【中山金杯】特殊な馬場で狙うは先行勢 上がりのかかる馬場を味方にできる高配当の使者は?

東大ホースメンクラブ

2021年中山金杯 4角通過順位インフォグラフィック

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先行馬で穴狙い

1月5日(火)に中山競馬場で行われる中山金杯(GⅢ・芝2000m)。2021年の中央競馬の開幕を告げる名物ハンデ重賞である。昨年のクラシック戦線で活躍したディープボンドとダーリントンホールの2頭はこれが古馬初挑戦ということで注目が集まるが、休み明けの前走で快勝しOP入りのヒシイグアスや福島記念ワンツーのバイオスパーク、ヴァンケドミンゴなどの参戦もあってなかなかの混戦模様。波乱の気配漂う一戦を制するのは果たしてどの馬か。また、馬券で狙うべき穴馬はどれか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、過去10年の傾向を分析する。

過去10年の中山金杯 タイムと4角順位


過去10年の勝ちタイムを見ると2015年に1分57秒8が記録された以外は1分59秒から2分01秒台で決着しており、重賞にしてはかなり時計がかかっている。また、昨年末の有馬記念が良馬場で2分35秒台の決着となるなど、直近の傾向としても馬場の低速化が著しい。持ち時計で劣る馬や高速馬場で結果を残せなかった馬など、この特殊な馬場状態を味方にできそうな馬が狙い目だろう。

前半5Fのタイムに関しても最速で59秒4と、おおむねペースは落ち着くことが多い。そのためか10レース中6レースで4角5番手以内の馬のワンツーとなっており、前有利の傾向が著しい。対照的に4角10番手以下は【0-0-2-60】と、こちらはかなりの不振。昨年1番人気に推されたクレッシェンドラヴが後手を踏んで7着に敗れたように、出遅れ癖のある馬や追い込み一手の馬はかなり厳しいレースを強いられそうだ。馬券戦略としては先行勢から妙味のある馬をピックアップしたい。

4歳馬の取捨は?

今回の出走馬のなかで4歳馬はディープボンド、ダーリントンホール、ココロノトウダイの3頭。このうち初めに挙げた2頭は3歳重賞を制覇しクラシック出走を果たした実績があるが、これが古馬との初対決ということで評価が分かれるところかもしれない。

過去10年の中山金杯 4歳馬の成績


過去10年のこのレースで4歳馬は【3-2-2-11】という成績だが、古馬初対決の馬は昨年のザダル(3番人気8着)を筆頭に【0-0-0-5】と精彩を欠いている。さらに馬券圏内に入った7頭中6頭はすでに古馬混合重賞で馬券になった経験があるという経緯を踏まえると、ハンデに恵まれやすいとはいえ上述の2頭に疑う余地は十分あるだろう。

一方で5歳以上の馬のローテーションは多様だが、特に挙げるとすれば中日新聞杯(GⅢ)からの参戦には注意を払いたい。このレースでは時計が出る馬場で、レースの上がり3Fが34秒4という決め脚比べの展開に泣いた馬も多かったろうが、そんなタイプの馬にとって中山に替わるのは大きなチャンス。条件替わりで狙いたいローテと言えるだろう。

先行力で巻き返す

以上を踏まえて、本命にはテリトーリアルを推奨したい。前走の中日新聞杯ではいつも通り番手につける競馬で直線に向いたが、切れ味勝負で9着と後れをとった。スローな展開だともろいところはあるが、今の上がりがかかる中山の馬場はまさにこの馬におあつらえ向きだろう。なにしろ昨年11番人気で3着に入った好相性のレースでもあるし、高配当の使者として馬券の軸に据えてみたい。

対抗にはヴァンケドミンゴ。前走の福島記念では外を回った分のロスが響いてクビ差で重賞タイトルを逃したが、レースの内容的には勝ち馬以上に強かったと言っても過言ではない。そう考えると、その勝ち馬よりも1kg軽い56kgという斤量はかなり恵まれたと言えるだろう。スタート後の位置取り次第では差し届かない懸念もあるにはあるが、ここでは力上位と見て重視したい。

3番手にバイオスパーク。前走の福島記念では内枠からロスなく立ち回り、2着馬を振り切って重賞タイトルを獲得。小回りも力のある馬場も問題はなさそうだし、斤量57kgでも引き続き好走が期待できる一頭だ。

4番手にはショウナンバルディ。中日新聞杯では最後に後続に捉えられて4着に終わったが、直線で一旦先頭に立つなど見せ場十分の競馬だった。今回が初の中山となるが、好位から抜け出す競馬が板についており、舞台替わりでも対応可能だろう。走りの内容だけなら本命級なのだが、関東圏への輸送で結果を出していない点を不安視してこの評価とした。

4歳勢の一角ディープボンドについては、京都で実績を残しているようにどちらかと言えば平坦コースが向くタイプだと考えるので、今回は相手評価にとどめたい。

休み明けのダーリントンホールに関しても、力の裏付けが乏しいうえに発馬で遅れる面がある点を重く見て、今回は無印としたい。以下、相手には昨年の2着馬ウインイクシードとヒシイグアス、人気薄では先行して穴を空けた実績のあるリュヌルージュまで押さえておく。

▽中山金杯予想▽
◎テリトーリアル
○ヴァンケドミンゴ
▲バイオスパーク
△ショウナンバルディ
×ディープボンド
×ウインイクシード
×ヒシイグアス
☆リュヌルージュ

ライタープロフィール
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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