【東京新聞杯】「差し・追込馬」が大活躍 府中変わりで浮上する末脚自慢の馬とは

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良馬場で上がり必須
2月7日(日)に東京競馬場で行われる東京新聞杯(GⅢ・芝1600m)。春に向けて飛躍を誓う16頭が、伝統のマイル重賞に顔をそろえた。
下馬評ではマイルCSで6着と健闘したヴァンドギャルドや昨年2着のシャドウディーヴァ、ルメール騎手鞍上の4歳馬トリプルエースあたりが人気を集めているようだが、過去10年で1番人気は1度しか連対できておらず、なかなかひと筋縄ではいかないレース。
信頼できるのはどの馬なのか、また穴馬の台頭はあるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、過去10年の傾向を分析する。

2016、2017年と連続で超スローペースに落とした逃げ馬がそのまま押し切るというケースも見られたレースだが、基本的には平均からスローで流れている。特に良馬場で施行された8レースに限定すると、馬券になった24頭中22頭が32~33秒台の上がりを使っており、ペースの如何を問わず切れる脚が求められる一戦といえそうだ。
近年の府中の典型的な高速馬場ではインの前目で運んだ馬が有利なことが多い。しかしこのレースに限ってみれば10レース中5レースで4角10番手以下だった馬が連対を果たしており、そこまでポジションにこだわる必要はなさそう。穴サイドに目を向けるならば、とにかく速い上がりを使える馬をピックアップしたいところだ。
枠にはこだわらず

続いて枠番別成績をチェックしよう。府中マイルは基本的にフェアなコースであり大きなバイアスはないのだが、複勝率では外の8枠が24.2%で成績の上ではやや抜けており、比較的に外目が安定している。この傾向は良馬場のレースに限定しても、さらに16頭以上の多頭数に限定しても同様であった。
もともと3コーナーまで距離があるためロスは小さく、外目でスムーズに運べる利点が大きいのかもしれない。先週も開幕週の馬場にしては外差しがよく決まっており、内目にこだわる必要はないだろう。
今回のメンバーでは、エントシャイデンあるいはダイワキャグニーが逃げ候補。とはいえ前者は京都金杯の前まで差しを基本スタイルとしていたし、後者も比較的に長いところを使われておりマイルは久々の参戦。前が厳しくなるほどペースは上がらないと考えて、スローの前残りにも注意して馬券を組み立てたい。
府中で末脚炸裂
本命にはサトノウィザードを推奨する。スタートで遅れて直線だけで追い込むこの馬のレーススタイルには毎度ヒヤヒヤさせられるが、昇級戦の前走でも中山マイルの大外で出遅れながら直線だけで4着まで押し上げており、末脚はすでに重賞級。直線の長い舞台の方が向くのは明らかで、舞台変わりも好材料だ。本来ならスムーズに運べる外目の枠が欲しかったところだが、直線で進路さえ見つかれば突き抜ける場面もあるはずだ。
対抗にヴァンドギャルド。以前まではスタートに難があるタイプだったが近走はまずまず安定したレース運びができているうえ、昨年を通して戦ってきた相手を考えれば地力は上位。昨年も休み明けの富士Sで高いパフォーマンスを見せており、やや間隔が空いた今回も不安はないだろう。枠順的にもスムーズに運べそうなので、信頼度は高いとみる。
3番手にシャドウディーヴァ。前走のエリザベス女王杯は3角から4角にかけてペースアップしたところで位置を下げてしまい、じわじわと伸びて8着までという結果。もともと大箱向きのタイプであり、阪神内回りは向かない条件ではあった。その割には健闘したといえるだろう。府中では不良馬場のエプソムCとGⅠを除いて崩れておらず、昨年に引き続いての好走に期待したい。
4番手にエントシャイデン。前走は思い切った脚質転換がハマった面も大きかっただけに過大評価はしたくないところではある。ただし、絶対にハナを取りたいという馬もいないため、スローに落とせば前走の再現も大いにありうるだろう。もちろん前に行かずとも末脚を生かす競馬ができるタイプでもあるので、軽視はできない。
以下、相手には京都金杯で展開と不利に泣いたトリプルエースとロードマイウェイの2頭と、前走で先行策が裏目に出てしまったカテドラルを狙いたい。
▽東京新聞杯予想▽
◎サトノウィザード
○ヴァンドギャルド
▲シャドウディーヴァ
△エントシャイデン
×トリプルエース
×ロードマイウェイ
×カテドラル
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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