【ジャパンC】三冠馬3頭の夢の競演 伝説を作るのはどの馬か

東大ホースメンクラブ

ジャパンC4角通過順位別成績 インフォグラフィックⒸSPAIA

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三冠馬3頭が激突

11月29日(日)に東京競馬場で行われるジャパンC(GⅠ・芝2400m)。前走・天皇賞(秋)を制して史上最多の芝GⅠ・8勝を達成したアーモンドアイ、父ディープインパクト以来となる無敗の三冠馬コントレイル、史上初めて無敗で牝馬三冠を制したデアリングタクトの三冠馬3頭が府中のチャンピオンコースで雌雄を決することになる。

日本競馬史において伝説と語り継がれるレースのほとんどをリアルタイムで目撃することができなかった若輩のいち競馬ファンの身としては、紛うことなき伝説を目の当たりにできる期待と興奮で浮足立つような気分である。

とは言っても、馬券の検討はもちろん地に足をつけてやらねばなるまい。世界が注目する一戦を制するのは果たしてどの馬なのか、今週もデータを踏まえて検討していこう。はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

ジャパンC 過去10年のタイムと4角順位ⒸSPAIA



スワーヴリチャードが制した昨年は、比較的にタフなレースとなったが、おおむねペースは平均からスローに落ち着いている。勝ち馬は15年のショウナンパンドラを除いてみな4角6番手以内の位置を取っていたが、後方待機勢も馬券圏内にはキッチリ入っており、全体的に脚質による有利不利は少ないと言える。

アーモンドアイが2分20秒6のスーパーレコードを叩き出した一昨年は前に行った馬で決着したが、かなり内有利の高速馬場だったことを思えばこれは例外とみなすべきだろう。

今回は上位人気勢がそろって内枠に入ったが、直近の東京芝コースは内目がかなり傷んできていることから最後の直線は馬場を広く使った横一線の叩き合いが想定される。条件的には各馬ともに実力を存分に発揮できるものと考えたい。

3歳馬を信頼する

ジャパンC・古馬との初対決となる3歳馬ⒸSPAIA

3頭の三冠馬の評価するうえでは、やはり世代間のレベルは気になるところ。特に三冠馬が誕生した世代はそのレベルが疑問視されやすいだろうし、今回のように人気を集めている場合ではなおさら「古馬との初対決」という点で疑問視したくなるかもしれない。

一方で、86年以降のジャパンCで古馬と初めて対決した3歳馬(海外馬を除く)は【3-6-4-19】で複回収率101%を記録しており、勝負になるかどうかという点ではもとからハードルはそこまで高くない。そういう意味で、古馬に通用しないのではという心配はまず杞憂だろう。

特に斤量53kgの恩恵がある牝馬は【2-2-1-3】と安定感抜群であり、アーモンドアイ・カレンブーケドールとここ2年連続で好走している点も含めて評価すべき材料だ。

上昇度は随一

以上を踏まえて、本命はデアリングタクトとする。この馬の三冠レースを振り返ると着差はいずれも大きくはなく、「史上初の無敗の三冠牝馬」という肩書きに比べてレースぶりは地味なものだったかもしれない。

しかし、かなりの重馬場となった桜花賞や直線で一時は進路を失いながらも差し切ったオークスなど、タフなコンディションや不利にも動じない点では3強のなかでも全く見劣りしない。前走・秋華賞はオークスからの直行で+14kgでの出走だったが、仕上がりに余裕があったと考えれば2戦目でさらなる良化も見込めるだろう。3強のなかでは最も上積みが期待できるこの馬がレースの中心だ。

対抗にコントレイル。前走・菊花賞は2着馬アリストテレスに最後まで苦しめられたが、それでも勝ち切る勝負根性はやはり歴史的名馬のそれと言わざるを得ない。今回は600mの距離短縮かつ府中替わりということで、条件的には大幅に好転したものと言える。あとは激戦のダメージが残っていないかという点だけだろう。

アーモンドアイは3番手評価としたい。この馬にとって府中は庭のようなものかもしれないが、条件的にほぼベストに近い2000mから400mの距離延長という点は他馬の比較において重視すべきだろう。軽斤量と内有利の高速馬場を生かしてレコードを叩き出した3歳時を基準としても、比較的に馬場が低速化している点もあまり歓迎できない。ラストランで究極の仕上げが期待されるところだが、少なくとも前走ほどの信頼は置けないとみてこの評価とする。

4番手にカレンブーケドール。勝ち切れずに2着が久しく続いているのも相手なりに安定して走れている証拠であるし、昨年2着の実績を考えても軽視すべきではない。仮に3強の一角が崩れることがあれば真っ先に浮上してくる一頭だ。オッズを考えるとあまり印は回せないが、相手には初の府中が合いそうなワールドプレミアを押さえておくことにする。

▽ジャパンC予想▽
◎デアリングタクト
○コントレイル
▲アーモンドアイ
△カレンブーケドール
×ワールドプレミア

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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