【日経新春杯】「4歳牡馬」「前走GⅠ、4番人気以下」など データに合致する意外な本命馬は?

門田光生

日経新春杯のデータインフォグラフィックⒸSPAIA

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中京競馬場の連続開催は珍しい

2021年のJRA競馬は例年通りの京都ではなく、中京から始まった。あまり記憶にない中京競馬場の連続開催(有馬記念週に1週休み)ということで芝の状態に注目していたが、直線で土の塊が飛んで行くシーンが目立ったように、かなり荒れている様子。

それでも12月開催の最終週だけBコース使用(2020年12月前4日はAコース、2021年1月前8日もAコース)の影響もあるのか、京都金杯は逃げた人気薄エントシャイデンがラチ沿いを粘って3着。馬場の荒れ具合が進めば外を通る差し有利になるはずだが、思い通りに事が運ばないのが「魔物が棲む競馬場」たるゆえんでもある。

今回データ分析していくのは、1月17日(日)に中京競馬場で行われる第68回日経新春杯(GⅡ)。京都金杯、そして1週前に行われた万葉Sと同じハンデ戦で行われる。先に行われた上記2レースとも気前のいい「お年玉馬券」が出現したが、果たしてこの日経新春杯にも「おかわり」があるのだろうか。今回も2011年から過去10回のデータを参考にして検証していきたい。

2週前に万葉Sが行われ、翌週に似たような条件で行われるAJCCが控えているが、ここ10年の平均出走頭数は14.6頭。冬場の長距離重賞戦を思えば頭数が揃っている印象だ。頭数が多いと荒れる可能性も高いように思えるが、過去10年の平均配当は馬連2243円、馬単でも4351円。さすがに3連単は45096円となっているが、大荒れというほどの傾向ではないようだが、さて今回はどうなるか。

前走着外から巻き返し可能

年齢別成績ⒸSPAIA


まずは年齢から。このレースで活躍が目立つのは4歳馬で、勝ち馬の10頭中8頭がそれに該当する。5、6歳馬は1頭ずつ、そして7歳以上だと41頭が出走して馬券に絡んだ馬はいない。筆者も冬場になるとヒザの痛みが増し、長時間歩くのがつらくなる。それは年齢を重ねるにつれて感じることなのだが、競馬の世界も同じなのか、寒い時期は高齢馬が動けない傾向にあるようだ。

性別・所属別成績ⒸSPAIA


また、このレースは牝馬が9頭しか出走しておらず、連対したのは2015年のフーラブライド(2着)だけ。2016年に愛知杯(牝馬限定重賞)が12月→1月に移動した影響もあって、今後も実績馬が参戦することは少ないかもしれない。

美浦所属馬で連対したのも2019年のグローリーヴェイズ(1着)のみ。美浦所属馬は日経新春杯の19頭に対し、翌週のAJCCには84頭が出走(12連対)。美浦所属馬を狙うのは来週として、今回は傾向通り栗東所属馬を中心に据えるのが正解だろう。

ハンデ別成績ⒸSPAIA


続いてハンデについて、牡馬・セン馬を中心に見ていく。好走が多いのは55~56.5キロのハンデを背負った馬。【6-6-5-40】で、同じくらいの出走頭数である52~54キロ【3-3-1-46】と比較するとよく分かる。これが51キロ以下だと連対馬がいなくなり、57キロ以上も1頭だけ。よって、ハンデからの狙いは55~56.5キロの馬となる。

ちなみに57キロ以上で勝ったのは2012年のトゥザグローリー(58.5キロ)。それまでGⅡを2勝、そして前走が有馬記念3着という実績馬だった。今回57キロ以上を背負うのはヴェロックス(57キロ)とダイワキャグニー(57.5キロ)の2頭。これまで57~57.5キロで出走した馬は合わせて【0-0-0-9】とさっぱりなのは気になるところ。

前走着順別成績ⒸSPAIA

前走人気別成績ⒸSPAIA


そのトゥザグローリーは1番人気に支持されての勝利。というわけで、今度は前走着順と前走人気の関係を調べてみた。前走1~3着の馬は連対率28.9%で、前走4着以下の6.9%を大きく上回る。ただし勝ち馬が多いのは前走4着以下の方で6頭が該当。1着狙いなら前走着順は度外視してもかまわない。

前走人気も同様の傾向が出ていて、前走1~3番人気が3勝に対して4番人気以下が7勝。ただし、こちらも連対率では前走1~3番人気組が大きく上回っている。馬連の軸なら前走1~3番人気、馬単の頭狙いなら前走4番人気以下を選択するのがよさそうだ。

前走クラス別成績ⒸSPAIA

前走頭数別成績ⒸSPAIA


前走に関してはGI経由組が6勝と貫禄を見せている。4歳馬が強いレースとあって菊花賞組が3勝、また有馬記念組も2勝。ダービー以来という馬からも勝ち馬が出ている。ただ、ジャパンカップ組だけは【0-0-0-6】と低調(今回は該当馬なし)。連対数では前走が条件戦だった馬が8連対。前走GI組は6勝に対して2着なしだから、連軸としてなら前走条件組の方がいいかもしれない。前走オープン組は【0-0-1-21】、GⅢ組も35頭が出走しているが勝ち馬は出ていない。

最後に前走から頭数の増減。連対率に関してはどれも同じだが、勝率は同頭数・頭数減(10%台)に対し、頭数増だと1.8%まで下がってしまう。

頭狙いでサトノインプレッサ

日経新春杯の好走データをまとめると①4歳馬②牡馬・セン馬③栗東所属④牡馬・セン馬でハンデ55~56.5キロ。また、1着狙いなら⑤前走と同頭数か頭数減⑥前走4番人気以下⑦前走GIとなり、連軸なら⑧前走1~3番人気⑨前走条件戦、となる。

まずは①~④までの条件を満たしている馬をピックアップ。これを全て満たしているのはアドマイヤビルゴ、サトノインプレッサの2頭。この2頭が本命候補となるが、⑤以降を見ていくとサトノインプレッサは⑤⑥⑦の全てが該当。⑤⑥⑦といえば1着で狙えるデータということで、今回はこれを頭に据える。ここ10年で最も勝ち馬を出している菊花賞組というのも魅力だ。

アドマイヤビルゴは連対例がない前走オープン経由というのがネック。ただ、それ以外で大きく割り引く材料がなく本線。

あとは似たり寄ったりになるが、◎のサトノインプレッサは1着狙いなのだから、⑤⑥⑦より⑧⑨を満たしている馬をピックアップするのが筋というものだろう。ただ、⑧⑨の両方をクリアしているのが▲ショウリュウイクゾだけ。ということで、これが3番手。

△レクセランスはハンデが54キロ。データで示した55~56.5キロの範囲から外れているだが、個別に見ると54キロの馬は連対率がトップ。それ以外でも合致するデータが多く外せないところ。

◎サトノインプレッサ
〇アドマイヤビルゴ
▲ショウリュウイクゾ
△レクセランス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
名鉄名古屋駅から中京競馬場駅まで約30分で到着しますが、もっと近い位置にあるのが名古屋競馬場。名古屋駅から10分ちょいで最寄り駅に到着します。長距離移動がはばかられるこのご時世ですが、手動の馬体重表示板などレトロな雰囲気満載な競馬場です。2022年に弥富に移設予定なので、まだ行ったことがないという方は、コロナ禍が落ち着いたら足を延ばしてみてはいかがでしょうか。


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