【ジャパンC】コントレイルは激走後の疲労が心配 3強の中で最も好材料が多いのは?

京都大学競馬研究会

2020年の芝古馬混合GⅠの性別成績 インフォグラフィックⒸSPAIA

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今年の古馬は牝馬が強い

11月29日(日)に東京競馬場で行われるジャパンC(GⅠ・芝2400m)。芝GⅠ8勝のアーモンドアイ、無敗の3冠馬コントレイル、同じく無敗の3冠牝馬デアリングタクトが一堂に会し、現役最強馬決定戦の様相を呈している。筆者も競馬ファンの一人として、これほどのメンバーが揃った歴史的な一戦をリアルタイムで見られるのは非常にうれしい限りだ。

3強の比較を中心にしつつ、他に食い込める馬はいるのか、過去の傾向や現在の勢力図を踏まえながら予想していく。

2020年の芝古馬混合GⅠでの性別成績ⒸSPAIA


まずは、古馬の中での勢力比較をしていく。以前、天皇賞(秋)の予想記事でも書いたが、今年の古馬は牝馬が強い。先週のマイルCSをグランアレグリアが勝ったことにより、今年の芝古馬混合GⅠは牝馬が7戦6勝となった。

唯一勝てなかったのは天皇賞春であり、このレースに出走していたのは条件馬のメロディーレーンのみだったので、実質今年の古馬混合GⅠは牝馬の独壇場だったと言える。

今回は三冠を達成した3歳馬2頭と、古馬の中での最先着は牝馬だとみて、アーモンドアイとカレンブーケドールを中心に考えていきたい。

3歳馬を買うなら牡馬より牝馬?

過去10年の3歳馬の成績(外国馬を除く)ⒸSPAIA


次に3歳馬について、過去の傾向を見ていく。過去10年のジャパンCにおいて、3歳牡馬は【1-1-1-9】、3歳牝馬は【2-2-0-4】だった(外国馬を除く)。出走数は多くないものの勝率、連対率ともに3歳牝馬の方が優秀。

3歳牡馬の菊花賞組の成績は【1-0-0-4】、馬券に絡んだのは2010年2位入線後に繰り上がりで1着になったローズキングダムしかいない。この年のジャパンCはやや特殊で、外国馬が8頭出走していたこと、日本の3歳馬が4頭出走していたこと、古馬が手薄だったことなどがあり、3歳馬が好走しやすくなっていた感は否めない。

菊花賞から転戦してくる3歳馬は、長距離レースを走った後なので疲れが抜け切っていない場合が多いと考えた方が良いだろう。特に今年のコントレイルはかなりハードなレースをしており、見えない疲れがあっても驚けないので注意が必要だ。

今年の3歳馬のレベルは低い?

主な3歳馬の古馬混合GⅠでの成績ⒸSPAIA


最後に、3歳馬のレベルについて触れておく。今年の3歳馬はレベルが低いと耳にすることが多々ある。確かに例年に比べて古馬混合重賞で勝利した馬が少なく、芝では毎日王冠のサリオスとアルゼンチン共和国杯のオーソリティしかいない。ただ、この2頭は完勝しており、コントレイルはこの2頭を完全に負かしていることを考慮すると、世代のレベルを気にする必要はない。

牝馬の方は、そもそも古馬混合重賞に出てきた馬があまり多くないが、ウインマリリンがエリザベス女王杯で4着、レシステンシアがマイルCSで8着などがある。前者はしぶとく伸びて4着の及第点、後者は休み明けだったことからも酌量の余地がある。この点を考えると、3歳牝馬も言われているほどレベルが低いわけではなく、この世代の中で力が抜けていたデアリングタクトについても、気にする必要はないとみる。

3強で最も臨戦過程が良いデアリングタクトが本命

以上を踏まえると、コントレイル、デアリングタクト、古馬牝馬の間の力関係は拮抗しているとみてよい。実力が拮抗しているとなれば、臨戦過程や馬場適性を中心に考えたい。

そこで本命はデアリングタクト。ハードな菊花賞を使ったコントレイルや、休み明けが得意で間隔を詰めると甘さの出るアーモンドアイに対し、秋華賞では馬体重が大きく増えており、休み明けでテンションが高かったことを考慮すると、使っての上積みは大きい。

また、現在の東京競馬場は、開催前半の大雨の影響で例年より荒れている部分が目立つ。重馬場の桜花賞で突き抜けているように、荒れた馬場も楽にこなすので今の馬場も歓迎。3強の中で最も好材料が多いので本命に推す。

対抗はアーモンドアイ。前走の天皇賞秋ではフィエールマンやクロノジェネシスに詰められたが、この2頭は非常に強いので勝ち切ったことは能力の証し。決して衰えてはいないと言えるだろう。今回は内の偶数枠という絶好の枠を引き当て、まともに走れば十分勝ち負けできる。ただ、間隔を詰めるとあまり良くないこと、今のやや荒れた馬場があまり合わないので対抗までとする。

3番手はカレンブーケドール。この馬はなかなか勝ち切れないが、強い相手にも食らい付ける力を持っている。前走のオールカマーでは2着に敗れたが、休み明けはあまり走らず叩いて良くなるタイプなので問題ない。また、この馬は2着だったオークスのように前半のペースが流れた方が力を発揮できるタイプで、今回はヨシオやトーラスジェミニが引っ張り、締まった流れになりそうなのも好材料。3強の牙城を崩すとしたらこの馬だ。

4番手にコントレイル。無敗の3冠馬であり能力が高いのは紛れもない事実だが、やはり菊花賞からの臨戦は気がかり。今週になって状態は上がってきているようだが、今までにないタフなレースだった菊花賞から中4週では、見えない疲れがあっても不思議ではない。逆らうならこことみて押さえまでとする。

今年のジャパンCは後世にまで語り継がれるであろう歴史的な一戦。コロナ禍で現地観戦できないのは残念だが、テレビの前で正座をして目に焼き付けたい。(文:川崎)

▽ジャパンC予想▽
◎デアリングタクト
○アーモンドアイ
▲カレンブーケドール
△コントレイル

ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。


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