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【根岸S】フェブラリーSに直結! GⅠで狙うのは1、2着馬どちらか、それとも?

2021/02/01 11:47
勝木淳
2021年根岸ステークスのレース結果ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

5年連続GⅠ好走馬を送る最重要レース

芝の超一流馬たちのローテーションは近年著しく進化を遂げ、GⅠからGⅠというローテが常識となりつつある。レース数を絞ることで馬の状態を維持する仕組みが確立された。

だがダート界はそういった時流に乗らない。フェブラリーSまで中2週の根岸Sは2016年から5年連続で本番好走馬を送る。かつては1400mの根岸SはフェブラリーSとは結びつかないと評価されたこともあったが、現在は真逆。必ず1頭は根岸S組が食い込む。過去5年根岸S2着以内は【3-1-2-2】、3着以下だと【0-0-0-18】。根岸Sで結果を出さないとフェブラリーS好走はのぞめない。ここを叩いて目標は次という考え方はセオリーだが、その叩き台で結果を出せないと本番も厳しい。

であればフェブラリーSで買うべきは1着レッドルゼルと2着ワンダーリーデルの2択になる。3着タイムフライヤー、4着アルクトスは大目標への叩き台であってもデータ上は脱落候補になってしまう。

記録上はモズアスコットと同等も

東京ダートは木曜日に凍結防止剤を散布、その夕方に雪が舞い、土曜日は終日重馬場、日曜日午後にやや重に回復した。土曜日9Rの銀蹄Sは重馬場で1分22秒7。2020年同日施行の同レースはやや重で1分23秒5。前半600mは20年34秒6、21年34秒5で互角。後半600mは20年36秒9、21年36秒3。時計の出方はほぼ互角で、今年の銀蹄Sが昨年より優秀だったといえる。

馬場状態が五分であるなら、レッドルゼルの勝ち時計1分22秒3(やや重)は20年モズアスコット1分22秒7(やや重)と互角だろうか。20年根岸Sは前半600m35秒0で前日銀蹄Sより遅いペース。今年の前半600mは伏兵陣が固まって進み34秒4。ハイレベルな前日銀蹄Sよりわずかに速かった。

後半600mを比較すると、20年35秒4、今年は36秒0。20年は終い勝負に近く、芝GⅠ馬モズアスコットが4角8番手から最後の600m34秒7の切れ味を発揮。今年は先行勢が早めに苦しくなり、やや上がりがかかった。4角10番手のレッドルゼルが35秒1、4角16番手のワンダーリーデルが大外一気で34秒6を記録。

フェブラリーSも勝ったモズアスコットと比較すると、レッドルゼルもワンダーリーデルも前半の流れにやや恵まれた感もある。だが、最後の600mは12.1-12.0-11.9という加速ラップ。タイムフライヤーやアルクトスなどどの馬も伸びているなかで1、2着を取り切った点は評価すべきだろう。東京ダートの適性はGⅠレベルではないか。

やはり気になるのはレッドルゼルの戦歴だろうか。カペラSから根岸Sといえば、19、20年コパノキッキングと同じ。19年のコパノキッキングはカペラSと根岸Sを連勝、フェブラリーSは距離面の壁を感じさせる内容で5着だった。レッドルゼルはダート通算【7-5-0-2】で1600m以上未出走、1200m【2-2-0-0】のパーフェクト。着外2回が1400mという短距離型。川田将雅騎手が“次走のマイル戦を意識した競馬をした”とコメントを残すも、一発回答となるだろうか。

マイル戦の実績でいえば2着ワンダーリーデルだ。19年武蔵野Sを含む東京ダート1600m2勝。1番枠から最後方追走、直線だけで2着という内容からむしろ1400mは忙しい。8歳のベテランはチャンピオンズCに向かわず、昨年の武蔵野S以来とゆとりを持ったローテから本番に挑む。気になるのはフェブラリーS過去10年で8歳【0-1-1-17】というデータか。

あえてデータを覆すとすると

3着以下はデータでは厳しいものの、4着アルクトスは59キロを背負い、直線はインから進路取りに手間取る場面があり、加速しきれなかった印象がある。前半の締まった流れのなか前で競馬し、先行勢で唯一の掲示板確保は力の証。その力を出し切っていない点は不気味で、レッドルゼルの距離やワンダーリーデルの年齢と同じく、根岸S3着以下【0-0-0-18】のデータを覆す可能性を秘めている。

フェブラリーSにこだわらずに次走狙いたいのは前半600m34秒4で先行した組だろう。8着ヘリオス、13着テイエムサウスダン、15着メイショウテンスイ、16着スマートセラヴィー。これらは重賞実績こそないものの、オープン特別であれば巻き返せる。根岸Sで厳しい競馬を経験、大きな着順となった直後でも積極的に狙いたいところだ。

2021年根岸ステークスのレース展開ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。


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