SPAIA競馬
トップ>ニュース>【ホープフルS】2戦2勝馬に栄光 「前走1番人気」「ディープ産駒」など満点評価の1頭は?

【ホープフルS】2戦2勝馬に栄光 「前走1番人気」「ディープ産駒」など満点評価の1頭は?

2020/12/25 11:00
門田光生
ホープフルSのデータインフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

名馬が出現するレース

2020年のJRA最終週は豪華GI2本立て(J・GIを含むと3本)。まずは土曜日、12月26日に中山競馬場で行われる第37回ホープフルSだ。2017年にGIへ昇格してから、有馬記念を差し置いて(言い方が悪い?)トリを飾っていたが、今年はこれまでの28日ではなく、有馬記念の前日に当たる26日に行われる。

このレースは同じく年末に阪神で行われていたラジオNIKKEI杯2歳S(GⅢ)が前身で(回数を引き継いでいる)、2014年から場所を中山に移して行われている。同時にGⅡに、そして2017年からGIへ昇格となった。

ラジオNIKKEI杯時代はのちの活躍馬が出現することで有名で、2000年以降だとアグネスタキオン、ジャングルポケット、アドマイヤムーン、ヴィクトワールピサ、エピファネイアなどが連対馬に名を連ねており、そのほかにも書き切れないぐらいの名馬が誕生している。

中山へ移行してからの勝ち馬であるシャイニングレイ、ハートレーが連続で大ケガをした時は「呪われたレース」などという縁起でもない声も聞こえてきたが、以降はレイデオロ(ダービー、天皇賞・秋)、サートゥルナーリア(皐月賞)、そして今年牡馬三冠を達成したコントレイルを出して、出世レースの面目躍如となっている。

昔ほどでなくても、年末の中山といえば馬場が荒れているイメージ。そんな状態で行われるGIで全力疾走することは、若馬にとって決してリスクは低くない。しかし、その先にあるものは栄光への道。今年の出走馬からも、偉大な先輩たちに続く馬が出現することを期待しつつデータ分析をしていこう。参考にするのは中山へ移行した2014年から6年間。いつもよりデータが少ないのは不安だが、何とか勝ち馬を探し出したい。

関西馬の本気

ホープフル出走馬の所属ⒸSPAIA


前身はラジオNIKKEI杯2歳Sと書いたが、2013年以前にも同名のレースが中山で行われていた。ただラジオNIKKEI杯と同時期、同距離、そして格が劣る(オープン)こともあり、ラジオNIKKEI杯ほどメンバーが揃わないことが多かった。年末の中山で行われることが嫌われていたのか、重賞に昇格して最初の2年も目立った活躍馬は出なかったが、3年目以降は前述の通りのちのクラシック馬が続々誕生している。

格が上がるということは賞金も上がるということで、メンバーの質がよくなるのは当然のことだろう。それを象徴していると思われるのが所属別のデータ。栗東所属馬のGⅡ時代(2014~2016)の成績が【1-0-2-13】に対し、GI昇格後(2017~2019)は【3-3-1-20】。GⅡ時代は1頭しか連対していなかったのに、GI昇格後は独占状態。出走頭数も大きく増えており、賞金が上がったことにより関西勢が本気を出したという証拠だろう。

ホープフルS出走馬のキャリアⒸSPAIA


同じ2歳GIである阪神JFや朝日杯FSと同様、このレースも1戦1勝の馬から、夏にデビューしてキャリアを重ねてきた馬まで幅広く参戦してくる。そんな中で、連対例が最も多いのはキャリア2戦組。レイデオロ、サートゥルナーリア、コントレイルの3頭も2戦2勝からのホープフルS勝ちであった。

キャリア1戦組も10頭が出走して2勝というのも悪くないが、キャリア3戦、そしてキャリア5戦以上を超える組から勝ち馬は出ていない。

ホープフルS出走馬の前走着順ⒸSPAIA
ホープフルS出走馬の前走人気ⒸSPAIA


キャリアの浅い馬が活躍しているということは、同時に前走着順もいい馬が結果を出している。連対馬12頭中、前走1着馬が11頭を占めており、残る1頭も前走2着だった。少なくともこの項目はクリアしておきたいところだ。

前走人気も同様で、前走で1番人気に推されていた馬が10連対。残る2頭は2、5番人気だったので必須ではないが、前走で1番人気に支持されていた馬が結果を出しているのは間違いない。

中山芝2000mの種牡馬成績(12~3月)ⒸSPAIA


今回はデータが少ないので、冬場の中山芝2000mにおける種牡馬成績も調べてみた(2014年1月1日~2020年12月13日)。対象は今回登録している出走馬の父系。1位はディープインパクトで、冬場で力が要る状態であろうと全く関係なしである。

2位はキングカメハメハ。ディープインパクトには及ばないが、こちらも連対率が20%を超えている。3位ロードカナロア、4位エピファネイアは出走頭数が少ないので一概に比べられないが、ディープインパクトの勝率、連対率とほぼ同じ。モーリスやキズナも同様に高い適性を示している。

セール出身馬のホープフルS成績ⒸSPAIA


最後にセール出身馬の成績を。セール出身の馬の成績は【0-3-1-29】、セレクトセール出身馬は【0-1-1-19】。勝ち馬は出ていないが、1億円以上の値で取引された馬は【0-1-1-1】とそれなりの結果を出している。また500万から1000万円未満の価格帯の馬も【0-2-0-4】と大善戦。なぜか中間価格帯から好走馬が出ていないところが面白い。

未来は明るいヨーホーレイク

ホープフルSの加点要素は①栗東所属②キャリア2戦、続いて1戦③前走2着以内④前走1番人気⑤冬場の中山芝2000mで好成績を挙げている種牡馬を父に持つ(上記参照)、となる。

今回、減点要素が全くないのがヨーホーレイク。兄カミノタサハラは皐月賞後に故障を発症し引退を余儀なくされたが、筆者を含めたごく一部で「幻のダービー馬」と呼ばれていた逸材。ほかのきょうだいもコンスタントに活躍している良質な母系。そのきょうだいたちがどうしても手が届かなかったGIに、このヨーホーレイクが好データを味方に悲願を達成する。

次点はダノンザキッド。冬場の中山芝2000mにおいて、父ジャスタウェイが推せるほどの成績を残していない分の次点となっただけで、ほかはヨーホーレイクと同じく減点なし。この馬は2018年のセレクトセールで1億円超え。高額取引馬はそれなりの結果を残しているというもあり、当然ながらこの馬にも期待がかかる。

ランドオブリバティはGI昇格後が分の悪い美浦所属、アドマイヤザーゲは前走人気の項目以外は減点なし。このレースは2年続けて2戦2勝馬が勝っており、先出の2頭とともにその条件も満たしている。同様の理由でオーソクレースも拾っておきたい。

レース名の由来は「Hopeful(希望に満ちた)」。これまで負け知らずで、明るい未来が待っているはずの若駒5頭に希望を託そう。

◎ヨーホーレイク
〇ダノンザキッド
▲ランドオブリバティ
△アドマイヤザーゲ
×オーソクレース

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
例年だと年内最後のGIがホープフルS。有馬記念後のGIは蛇足、というのは言い過ぎとしても、やはり締めは有馬記念でしょう。最終レースとか、翌週のことを考えず、財布の中身全てを突っ込んでみたい今日この頃です。とはいえ根がヘタれなので、東京大賞典の馬券を買うお金は残しておくでしょう。

《関連記事》
【有馬記念】ルメール×乗り替わりは16年有馬以降で複勝率87.5% 中山芝2500mを徹底検証
【有馬記念】まさかの人気馬総崩れ?勝ち馬に必要な4つの条件をクリアしたのは3頭だけ
【有馬記念】引退の花道は自ら飾るもの 「前走GⅠで1番人気」「5歳以下」など