【阪神JF】阪神マイルは差し馬の複回収率127% 本命は前走で豪脚を見せた馬

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差し馬の回収率が高い阪神芝1600m
今週は、2歳女王決定戦である阪神JFが行われる。クラシックにもつながる重要なレースとなるので、このレースにおける各馬のレースぶりは来年に向けてしっかりと覚えておきたいところだ。まずは、阪神JFの舞台となる阪神芝1600mというコースについてのデータを紹介する。

今回の出走馬を見ると距離延長組が多く、またGⅠという事もあるので、前半3Fのタイムは速くなるのではないかと見ている。そこで、過去10年における良馬場の芝1600m戦で、前半3F34.4秒以下だったレースにおける4角9番手以下(差し馬)の馬の単複回収率をコース別に調査した。
その結果、新潟は単勝回収率72%、複勝回収率77%、東京は単36/複76、中山は単28/複29、京都外回りは単42/複65、中京は単12/複36。そして今回の舞台である阪神は単勝回収率が103%、複勝回収率127%であった。
コースの形態が異なるため、一概に34.4秒以下をハイペースと定義づけはできないものの、阪神マイルの差し馬の回収率は他の競馬場に比べてかなり高い。そうしたことから、差し脚質という点を特に考慮して予想したい。
ファンタジーSの末脚をもう一度!
◎オパールムーン
前走のファンタジーS(2着)のレベルが非常に高い。勝ち時計1分20秒1は阪神芝1400mの2歳レコードで、過去10年のファンタジーSで最も速いタイム。もちろん、京都と阪神の違いや馬場状態、ペースなども関係しているが、同じ週に同コースで行われた古馬3勝クラスの勝ち時計1分20秒7よりも0.6秒も速かった。
そうした中でオパールムーンは、道中最後方から上がり最速の33.5秒という強烈な末脚を繰り出して勝ち馬メイケイエールと0.1秒差でまとめており、非常に強い内容だったと言える。
データで示したように、阪神芝1600mは差し馬の期待値が高いコース。距離延長組が多く道中のペースが速くなりそうなメンバーで、この馬の差しに期待したい。人気面を踏まえても食指が動く。
○ジェラルディーナ
3冠馬ジェンティルドンナの子。新馬戦(3着)のレベルが高い。1着馬サトノルーチェは、次走の白菊賞を3着。2着馬のスパークルは次走で勝ちあがり、白菊賞2着。4着馬エンスージアズムも次走勝ち上がりというように、早期に勝ち上がっている馬が多くレベルが高い。
新馬戦は大きく出遅れたものの、立てなおして3着。2走目(2着)は、序盤から折り合いを欠いてしまい、直線ではふらつきながらの競馬だった。能力だけで2着に入ったと言ってもいい。
前走(1着)は、レースラップ12.7 - 10.8 - 11.4 - 12.0 - 11.8 - 12.0 - 11.9 - 11.4 - 12.7(34.9-36.0)というハイペースで、最後がバテるような厳しい競馬で勝利。この経験が今回予想される、ある程度ペースが流れるような展開でも活きてくると読む。折り合い面の悪さは一過性と見ているので、そこまで心配する必要はないはずだ。素質があるのは間違いないので非常に面白い1頭。
▲ソダシ
新馬戦(1着)は、12.6 – 12.2 - 12.7 - 12.7 - 12.5 - 12.4 - 12.0 - 11.7 - 11.6の加速ラップで強い競馬。その後も堅実に連勝を重ねている。アルテミスSは展開と相手に恵まれた印象はあるとはいえ、1600m以上で強い競馬をした馬が少ないので、ここでも大崩れはしないと見て3番手評価とした。
△サルビア
新馬戦(1着)のレースラップが、12.6 - 11.0 - 11.6 - 12.2 - 12.3 - 11.3 - 11.3(35.2-34.9)。ラスト2F11.3‐11.3と速い上がりに対応できており優秀。2着馬グレナディアガーズは2走後に好時計で未勝利を圧勝しているように、新馬戦の上位2頭は相当強かったのではないかと見ている。2走前のりんどう賞(1着)は、相手が弱かったものの、2着に5馬身差の圧勝。前走のファンタジーSは序盤から折り合いを欠いて競馬になっていなかった。折り合いの悪さが克服されているのなら。
以下、×サトノレイナスの前走サフラン賞(1着)は、中山の外差し馬場の恩恵を受けた分もあり、タイム的な価値も平凡。ただし、良血馬特有のレースごとにパフォーマンスを大きく上げてくる可能性を考慮して押さえる。
そして折り合い面が不安で、さらなる距離延長は課題であるが、好タイムのファンタジーS勝ち馬×メイケイエール。最後に、白菊賞の時計面が優秀で、負かした相手も強かった☆エイシンヒテンまで押さえておきたい。
▽阪神JF予想▽
◎オパールムーン
○ジェラルディーナ
▲ソダシ
△サルビア
×サトノレイナス
×メイケイエール
☆エイシンヒテン
(文:ケータロー)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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