテ
△エフフォーリア
×シャフリヤール
×キングストンボーイ
☆タイソウ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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