【東京新聞杯】ヴァンドギャルドは3番手まで 条件好転で巻き返しが期待できる馬とは?

三木俊幸

2021年東京新聞杯馬場適性チャートⒸSPAIA

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1800mの未勝利戦で1:45.2

過去10年の東京新聞杯(GⅢ・芝1600m)優勝馬の顔ぶれを見ると、後に年度代表馬にも輝いたリスグラシュー、春秋マイル王者となったインディチャンプをはじめGⅠ戦線で活躍した馬たちが名を連ねている。そうしたことからも春のヴィクトリアマイル、安田記念に向けても重要な一戦であることは間違いない。

今年の出走馬の中にも未来のGⅠ馬は潜んでいるのだろうか。馬場適性の観点から分析・予想を行っていく。

2021年1月30、31日のタイムと上がり



先週末、1月30日(土)と31日(日)に東京競馬場で行われた芝のレース結果を見ると、ボーデンが勝利した3歳未勝利戦は前半1000mの通過が57.9というハイペースだったこともあるが、1:45.2という速いタイムで決着。良馬場発表だったが、当日朝のクッション値は8.8、ゴール前の含水率16.2%と水分量は多かったものの、時計が出る馬場だと言っていいだろう。

クッション値9.3、ゴール前の含水率14.6%と前日より乾いた状態となった日曜日のセントポーリア賞はグレートマジシャンが1:46.5という好タイムで勝利。このタイムは2015年の同レースでドゥラメンテがマークしたタイムより0.4秒速かったということも触れておきたい。今後のグレートマジシャンの走りには注目したい。

比例するように上がりタイムも全体的に速く、クロッカスSを勝利したストライプなど全10レース中4レースの勝ち馬が33秒台前半の上がりを使っていた。

4角3番手以内の先行馬は全体の26.7%

2021年1月30、31日の通過順



開幕週ということもあり、ある程度前残りということも想定できたが、逃げ切った馬はゼロ。4角3番手以内だった馬は3勝、2着2回、3着3回で全体の26.7%と少なく、中団からレースを進めた差し馬の台頭が目立っていた。

2021年1月30、31日の直線で通った位置



最後に3着以内に好走した馬たちが直線で通ったコース取りを見ていこう。内から1〜3頭目が11頭、4〜6頭目が13頭と内外の差はほとんどなく、どこを通っても伸びる馬場状態だったと言える。

ただし、先週末より馬場が乾いてクッション値が高くなり含水率が低くなることが想定されるため、多少前残りが増える可能性があるということは頭の片隅に入れておきたい。

京都金杯は馬場傾向に合わず

2021年東京新聞杯馬場適性チャート



今回取り上げたいのはヴァンドギャルド、トリプルエース、シャドウディーヴァ、サトノウィザード、ロードマイウェイの5頭。各馬の適性について詳しく見ていく。

【ヴァンドギャルド】
重賞初制覇を果たした富士Sは良馬場で行われたが、当日は昼過ぎまで稍重発表、クッション値は8.6、ゴール前の含水率は17.2%と水分を含んだ馬場状態。それ以外の4勝中3勝が道悪での勝利ということもあり、多少なりとも時計・上がりがかかる馬場の方が良いという印象を受ける。

勝ちタイムが1:32.4だった5走前のマイラーズCは上がり最速の32.7を使うも0.5秒差の3着、1:32.0というタイムで決着した前走のマイルCSは上がり33.3で伸びてきたが0.5秒差の6着と悪い内容ではないが、馬場が速すぎた。今回は押さえ評価までが妥当だろう。

【トリプルエース】
3走前の2勝クラス(1400m)は1:20.5、前走のサンタクロースH(1600m)は1:32.6と好タイムで勝利しているように、時計の速い馬場向き。前走の京都金杯は1:33.1という勝ちタイムだったうえ、内の先行馬が断然有利の馬場状態だった。同馬は4角11番手、直線では大外を通る形となった中で上がり2位タイの33.9、勝ち馬と0.5秒差だったことを踏まえると、条件が好転する今回は巻き返す可能性は高い。

【シャドウディーヴァ】
馬券圏内に好走した8回中7回が東京コース、昨年の東京新聞杯でも上がり33.3を使って2着に好走している。展開に左右されやすい脚質ではあるが、ロスなく馬群の間を割ってこれるのが魅力で、特に今回騎乗する岩田康騎手とのコンビでそうした騎乗が目立っているだけに、押さえておかなければならないだろう。

【サトノウィザード】
6走前の月岡温泉特別では1:32.7、上がり32.4で勝利。さらに2走前の立雲峡Sはスローペースで1:34.1とタイムは遅かったものの、32.8の上がりを使って接戦を制したように、広いコースでの瞬発力勝負に強い。展開がハマった時は怖い存在だ。

【ロードマイウェイ】
2走前のキャピタルSは、今回と同じ舞台で大外から1頭だけ33秒台の上がりを使って2着。前走の京都金杯は最後方追走から直線では大外を回して16着となっているが、先述したように内の先行馬有利だったため参考外と言っていい。キャピタルSで敗れたピースワンパラディは京都金杯で2着。また過去には先行するレースでも結果を残しているうえ、1:32.7という時計での勝利もある。人気はなさそうだが、一発があってもおかしくない。

▽東京新聞杯予想▽
◎トリプルエース
○シャドウディーヴァ
▲ヴァンドギャルド
☆サトノウィザード
☆ロードマイウェイ

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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