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【有馬記念】2020年のグランプリはパワータイプ向きの馬場 波乱呼びそうな2頭は?

2020/12/25 06:00
三木俊幸
馬場適性チャートⒸSPAIAⒸSPAIA

ⒸSPAIA

パワータイプが好走する馬場

今週末で今年のJRA開催は最後……と言われても何故だかあまり実感が湧かない有馬記念ウィーク。しかし時間は止まってくれないので、刻一刻と近づくレースの予想モードへと頭を切り替え、苦しい年となった2020年をハッピーエンドで迎えたい。

まずは中山競馬場の馬場傾向について分析していく。先週末も全く雨が降らず、クッション値は土曜日が10.4、日曜日が9.9。ゴール前の含水率はそれぞれ10.5%、10.3%となっていた。

先週末の中山芝コース タイムと上がりⒸSPAIA


タイム面では土曜日に行われた重賞、ターコイズSは前後半4Fのタイムが46.5-48.1(−1.6)だったものの1:34.6で決着。日曜日のディセンバーSは49.5-47.9(+1.6)で1:49.2だったように、全体的に時計はかかっていた。

同時に上がりタイムも34秒台を記録した馬はゼロ。おおむね35秒〜36秒台の決着となっていたことからもパワータイプの馬が好走する馬場だったと言える。

差しが決まる傾向に

先週末の中山芝コース 通過順位ⒸSPAIA


しかし、先々週は全体の70.0%が4角4番手以内で先行馬が圧倒的に先行有利な馬場だったが、先週は54.5%まで低下。4角で8番手より後ろにいた馬も3勝、2着2回、3着2回という成績を残しており、差し馬の台頭も目立ちはじめている。

3着内馬が直線で通ったコースⒸSPAIA


この傾向は各馬が直線で通ったコースにも現れており、先々週は全体の63.3%にあたる19頭が内から4頭目より内から馬券に絡んでいたのに対し、先週は42.4%にあたる14頭のみ。内から5〜7頭目が13頭で39.4%、さらに日曜日の12Rで行われた3歳以上2勝クラスでは、レッドクレオスが内から11頭目を通って勝利することもあった。

先週は先々週と比較するとクッション値がやや低く、含水率も高かったことが影響している可能性もゼロではないが、有馬記念も先週と同様に時計・上がりがかかる馬場でのレースに、そして超スローペースにならない限りは差し馬の台頭も頭に入れておかなければならないと考える。

穴は横山父子が騎乗する2頭

これらのデータを頭に入れつつ、有馬記念に出走する注目馬の馬場適性をもとに予想を行なっていく。

馬場適性チャートⒸSPAIA


【クロノジェネシス】
前走の天皇賞(秋)は上がり32.8を使って3着。例年より時計のかかる馬場ではあったが、究極の瞬発力勝負でも引けを取らなかった点は力がある証だ。今回はさらに時計・上がりのかかる馬場になるので、条件的にもプラス。流れに乗ってレースを進めることができ、自在性のある脚質であることからも、減点材料は少ない。

【フィエールマン】
3000m以上のGⅠ3勝馬ということから、東京2000mという舞台で超一線級相手ではどうかと半信半疑だった前走は、後方から32.7の末脚でアーモンドアイを追い詰め、新たな一面を見せた。このことからも、やはり広いコースである程度時計の速い馬場があっていることは間違いないが、昨年4着という実績もあるので軽視するわけにはいかない。

【ラッキーライラック】
大阪杯、エリザベス女王杯と今年GⅠ2勝。能力は間違いなく上位だが、2走とも時計・上がりとも速い馬場でのもの。ひと叩きという感もあったことは否めないが、札幌記念では案外だった内容からも、今の中山コースで上記2頭より高い評価にはできない。

【カレンブーケドール】
勝ちきれないレースが続いているが、時計・上がりともかかる今の馬場はこの馬にとってベストと言ってもいい。今回は池添騎手との初コンビとなるが、手があっていそうだ。有馬記念4勝の名手が上手く導いてくれるだろう。

【ワールドプレミア】
昨年は最後方追走から直線だけで3着に追い込んだ。それ以来となった前走のジャパンCは明らかに叩き台と言ったレースながら0.8秒差6着と悪くない。今回もペースが流れて差しが届く流れになったら怖い存在だ。

【ブラストワンピース】
近走内容から忘れ去られている感じもあるが、2018年の優勝馬だ。パワータイプで時計のかかる馬場をめっぽう得意としているので、復活があるとすれば今回だと考えるので穴馬として押さえておく。乗りに乗っている横山武騎手がどのような乗り方をするのかにも注目したい。

【オセアグレイト】
前走のステイヤーズSはスローペースを3番手追走から上がり34.8で勝利。先行馬も揃っており、どう乗るかが難しいところだが、横山典騎手が上手く考えて乗ってくれると信じたい。馬場適性は高いのでこちらも穴としてあげておきたい。

▽有馬記念予想▽
◎クロノジェネシス
○カレンブーケドール
▲ワールドプレミア
△フィエールマン
☆ブラストワンピース
☆オセアグレイト

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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