【有馬記念】中山の重賞は2戦2勝 時計のかかる馬場でグランプリホースの復活に期待
東大ホースメンクラブ
ⒸSPAIA
今年も差し決着?
12月27日(日)に中山競馬場で行われる有馬記念(GⅠ・芝2500m)。2020年の中央競馬のフィナーレを飾る一戦に、人気と実力を兼ね備えた精鋭16頭が集結した。
毎年この時期になるたびに、次第に高まりゆく熱気を感じて興奮を強めたり、ここを最後にターフを去る馬たちへ惜別の情を覚えたり、果ては年間の馬券収支を確認して苦々しい気持ちになったり、もうすぐ一年が終わってしまうという事実に感慨を覚えたりと、何かと心がざわつく競馬ファンは多いことだろう。
今年はホープフルSが前日の開催ということで、ますます一年の総決算という色を濃くしたが、いい気分で新しい年を迎えるために、是が非でも大きい馬券を一発当てたいところだ。実績馬が揃う暮れの大一番で狙うべきは果たしてどの馬なのか、今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、過去10年の傾向を分析する。
アーモンドアイが9着に敗れる波乱となったのは記憶に新しいが、その昨年はアエロリットが前半1000m58秒4というハイペースで逃げて極端な追い込み決着となった。一方でそれ以前のレースについては60秒台後半から63秒台に落ち着いており、基本的にはスローで流れている。道中の位置取りについても、昨年および昨年と同じく極端な追い込み決着となった2012年(勝ち馬ゴールドシップ)を除くと1着馬はみな4角で5番手以内につけていた。外回りの3コーナーからスタートするコース形態を考えても、素早く前目の位置を取れる馬が基本的には有利と言える。
一方で、先週のOPクラス芝1800m戦で1分49秒台という低速決着となるなど、直近の中山コースはかなり時計がかかっている。近年は比較的に良好な馬場状態でレースが行われていたと考えれば、先行勢有利という傾向もあまりあてにならないかもしれない。例年との比較で考えれば差し馬の台頭に注意すべきだろう。
今回のメンバーで展開のカギを握るのは1枠1番に入った3歳馬バビットと前走・ジャパンカップで大逃げを見せたキセキの2頭。枠順的にはバビットのほうが楽にハナを取れそうに思えるが、前半である程度ペースを上げたいキセキの単騎逃げあるいは早めのマクりという線もあるだろう。少なくともペースが緩むことはないと考えれば、やはり末脚を活かすタイプのほうが信頼できるように思われる。
中山1800~2200mでの実績馬が好相性
適性のある馬が躍動するイメージが特に強いのが中山コース。有馬記念と言えば2007年のマツリダゴッホ(1着)などが印象的だ。では中山実績のある馬は有馬でも“買い”と言えるだろうか。
過去20年の有馬記念出走馬のうち、同年の中山芝重賞を勝利していた馬は全体で【4-6-5-45】で複勝率25%という成績だが、2000年ダイワテキサス(13番人気3着)や2001年アメリカンボス(13番人気2着)など大穴の好走もあり、単回収率は111%、複回収率は121%を記録している。なお、3600mという特殊な距離のステイヤーズS勝ち馬は馬券になっておらず、1800~2200mでの実績馬が特に好相性である点には注意したい。
また直近10年に限ると激走馬と言えるのは14年のトゥザワールド(9番人気2着)くらいだが、3番人気以内で【2-2-2-3】と安定しており、強調材料としては十分だろう。
一昨年の再現を
これらのデータを踏まえ、一昨年の覇者ブラストワンピースを本命に据えたい。今年のGⅠでは精彩を欠く競馬が続いており、少なくとも近走だけを見れば力が落ちたと考えるのも無理はない。しかし冬の中山では一昨年の本レースと今年のAJCCで2戦2勝。舞台適性という点では十分に評価できる一頭だ。
また2レースともに稍重だったことを考えても、時計がかかる今の馬場でパフォーマンスを下げるということはないだろう。グランプリホースの復活に期待したい。
対抗はクロノジェネシス。前走の天皇賞・秋ではアーモンドアイを直線で猛追するも3着。スタート直後の不利が響いてしまった格好だが、圧勝した宝塚記念とは真逆の時計が出る府中でもあれだけのパフォーマンスを出せるあたり、やはり実力は疑いようがない。馬場悪化でも不安はないし、小回り実績を考えれば初の中山でも不安には及ばないだろう。
3番手にカレンブーケドール。ジャパンCではデアリングタクトに最後交わされるも、あわや3強の一角を崩すかというところまで健闘。超ハイレベルな一戦でも力のあるところを示した。今回は、レース実績豊富な池添騎手を鞍上に迎えて変わり身も期待できるので、上位に評価したい。
4番手評価はワールドプレミア。ジャパンCはやや前と離されての6着に終わったが、11カ月ぶりのレースとしては及第点だろう。一度使った分の良化も期待でき、昨年は展開に助けられての3着だったとはいえ軽視するのは避けたいところだ。
天皇賞・秋でアーモンドアイを追い詰めたフィエールマンも人気の一角だが、本質的には広い舞台で末脚を活かす競馬が向いているタイプ。加速に時間を要するだけにトリッキーな小回り中山の舞台では人気ほどの信頼度はないだろう。外枠に入ったのも懸念材料なので、ここは相手評価にとどめたい。以下、ロスの少ない内目の枠を中心にラヴズオンリーユー、ラッキーライラック、キセキ、バビットまで手広く押さえておく。
▽有馬記念予想▽
◎ブラストワンピース
○クロノジェネシス
▲カレンブーケドール
△ワールドプレミア
×フィエールマン
×ラヴズオンリーユー
×ラッキーライラック
×キセキ
☆バビット
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
《関連記事》
【有馬記念】ルメール×乗り替わりは16年有馬以降で複勝率87.5% 中山芝2500mを徹底検証
【有馬記念】まさかの人気馬総崩れ?勝ち馬に必要な4つの条件をクリアしたのは3頭だけ
【有馬記念】引退の花道は自ら飾るもの 「前走GⅠで1番人気」「5歳以下」などを満たすのは?
おすすめ記事