【フェアリーS】過去10年で10番人気以下が6連対と波乱の傾向 テンハッピーローズはここで主役になれるか?

山崎エリカ

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トップクラス不在で波乱度の高いレース

フェアリーSは桜花賞と同距離でありながら、阪神ジュベナイルFが終わったばかりの一戦となるために、トップクラスの馬が出走してくることはまれ。出走馬のほとんどが1勝馬で、3年前のように2勝馬が1頭も出走してこない年もある。このため過去10年で10番人気以下が3勝、2着も3回と非常に波乱度が高いレースとなっている。また、前記の連対馬6頭中、3頭が1~2番手以内でレースを運んだ馬だったのがポイントだ。

このレースの中山芝1600mの舞台は、上級条件だと向こう上面から3コーナーにかけての下り坂(3~4F目)でペースが緩まずに差し、追い込み馬が台頭することが多々ある。一方、下級条件やまだ体力のない明け3歳馬同士の一戦だと、向こう上面の下り坂でペースが緩んで、逃げ、先行馬があれよ、あれよと残ってしまうことも少なくない。

明け3歳の1勝馬で適性距離や脚質が定まらない馬が多いだけに、2015年に11番人気で優勝したノットフォーマルのように、ここで「突然の逃げ」という馬がいるかもしれない。そういう傾向があることを踏まえて、予想を組み立てた方が的中に近づけるだろう。前か後か迷った場合は、前でいこう!

メンバー中、唯一の2勝馬ラストリージョの評価は?

今年は出走馬16頭中、2勝馬はラストリージョのみとなった。同馬はデビューから2連勝した馬。デビュー2戦目のすずらん賞は、初芝の一戦。さらに先行馬にとって厳しいペース、札幌の連続開催最終日で、土煙が舞うほど時計を要した状況を考えると、なかなか優秀な勝利だったと言える。ここでは能力値3位。近2走はダートで大敗しているが、得意の芝で一変する可能性は十分にある。スローペースなら、よりチャンスが広がるだろう。

能力値1位のテンハッピーローズの評価は?

2021年フェアリーステークスPP指数

一方、能力値1位は、テンハッピーローズだ。2走前のサフラン賞はスプリンターズS当日で、時計の掛かる外差し馬場。大外枠だった同馬は、やや出負けして後方の外から仕掛けをワンテンポ遅らせたことで、馬場や展開が向いたところはあった。しかし、勝ち馬のサトノレイナス(次走、阪神ジュベナイルF・2着)と比較した場合には、4コーナーで大外に振られたロスがあった中での好走は立派だった。

前走のアルテミスSも崩れることなく3着。勝ち馬のソダシには完敗の内容だったが、中団の外から前に壁を作れず、早めに上がって行く競馬だったことを考えると、他馬との比較では優秀だったと言える。そこまで二の脚が速いタイプではないので、あと1F距離があってもいいイメージを受ける。これまでのパフォーマンスと信頼度は一番。本命か対抗にしたい馬だ。

その他の能力値上位馬

【能力値2位 オプティミスモ】
時計の掛かる稍重の京都芝1400mの新馬戦を正攻法の競馬で勝利しているあたりから、時計の掛かる中山は合うし、デビュー2戦目のファンタジーSでいきなり4着も立派。ただし、前走はぽっかり空いた内を突いてのもの。全てがうまくいっての4着だった。ファンタジーSで追い込んで2着だったオパールムーンが、阪神ジュベナイルFで敗退している点からも過大評価はできない。

【能力値4位 ネクストストーリー】
前走で芝1400mのつわぶき賞を2着している。ただ前走は逃げ馬が残る流れを、好位の内から流れ込んだ内容。確かに前々走の未勝利戦は、タフな馬場の消耗戦を先行策から押し切ってはいるが、それは芝1200mでのもの。また、意欲の連闘策でもあった。今回は芝1600mと距離が延びる一戦。さらなる上昇はどうか?また、過去10年で前走からの距離延長馬の2着は2回あるが、優勝はゼロである。

【能力値5位 シャドウファックス】
芝1600mの新馬戦では最後まで減速することなく、しっかり伸びて強い内容。好指数勝ちを決めた。前走のアルテミスSは、ソダシの直後から伸びて、直線では一旦2番手まで上がったが、そこから甘くなっての7着だった。新馬戦から一転して、正攻法の競馬で挑んだことを考えれば悪くはない。今回は新馬勝ちを決めた舞台。あの時のように後半型の競馬で、ある程度レースが流れれば、チャンスは十分にありそうだ。

穴馬はホウオウイクセル

重馬場の新潟芝1600mの新馬戦では、上がり最速タイで3着。前走は福島芝1800m戦で上がり最速を駆使して突き抜けた。前走は3着馬に5馬身差をつけており、指数もなかなか優秀。まだ底を見せておらず、近2走でタフな馬場を最後までしっかり伸びている点は高い評価ができる。時計の掛かる馬場の中山で、ペースが速くなれば。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)テンハッピーローズの前走指数「-9」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.9秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補】



ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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