【朝日杯FS】注目は2頭のディープ産駒 末脚比べになれば穴馬ロードマックスにもチャンスあり

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レースレコード更新も?
12月20日(日)に阪神競馬場で行われる朝日杯FS(GⅠ・芝1600m)。2歳マイル王を決定する一戦に有力馬16頭が顔をそろえた。
人気の中心は未勝利戦、デイリー杯2歳Sをそれぞれレコードで制したレッドベルオーブ。全兄レッドベルジュールが獲れなかったGⅠタイトルを弟が手にするか、という視点からも注目が集まるが、京王杯2歳Sを勝ったモントライゼ、あるいはサウジアラビアRCの覇者ステラヴェローチェなどライバルも強力。
混戦を断つのは果たしてどの馬か。また、穴馬の台頭はあるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、阪神で施行された過去6年の傾向を分析する。

近年は1分32秒台にこそ突入していないものの、季節を考えれば相応に速い時計で決着している。今年は開催日割り変更で11月の頭から阪神での開催が続いており先週からBコースが使用されているが、それでも阪神JFの勝ち時計はレース史上2位タイの1分33秒1。イメージ以上に良好な馬場状態が維持されているようだ。昨年にサリオスが記録したレースレコードの更新も視野に入れるべきだろう。
近3年の1着馬は好位からキッチリ抜け出す競馬で勝利を挙げているが、それ以前は4角10番手以下に控えた馬が戴冠を果たしていたように、後方一気もしばしばハマっている。昨年を除いて、前が極端に速くなっているわけではないのだが、短距離向きの馬が先行して直線で止まってしまうことが多く、結果的に末脚を生かすタイプが浮上しているようだ。今回も差し・追い込み勢を上位に評価したい。
信頼のディープ産駒
今年の2歳世代はモーリス、ドゥラメンテ両産駒を筆頭に新種牡馬の活躍に注目が集まった。ディープインパクト、キングカメハメハがこの世を去った今、次世代のリーディングサイアーをめぐる争いはまさに群雄割拠といったところだ。
「既成勢力」の産駒数が減少する一方で「新興勢力」の産駒がどんどん増えていく状況だが、大舞台では果たしてどちらを信頼すべきなのだろうか。

2020年の芝・2歳特別戦の種牡馬別成績を見てみると、ディープインパクト産駒が最多の6勝、勝率30%超と依然として高いレベルで安定している。新種牡馬ではドゥラメンテ産駒が最多の4勝を挙げているが、連対率ベースではディープ産駒をはじめとする「既成勢力」が10%前後、優位だという点は押さえておく必要がある。
その意味で、「世代交代」はまだ始まったばかりであると考えるべきだろう。この点を踏まえて、今回は実績ある種牡馬の産駒を上位に評価してみたい。
もう一頭のディープ産駒
中心と目されるレッドベルオーブのほかにもう1頭出走するディープインパクト産駒のロードマックスを本命に据えたい。
前走の京王杯2歳Sではデビュー2戦とはうって変わって後方待機を選択し、上がり最速で2着。馬場・展開的に利があったのは否めないが、それでも勝ち馬モントライゼと接戦を演じたのは評価に値する。なにより気性面の成長がうかがえるレース運びであったし、GⅠで再びのマイル戦となる今回も末脚を生かせる展開ならチャンスは十分にあるはずだ。
対抗にレッドベルオーブ。近2走は互いに異なる展開のレースながら2戦連続でレコード勝ちを収めており、能力があるのは証明済み。ただ前走については直線で空いた内に導いた鞍上の好判断も大きかったし、結果的には2着馬にもアタマ差まで食い下がられている。
その意味で過信はすべきでないが、前走と比べて馬場状態の悪化は進んでおらず、頭数が増える以外に大きく条件が変わらないのは大きなアドバンテージだろう。軽視もできない。
3番手にはショックアクションを推したい。例年の新潟2歳Sは上がりだけの特殊なレースになることもしばしばであり、その後につながらないというケースも珍しくない。しかし今年は例年よりも比較的に締まった展開となり、一定の追走力も求められるレースとなった。
そこで好位追走から直線で抜け出したレースぶりは評価すべきだろう。休み明けで成長分をどの程度見積もるかは難しい問題ではあるのだが、早熟の外国産馬ということで軽視されるようなら狙い目。
4番手にステラヴェローチェ。今の阪神の高速馬場に適性があるのかどうかが一番のポイント。前走のサウジアラビアRCの圧勝劇は道悪適性を示すものだが、だからといって速い馬場が合わないと決めつけるのも早計。ここが試金石だ。
他にはアスター賞を差し切ったドゥラモンド、前走でレッドベルオーブにアタマ差まで食い下がったホウオウアマゾン、そして最後にモントライゼにも印を回すが、距離延長がネックと考えてここは相手評価までとした。
▽朝日杯FS予想▽
◎ロードマックス
○レッドベルオーブ
▲ショックアクション
△ステラヴェローチェ
×ドゥラモンド
×ホウオウアマゾン
×モントライゼ
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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