【根岸S】カギを握るのは含水率 水分量のある良馬場で速い上がりが使える馬は?

三木俊幸

根岸S馬場適性チャート

ⒸSPAIA

昨年は含水率4.7%の良馬場

昨年の優勝馬モズアスコットがフェブラリーSを制するなど、本番にも直結してくる根岸S(GⅢ・ダート1400m)。そんなレースを占うにあたり、今回は馬場状態と勝ちタイム、上がりタイムに加えて含水率にも注目。今年のレースで好走が期待できそうな馬を探していく。

まずは過去5年の根岸Sの結果から、求められる勝ちタイムと上がりタイムについて分析していこう。

過去5年の根岸ステークス成績

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過去5年で最も勝ちタイムが遅かったのは2019年の1:23.5、勝ち馬コパノキッキングは35.4、2着馬ユラノトは35.9、3着馬クインズサターンは35.6という上がりだった。当時の馬場状態は良、ゴール前の含水率は1.5%とかなり乾燥した状態だった。

しかし、同じ良でもゴール前の含水率が4.7%と比較的高かった2020年は1:22.7で決着。上がりタイムは勝利したモズアスコットが34.7、2着馬コパノキッキングが35.6、3着馬スマートアヴァロンが34.6と34秒台後半の上がりが求められるレースとなった。

含水率が発表されていなかった2016年は稍重で1:22.0、2018年は重で1:21.5という決着となっていることからも、パサパサの良なら1:23.0以上、稍重に近い状態なら1:22.0前後、重なら1:21.0前後と分析することができる。

同じように上がりタイムもパサパサの馬場であれば35秒台、稍重に近い状態なら34秒台後半、高速決着の重なら34秒台前半と考えてよさそうだ。

想定される勝ちタイムは?

では、今年のレースはどのような馬場状態となるのか、先週末から1週間の天気を見ていく。先週末は土曜日から日曜日にかけて雨が降り続いた。

そこから月曜日、火曜日は天気が回復傾向だったために少しずつ乾燥していったと想定できるが、水曜日と少量の雨を観測。さらに木曜日には雪が降ったものの、週末にかけて天気は回復する予報なので、根岸S当日の1月31日は稍重から含水率が高い良馬場になると予想する。したがって勝ちタイム1:22.0から1:22.5前後、上がりタイムは34秒台後半から35秒台前半で好走歴のある馬を狙いたい。

東京コースは歓迎材料

今回の出走馬の中で注目馬として取り上げたいのは、タイムフライヤー、レッドルゼル、ヘリオス、メイショウテンスイ、デザートストームの5頭。2019年以降に馬券圏内に好走したときのゴール前含水率と上がりタイムから馬場適性を考察する。 なお、今回の馬場適性チャートの縦軸は含水率の高さ、横軸は上がりタイムの速さを示している。

根岸ステークス馬場適性チャート

【タイムフライヤー】
好走時の平均含水率は4.5%、平均上がりは36.2。東京コースでは2019年の武蔵野S2着時に含水率4.0%の良馬場で上がり35.5をマークしている。昨年のフェブラリーSと武蔵野Sでは見せ場がありつつも5着に敗れていることからも、1400mへの距離短縮がプラスに働くのではないかと考える。

【レッドルゼル】
道悪での好走が多く、好走時の平均含水率は8.4%。前走のカペラS2着時は含水率3.6%の馬場で上がり35.4を使っているので、今回想定される馬場も対応可能な範囲内ではあるが、水分量の多いダートの方がより良いタイプだろう。

【ヘリオス】
だが、前走の霜月Sは含水率4.3%の中で先行して1:22.8という好タイムで勝利した内容は重賞でも通用する。これまでダートでは9レースに出走して6レースが道悪だったため、必然的に好走時の平均含水率は8.5%と高めの数値となっている。しかし前走のパフォーマンスから東京コースの水分を含んだ良馬場への適性はかなり高いだろう。

【メイショウテンスイ】
好走時の平均含水率は6.6%だが、東京1400mでは2戦とも含水率4%台の良馬場で結果を残している。平均上がりが36.6と切れる脚は使えないものの、霜月Sでヘリオスと0.2秒差の1:23.0で2着、上がりも36.1でまとめていることからも軽視してはいけない。

【デザートストーム】
良馬場で好走した時の平均含水率は4.1%、平均上がりは35.2ということからも馬場適性はある。想定以上に馬場が乾いても、前走のギャラクシーSは含水率2.2%の中で35.6の末脚で勝利しているので問題なし。直線の長い東京コースに変わるのはプラスになると考えるので、面白い存在だ。

▽根岸S予想▽
◎デザートストーム
○ヘリオス
▲タイムフライヤー
△メイショウテンスイ
×レッドルゼル

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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