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【有馬記念】1年を締めくくるのは今年大活躍の牝馬 京大競馬研の本命はラストランの馬

2020/12/27 06:00
京都大学競馬研究会
2020年有馬記念インフォグラフィック

ⒸSPAIA

牝馬で有馬記念をラストランに選ぶこと自体が強さの証明になる

12月27日に中山競馬場で有馬記念(GⅠ)が行われる。GⅠ4勝馬でこれがラストランのラッキーライラックや天皇賞春を連覇したフィエールマン、春秋グランプリ制覇を狙うクロノジェネシス、他にもワールドプレミアやキセキなどが参戦し、三冠馬決戦となったジャパンカップに勝るとも劣らない豪華なメンバーがそろった。今年は昨年以上に牝馬の活躍が目立った年になったが、最後のGⅠ有馬記念ではどうなるのか。データを用いながら検証していこう。

12月と言えば現役競走馬の別れの季節。有馬記念を最後に、競走生活を終える一流馬は多い。今回は過去20年で有馬記念がラストランになった馬の当該レースの成績を調べた(怪我などで結果的に引退レースとなった場合も含む。ただし出走取消、競走中止は除く)。

牡馬は4-0-2-33で勝率、連対率10.3%、複勝率15.4%、牝馬は3-1-0-9で勝率23.1%、連対率、複勝率30.8%となっている。勝ち数こそ牡馬が勝るも、牝馬の成績が勝率、連対率、複勝率全てにおいて牡馬を圧倒している。

さらに5番人気以内に推された有力馬の成績に絞ってみてみると牡馬が4-0-1-11に対して牝馬は3-0-0-2とさらに優秀な成績となる。また、ラストランを勝利で飾った牡馬は全て年度代表馬経験のある1番人気馬だったのに対し、勝利した牝馬は1番人気、4番人気、2番人気と多彩だ。牝馬限定のGⅠで勝ち負けするだけの器に収まり切らない超一流の牝馬は有馬記念に出ても好勝負ができることがわかる。

前走4着馬が絶好の狙い目!

次に前走着順別成績を調べた。

過去10年の前走着順

前走1着馬の好走例が5-3-4-24で好走例が多いのはハイレベルなGⅠであるから当然のことではある。一方で注目したいのは前走4着馬で2-0-2-7、勝率18.2%、複勝率36.4%と前走1着馬の勝率、複勝率を上回っている。さらに4着に敗退したことで有馬記念当日は人気が落ちるため、単勝回収率160%、複勝回収率101%と優秀。馬券に入った4頭は2018年1着のブラストワンピース以外はジャパンカップを4着になった馬だった。今年の該当馬はカレンブーケドール。要注目だ。

牝馬のワンツースリーも考えられるかも

◎ラッキーライラック
先述したように、過去20年で有馬記念がラストランかつ上位人気(5人気以内)を背負って臨んだ牝馬の成績は3-0-0-2、そこから牡馬相手にGⅠを勝った経歴のある馬に絞ると3-0-0-1となる。謎の失速を見せたブエナビスタ以外全頭が勝利。今年の古馬混合芝GⅠは天皇賞春以外全て牝馬が勝利していて、有馬記念だけ急に牡馬が強くなるとは考えられず、順当に牝馬から買うべきなのは間違いない。

エリザベス女王杯から参戦した馬の成績は0-1-0-14とよくないが、この15頭の中で牡馬相手に実績を出していた馬は少なく、有馬記念当日に人気もしていなかった。そのため今回のラッキーライラックに対して当てはめるべきデータではないと考える。大阪杯で牡馬を蹴散らしており、今回が引退レース。前走も勝利したにも関わらず想定3番人気とかなりおいしいオッズになっている。レース当日よほど体調が悪いか、雨が降らない限りは単勝で買いたい1頭。

○クロノジェネシス
前走天皇賞秋は自身よりも切れ味に勝る2頭に後れをとった3着だったが、力を発揮すれば崩れない事を証明した。開催が進み荒れた中山の馬場はこの馬にとって有利に働くだろう。今回対戦する牡馬は大阪杯や宝塚記念ですでに勝負付けが済んでいるため、それらより上の評価はしないといけない。天皇賞秋からの参戦は0-2-0-12となっているが、こちらも先程のエリザベス女王杯のデータと同様に有馬記念で人気した馬は少なく、有馬記念当日3番人気以内に絞ると0-2-0-1となり、むしろ人気相応の走りをしていると考えてもいいだろう。バビットやキセキなどの実績ある逃げ馬達が作り出すよどみないペースもこの馬には向くと考えられる。

▲カレンブーケドール
前走ジャパンカップは持てる力を出し切って4着、着順こそ微妙だが三冠馬以外には先着を許しておらず、また2着とタイム差なしの4着なので悲観する内容ではない。先述したように前走4着馬の有馬記念の成績は2-0-2-7と優秀。この馬も牡馬と対等に渡り合えることはすでに証明済でここでも好走可能だろう。有馬記念4勝の池添騎手に乗り変わるのもプラス材料だ。

消フィエールマン
クロノジェネシスと同じ前走天皇賞秋でも軽視したいのはこの一頭。前走から中7週はこの馬の中では休養期間は短い方にあたり、そして足りないと考える。一番間隔の短かった昨年の凱旋門賞の時は輸送や馬場適性が向かなかったなど理由はあれど、休養が足りずに立て直しが利かなかったことが根本的な原因として考えられる。遠征後の昨年の有馬記念は4着まで持ち直しており、陣営の手腕は疑いようがないものの、当時の走りが全力のものであったならば、今回昨年以上に強力な牝馬が多数出走してくる中で昨年以上の着順は望めない。また本来荒れた中山の馬場もこの馬向きではない。それにこの馬が入った7枠は過去10年で1-0-2-17とよくないのも気になる。2番人気に足るだけの信頼はおけない。

他の牡馬に関してはジャパンカップや天皇賞秋、その他GⅠを見返しても牝馬相手に歯が立ったシーンが無い。着拾いで馬券に入ってくる可能性は否定できないが、今回の馬券は混合戦で実績を出した上記3頭の牝馬の馬連と三連複、そしてラッキーライラックの単勝で勝負する。良いラストランを期待する。(文:福山)

有馬記念2020 京大競馬研究会 予想印
◎ラッキーライラック
○クロノジェネシス
▲カレンブーケドール
消フィエールマン

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。


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