【ジャパンC】アーモンドアイ、デアリングタクト、コントレイルの3強で一番強いのは?穴はウェイトゥパリス

山崎エリカ

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三冠馬3頭の中で、一番強い馬は?

名勝負が繰り広げられてきたジャパンCだが、過去にも三冠馬対決は二度あった。1984年のミスターシービーvsシンボリルドルフと2012年のオルフェーヴルvsジェンティルドンナである。しかし、3頭の三冠馬対決となるとこれまでにない。まして無敗の3歳三冠馬が2頭も参戦となると、一生に一度あるかないかだろう。まさに空前絶後のドリームマッチ。観るだけでも十分に価値があるが、馬券もしっかり当てて高揚感を高めたい。

三冠馬対決と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは、「どの馬が一番強いか?」だろう。3強の中で一番強いのは、超高速馬場で行われた一昨年のジャパンCで、指数「-32」を記録して優勝したアーモンドアイである。

一昨年のジャパンCはキセキが逃げ、前半はスローペースだったが中盤で強烈にペースを引き上げて、2番手のアーモンドアイの末脚を封じる作戦に出たことで、2分20秒6の世界レコードが生まれた。キセキはアーモンドアイよりも持久力で優る馬だけに、レース運びとしてはこれ以上ないくらいに完璧だった。アーモンドアイは最内枠からロスなく立ち回ったにせよ、キセキのペースについて行ってもバテず、ラスト1Fで同馬に約1馬身つけた内容は、明確に強いと言える。

アーモンドアイが今回でも、一昨年のジャパンCの走りができれば、他馬が全力を出し切ったとしても敵わないだろう。また、アーモンドアイは今年も春のヴィクトアイアマイルと秋の天皇賞を指数「-28」で優勝しており、PP指数の最高値も能力値もここではNO.1だ。

能力値1位、最高値1位のアーモンドアイの死角

2020年ジャパンカップPP指数



アーモンドアイの死角は、休養明けの前走、天皇賞・秋から中3週で出走すること。この馬は休養明けで挑んだ今春のヴィクトリアマイルでは、正攻法の競馬で大楽勝したが、中2週で挑んだその次走の安田記念では2着に敗れている。

この安田記念でアーモンドアイはやや出遅れたが、スプリンターのダノンスマッシュが逃げ、緩みないペースで引っ張ったことで先行馬が総崩れしており、致命的なものではない。スタートしてから二の脚で中団まで取り付くロスはあったが、展開上は恵まれている。

アーモンドアイはもともと一戦ごとの消耗が大きく、それまでレース間隔を中5週開けることで連続好走を達成してきた馬。中3週では疲れが抜けない可能性が考えられる。今回は前走よりもパフォーマンスを落とす可能性が高いが、安田記念でも2着を死守したあたりから、さすがに軽視はできない。

また、一昨年のジャパンCやヴィクトリアマイル、過去2年の秋の天皇賞優勝が示すように、この馬がこれまで好走してきたのは、東京の超絶高速馬場~高速馬場。今の東京芝コースは高速状態になく、今春の安田記念以上に時計を要している点も減点材料だ。

デアリングタクトが能力値5位以内に入っていない衝撃

実はデアリングタクトの能力値は7位である。先日のエリザベス女王杯で3歳馬が全滅したように、中距離路線の3歳牝馬のレベルがあまり高くない。そのうえ牝馬三冠のうち、桜花賞、秋華賞は逃げ馬がペースを引き上げたことで展開に恵まれて優勝している。

確かにオークスでは、4コーナーの中目から外に出したが直線序盤で進路がなく、再び中目に切り替えてマジックキャッスルとの進路取りの争いを制し、中団から一気に2列目まで上がり、ラスト1Fで前を捕らえ半馬身差で優勝と鋭い脚を見せている。

しかし、オークスであれだけの決め手が使えたのは、素質が高ければこそである一方、中団の内目に位置を下げ、我慢の競馬に徹したからというのもある。脚をためにためた結果が、抜群の瞬発力につながったということ。また、オークスのラスト3Fは11.2-11.2-11.8だが、この馬自身も最後が甘くなってしまったあたりから、鋭い末脚は使えても、長く使えないことが推測される。

このタイプはスローペースになっても勝ちに行かずに、脚をためることで好走するハープスター型。今回のメンバーが相手となると、ポジションを取りに行く正攻法の競馬では、末脚不発するだろう。しかし、直線一気のイメージで乗れば、上位争いに加われて不思議ない。オークスと同じような乗り方をする可能性が高いだけに、ここは警戒したい。

コントレイルの評価は?

コントレイルはかつての牡馬三冠馬と比べると、「地味だ」と言われている。確かに前走の菊花賞では3~4コーナーの外からアリストテレスにフタをされて動くに動けない状況となり、苦戦を強いられた。4コーナーでコントレイルの前にいた同馬主のディープボンドがそれを察して内に切り込みながら仕掛けたことで進路が開き、そこでスッと反応して外に進路を変え、アリストテレスとの叩き合いをクビ差制した形。

ディープボンドが進路を開けていなければ、2着に敗れていた可能性はあるが、一瞬で動ける反応の良さというのは、素質が高ければこそである。それに3着のサトノフラッグを3馬身半差も引き離していることから、アリストテレスが思いのほか手強かったと評価できるだろう。

過去の無敗の三冠馬シンボリルドルフやティープインパクトが、古馬初対戦で初めて土がついたことから、「三冠馬の古馬初対戦は鬼門」と言われている。確かにクラシック上位馬にとって、日本ダービー後は菊花賞が大目標となり、その後の一戦は余力で走らせることが多い。シンボリルドルフもティープインパクトもそのパターンで3着、2着と敗れている。

コントレイルの長所は、前記の無敗の三冠馬よりも古馬と比較した場合の強さの裏付けのない一方で、菊花賞で楽な競馬ができていること。馬場の良い好位の内目でレースを運んで脚をためつつ、4コーナーでも外に持ち出さず、進路変更するだけで優勝している。最終的にここにアーモンドアイが出走してきただけで、当初からジャパンCを視野に入れていた節が感じられる。

穴馬は?

【ウェイトゥパリス】
この馬の近4走を振り返って、目立ったのはゲートの悪さと二の脚の遅さ。しかし、4走前のカネ―賞(シャンティイ芝2100m)ではいつものように後方からの競馬だったが、ペースがある程度流れた中で、馬なりで前と差のない位置まで追い上げ、最後の直線ではソットサスの直後からラスト1Fでしぶとく食らいついてアタマ差まで迫っている。

欧州よりも時計の速い日本では、まず序盤で置かれるだろうが、しぶとい馬ではある。馬場が今以上に悪化した場合には重印を打ちたいし、スローペースでも捲れる欧州版ゴールドシップのような馬なので、M.デムーロ騎手のタイミングひとつでチャンスがあるかもしれない。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)アーモンドアイの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.9秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

<ライタープロフィール>
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。


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