【東京新聞杯】逃げ馬不在で先行力と瞬発力が鍵 前走でトラックバイアスに泣いた馬は?

坂上明大

2021年東京新聞杯の参考レースⒸSPAIA

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3F勝負向きの瞬発力

過去4年、4歳馬が【3-3-3-19】と活躍傾向の東京新聞杯。ノーザンファームが力を入れていることも大きく影響しており、17年ブラックスピネル、18年リスグラシュー、19年インティチャンプとノーザンファーム産の4歳馬が3連覇を果たした。今年はどうなるだろうか。

【マイルCS】
レシステンシアが通常より0.2~0.3秒程テンが遅く、押して押してようやくハナへ。その分をリカバーしたのだろう、中盤で12.0秒を計時する形となり、全体では前後半3F34.9~33.5の後傾1.4秒。マイルG1としては遅過ぎる流れで「前有利」と評価。

6着馬ヴァンドギャルドは前半、少々行きたがる面を見せたが、末脚はいつも通りの鋭さ。上がり1Fでもメンバー中4位タイ程度であったからG1ではワンパンチ足りないが、G3であれば当然地力上位だろう。母父Motivator譲りのピッチ走法で上がり3F勝負向き。

内前有利のトラックバイアス

東京新聞杯の参考レースインフォグラフィックⒸSPAIA


【京都金杯】
12月13日以来のAコースでの開催であり、内ラチから3mは良好なコンディション。1日通して内目先行馬の好走が目立った。レースはエントシャイデン、ボンセルヴィーソ、タイセイビジョンが馬群をやや離しての先行争いとなったが、先頭基準でも前後半3F35.2-34.6の平均ペース、後続においては4番手で同36.1-34.0の超スローペースであった。

600~1000mを23.0秒で走っており中盤からのペースアップとなったが、600m以降は下り坂が続くためそれほど負荷はかからなかっただろう。出遅れ等はまだしも、中団以降で頑張って折り合いをつけていた馬はノーチャンス。「内前有利」。

3着馬エントシャイデンは気風良く逃げての粘り込み。先述の通りペースもさほど厳しくなく、展開に恵まれた感は否めない。

8着馬トリプルエースは発馬後手のハンデが大きかった。機動力で勝負するタイプでもあり、「大外追」の競馬では厳しい。上がり1Fはメンバー中2位程度であり、地力は十分に通用するだろう。

12着馬サトノアーサーは終始折り合いに苦労。今回も気性面が課題だろう。

16着馬ロードマイウェイは向正面で寄られる不利。展開も向かず、上がりの速い競馬も合わなかった。末脚が活きる展開なら巻き返し可能。

非日本的競馬

【日経新春杯】
前半1000m60.7とそれほど速くなかったが、下り坂区間から一気にペースアップして息の長い末脚が求められる展開となった。上がり3F上位馬が上位着順を独占しているが、後有利というよりも持続力比べという評価が適切か。力のいる馬場も相まって、日本的な瞬発力が持ち味の馬には厳しい展開であった。

7着馬サトノインプレッサは後方内目でタメにタメたが、末脚は弾けず。力差を感じる内容であった。

9着馬ヴェロックスは勝ち馬ショウリュウイクゾの内で運んだが、直線に向いたころには余力が残っていなかった。1600mは短過ぎる気はするが、休養明け3戦目と軽い馬場での変わり身に期待。

12着馬ダイワキャグニーは力み気味の追走。持続力勝負が得意なタイプでもなく、東京芝1600m替わりは好材料。

「先行力と瞬発力」

確固たる逃げ馬不在の顔ぶれ。ある程度の先行力と瞬発力を重視すると、ヴァンドギャルド、ダイワキャグニー、トリプルエースが有力だろう。特に成長著しく、前走不完全燃焼のトリプルエースには大いに期待したい。

注目馬:ヴァンドギャルド、ダイワキャグニー、トリプルエース

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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