【中山金杯】丑年だけに?スローペース ヒシイグアス勝利の決め手とは

勝木淳

中山金杯レース展開インフォグラフィックⒸSPAIA

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珍しくスローペースになった中山金杯

一年の計は金杯にあり。縁起物の金杯だが、冷静に考えると真冬の中山芝2000m、GⅢのハンデ戦と単純な序列づけすら難しい条件。クラシック善戦馬でも重賞ウイナーでもなく、3勝クラスを勝ったばかり、いわば格上げ緒戦のヒシイグアス、ココロノトウダイのワンツー、3着は7歳になったばかりのベテラン・ウインイクシードだった。クラシック10、5、4着のディープボンドではなく、ヒシイグアスが1番人気に支持された。このあたりのジャッジはお見事で、さすが競馬民たち。正月ボケなどなかった。

丑年の金杯だからかどうかはわからないが、逃げ馬不在のレースは1000m通過1分2秒0のゆったりした流れになった。過去10年では16年ヤマカツエースが勝ったとき(1分2秒3)に次ぐ遅い記録。騎乗する側も年はじめの重賞、それもハンデ戦とあって前がかりになりやすいと推察できる。したがってスローペースの中山金杯は珍しい。やはり丑年だからだろうか。

先手を奪ったのは6枠の伏兵ロザムール。番手に8枠のウインイクシード、大外枠のバイオスパークが続いた。外枠の馬がこれほど容易く先行できた要因は内枠含め積極的な馬がいなかったからだろう。最初のコーナーでは13秒1を記録。前がかりどころか逃げるロザムールすら抑え気味にペースアップを嫌った。中山芝2000mでスローとなれば、早めにペースはあがり、残り800mからのラップは11.8-11.5-11.3-12.2。坂下で11秒3ともっとも速い脚を使う競馬になった。

次走まで覚えておきたいポイントとは

2着ココロノトウダイはこれが9戦目。昇級初戦の重賞で結果を出したのは陣営が無理せず育ててきた結果だろう。道中は中団のインに潜み、馬群をさばいて抜け出すあたりは福島巧者らしい器用さだった。もう一列前で競馬したかっただろう。最後の直線では外ヒシイグアス、内ウインイクシードと進路も厳しい状況、2着確保は前途洋々も現状では小回りを中心に狙いたい。

3着はウインイクシード。丑年の中山金杯らしく馬名にウシが入った馬が穴をあけた。冗談はさておき、昨年の中山金杯2着馬で11番人気は人気の盲点だった。福島記念からディセンバーSを使って中山金杯は、昨年とまったく同じローテ。小回りですんなり先手を奪える条件であれば忘れずに連下に加えたい。

4着ロザムールはスローに恵まれた面が大きく、次走以降過信は禁物だろう。であれば4角13番手から直線だけで掲示板にきたアールスターを評価したい。力はしっかり示しており、2月後半の小倉大賞典では見落とさないようにしたい。

11着同着のヴァンケドミンゴはココロノトウダイと同じ福島巧者だが、こちらは流れを考えれば最後は止まりすぎで、敗因は急坂。平坦コースで見直したい。ディープボンド14着はちょっと負けすぎの印象で、なにもなければいいが、3歳時も皐月賞で崩れており、直線部分が少なく忙しない中山コースは不向きだった。

中山金杯のレース展開ⒸSPAIA



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。


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