【シンザン記念】2頭の三冠牝馬に続け 「前走マイル戦」「美浦所属牝馬」などに該当するのは?
門田光生
ⒸSPAIA
三冠馬シンザンの名前を冠したレース
2021年1月10日に中京競馬場で行われるのは第55回シンザン記念。レース名となっている「シンザン」は1964年の三冠馬。JRAで馬名がついたレースといえば、あとセントライト記念ぐらいしか思い浮かばない。共同通信杯(トキノミノル記念)もそれに当たるのか。
そういえば、2020年には弥生賞が「報知杯弥生賞ディープインパクト記念」という名前に変更されている。JRAのレースカレンダーでは「共同通信杯」に対して「弥生賞ディープインパクト記念」となっているので、トキノミノル記念のような副題ではなく正式名称なのだろう。「シンザン記念」のように「ディープインパクト記念」の名称のみで定着する日が来るのだろうか。
北米競馬では馬名のついたレースが多いが、そもそもレース数自体も膨大。ついこの間まで現役だった馬がレース名になっていることもよくあるので、そのへんのハードルは低いのだろう。
ただ、こういうのは一度名前をつけてしまうとすぐに引っ込めるわけにもいかず、JRAとしても乱発はしたくないはず。時々行われているメモリアルレースのような形が理にかなっているのかもしれない。
さて、そのシンザン記念だが、過去10年を振り返ると三冠牝馬のジェンティルドンナ、アーモンドアイの名前が勝ち馬に見受けられる。それ以前にもタニノギムレットがここを勝ってダービー制覇へつなげた。
この3頭はいずれも未勝利勝ち直後にシンザン記念を制したという共通点がある。果たしてデータ上でも未勝利組が強いのだろうか。いつも通り2011年から過去10回のデータを基にして調べていきたい。
千両賞がない!
さっそく上記の答えだが、ここ10年で未勝利勝ち直後にシンザン記念を勝ったのは2頭だけ。つまり、ジェンティルドンナとアーモンドアイの2頭だけである。ジェンティルドンナは2番人気でもあり、この時点でクラシックを制する馬を見抜くのはなかなか困難なことだが、もし目をつけている馬が未勝利勝ちを経て出走していれば、狙ってみるのも面白いかもしれない。
前走重賞組と前走1勝クラス組はともに7連対で互角。レースを個別に見ると千両賞組(1勝クラス)が【2-3-0-8】と抜群の相性を誇っているのだが、昨年はこのレースが組まれていなかった。なんてこった、である。
とはいえ、ないものねだりをしても仕方がない。続くのは【1-2-2-17】の朝日杯FSとなるのだが、これが勝率4%台といまいち信用できない数字。同じく新馬組も3連対だが、こちらは勝率10%、連対率30%。千両賞組がいないのなら、ひとまずは新馬組が最有力としておく。
その千両賞も朝日杯FSもシンザン記念と同じマイル戦で行われるが、前走距離に関してはマイル戦を使った馬が17連対。例外の3頭でマイル経験がなかったのは、新馬勝ち(1800m)直後に挑んだ2016年の2着馬ジュエラーだけ。できればこの項目はクリアしておきたい。
性別を調べてみると、上記で書いたジェンティルドンナ、アーモンドアイを含め、牝馬は3勝、2着が2回。数字の上では15連対している牡馬・セン馬が上だが、勝率、連対率では牝馬に軍配が上がる。また、所属別では栗東所属が17連対と大半を占めているが、美浦所属馬は10頭が参戦して3頭が連対。連対率が3割なら悪くない数字だ。
特に美浦所属の牝馬に絞ると3頭が出走して2頭が勝利。同週か翌週に行われる同距離の限定戦、フェアリーSでなくこちらを選択するのだから、それなりの自信があっての参戦とみ考えていいのかもしれない。
続いてはキャリア。最近は素質馬が勝っていることもあり、キャリア6戦以上から勝ち馬は出ていない。ただ前走1着馬が強いわけでもなく、前走6着以下の方が勝率、連対率が上となっている。
前走人気に関しては1、2番人気に支持されていた馬の成績がほかより抜けてよく、こちらは信頼していいデータといえるだろう。
2歳戦は早生まれが有利な傾向が出ていたが、3歳1月のレースではどうだろうか。結果を見ると、2月生まれが9連対でトップ。ほかの月と比べて勝率、連対率ともに倍以上の差をつけている。3月、4月、5月と続き、最下位は何と1月生まれ。
ともかく、2月生まれの成績がよくて、1月と5月生まれからは勝ち馬が出ていないことは覚えておきたい。
ここを勝てば夢が広がる
シンザン記念における強調データは①「新馬組」②「前走がマイル戦」③「美浦所属の牝馬」④「キャリア5戦以内」⑤「前走1、2番人気」そして⑥「2月生まれ」となる。
今回の出走馬で最も多くのデータに当てはまっているのはククナ(②③④⑤)とレゾンドゥスリール(①②④⑤)の2頭。どちらを上に取るかだが、レゾンドゥスリールは未勝利の「1月生まれ」という点が引っかかる。
となると、本命はククナでいいだろう。3戦2勝と相性のいい美浦所属の牝馬だし、アルテミスSで2着からの臨戦課程は、昨年の勝ち馬サンクテュエール(これも美浦所属の牝馬)と同じ。現時点でジェンティルドンナやアーモンドアイ級の馬かは判断できないとしても、母が桜花賞2着馬という血統馬なら可能性はなきにしもあらずだ。
惜しくも次点となったレゾンドゥスリールだが、1月生まれで2着になったケースは1度だがあることはある。それに、メンバー中で唯一の新馬組だ。これを連候補の筆頭としたい。
あと、加点が3つあって、目立ったマイナス材料(キャリア6戦以上や1、5月生まれなど)がないマリアエレーナとワザモノを加えておきたい。
◎ククナ
〇レゾンドゥスリール
▲マリアエレーナ
△ワザモノ
《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
正月は1、2日が在宅での仕事、3日は半休。「食っちゃ寝」ではなく、おせち料理やら何やらを「食っちゃ仕事」してたら3キロ太りました。ただ嫁さんは「もっと増えてるのかと思った」と。確かに、腹回りが過去最大にやばいことになってますが、汗をかきづらく絞りにくい季節。正月競馬は馬体重に注意、ということを身をもって体験しています。
《関連記事》
全部買うだけで黒字 複回収率200%の条件も 2021年は穴ジョッキー森裕太朗に注目
【シンザン記念】狙いはキャリア4、5戦の牡・セン馬! 覚えておきたいデータと浮上する穴馬は
【フェアリーS】穴馬候補は10番人気、キャリア7戦、前走新馬・未勝利組 当日まで覚えておきたいデータ
おすすめ記事