ルメール騎手が204勝でリーディング獲得 川田騎手もラスト2週連続GⅠ勝利で意地を見せる【2020年騎手リーディング】
三木俊幸
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4年連続のリーディング
1年前、誰が今の社会情勢を想像しただろうか。コロナウイルスの感染拡大によって2月29日から10月4日まで無観客開催となった中央競馬だが、幸いなことに1度足りとも中止になることなく有馬記念まで駆け抜けた。
そんな激動の年となった2020年の騎手リーディングの最終結果と最後の開催となった5回中山・6回阪神開催における騎手成績について振り返っていこう。
204勝でJRAの騎手リーディングに輝いたのはルメール騎手。2017年から4年連続のタイトル獲得となった。最後に1カ月となった今開催では、+13勝とそれまでに比べると地味な成績に終わったが、12月19日の中山8Rで年間200勝を達成。2018年の215勝には及ばなかったものの、自信が持つ年間最多タイのGⅠ8勝を含む重賞17勝と素晴らしい1年となった。
2位は167勝をあげた川田騎手。年明けから春先まではリーディングを快走していたものの、春のGⅠ戦線が始まってからは徐々に失速。最終的にはルメール騎手に37勝差をつけられたものの、勝利数、勝率、連対率、複勝率全てにおいてキャリアハイの成績を残した。
その半面、春から秋にかけてはGⅠどころか重賞も勝つことができず苦しい年でもあった。このままGⅠ未勝利で2020年を終えるのかと思ったが、12月20日に行われた朝日杯FSを勝利し、最後に意地を見せた。そして翌週のホープフルSでは師匠の安田隆師の管理するダノンザキッドをGⅠ馬に導き、レース後には目に涙を浮かべるシーンは印象的だった。
2人の3冠ジョッキーが誕生
134勝で3位となったのは福永騎手。12月の開催では9勝、重賞未勝利だったが、夏場から秋にかけての活躍はめざましく、ローカル開催が始まった7月25日〜秋の東京開催終了時までの成績を見ると、川田騎手を上回る63勝をあげ、単勝回収率も127%とファンにとっても心強い騎乗ぶりだった。そして何よりコントレイルとのコンビで無敗の3冠を達成したことを抜きには語れない年となった。
自身初の年間100勝越えとなる127勝をあげて4位に大躍進した松山騎手。12月も11勝とコンスタントに勝ち星を積み重ねた。同騎手もデアリングタクトとのコンビで牝馬3冠を達成するなど、年間で重賞9勝と勝負強さが一段と増した印象だ。加えて年間を通じての騎乗回数918回は全騎手の中で最も多かった。
5位は武豊騎手。2019年の111勝を上回る115勝をマークした。50歳を超えていること、海外遠征後の隔離期間等もあり騎乗できない期間があったにも関わらずこれだけの成績を残せるのはさすがレジェンド。重賞5勝、GⅠ勝ちがなかったのが残念ではあるが、2021年はまた新たな偉業を成し遂げていくことだろう。
横山武騎手が9勝の活躍
そして最後に5回中山・6回阪神開催における競馬場ごとの騎手成績についても見ておこう。
【5回中山開催】
最多の9勝をあげたのは横山武騎手。12月6日と13日を除いた開催6日間の日別の成績は2→0→2→3→0→2、関西圏でのGⅠが多かったとはいえ、共に4日間騎乗したルメール騎手の6勝を上回る成績を中央場所であげていることは素晴らしい。
単勝回収率125%、複勝回収率104%という数字からも単に馬質に恵まれていただけではないことが分かる。年間勝利数も94勝、全国リーディング6位、関東リーディングを獲得。次世代の競馬界を背負う存在として勝負強さと巧さにより磨きをかけ、2021年は更なる飛躍の年となることを期待したい。
【6回阪神開催】
9勝でトップだったのは福永騎手、今開催は単勝回収率こそ71%と低かったものの、安定した騎乗ぶりが光った。注目したいのは7勝の岩田望騎手と6勝の吉田隼騎手の2人。
岩田望騎手は最終日となった12月27日に4勝の固め打ち。年間を通じても一度火がつくと止まらないという印象が強かった。まだ2年目ながら年間76勝で全国リーディング9位、関西リーディングでは6位だった。2021年は減量が取れてから初のフルシーズン、関西トップ5の壁は高いが、どこまで近づくことができるのか注目したい。
吉田隼騎手は1週早く終了した3回中京開催では9勝をあげて、開催リーディングを獲得。阪神開催では3日間、25回の騎乗のみだったということを踏まえると素晴らしい成績だと言える。ソダシでのGⅠ勝利を含めて2020年は重賞6勝、キャリアハイの91勝まで勝ち星を積み重ねるなど、充実の年となった。
2021年も1月5日の東西金杯で開幕。2020年トップ5の騎手たちの間に割って入る存在は出てくるのか、継続して騎手リーディング争いの行方を追い続けていきたい。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。
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