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【東スポ杯2歳S】クラシック当確ランプは先送り 出世レース制覇も気になる「着差」

2020/11/24 11:25
勝木淳
2020年東京スポーツ杯2歳ステークスレース展開図インフォグラフィックⒸSPAIA

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戦歴は歴代ダービー馬とそん色なし

「府中の1800m展開いらず」とは故・大橋巨泉氏の格言。この舞台は紛れが少なく、ごまかしや小細工に結果が左右されない。いわば能力査定に最適であることを指す。2歳11月の東京スポーツ杯2歳Sの価値は東京芝1800mという舞台が高めている。

昨年のコントレイル、17年ワグネリアン、11年ディープブリランテとここ10年で3頭のダービー馬を輩出。この3頭の共通点は2着との着差0秒5以上。能力査定の舞台だけに時計以上に着差が大切。ただ勝つのではなく、2歳11月の時点でライバルに決定的な差をつけることが求められる。

勝者ダノンザキッドは阪神芝1800mの新馬勝ち以来の出走。これは先輩ダービー馬コントレイルやディープブリランテと全く同じローテーション。その新馬戦で2着馬につけた着差はコントレイルが0秒4、ディープブリランテが0秒8。そしてダノンザキッドは0秒5差。戦歴上は東京スポーツ杯を勝利する力は十分あった。では内容はどうだっただろうか。

2着につけた着差0秒2を考える

レースはタイトルホルダーが先手を奪うかと思われたが、レインフロムヘヴンが注文をつけてペースを奪う。序盤こそ11秒台が続くものの後続馬群から離れ、大逃げの形をとることでレインフロムヘヴンは落ち着きを取り戻し、その後はペースダウン。離れた先頭でも前半1000m通過1分0秒5で、2番手以降はスローペース。後ろに構えた組には厳しかった。

ダノンザキッドは6月以来の出走で馬体重+24キロ。すべて成長分といっていい馬体だったが、久しぶりの競馬場で発汗が目立った。発馬直後は頭を上げるなど幼さをのぞかせながらも緩い流れを3番手で我慢できた。

コントレイルも2歳時には行きたがる素振りを見せる場面があり、余るほどの前進気勢のあらわれと考えたい。最後の直線は目の前にいたタイトルホルダーを捕らえるだけという省エネな競馬。厳しいクラシックロードを思えばこの形で勝てたことは大きい。

タイトルホルダーと競り合って抜け出した残り400mからのラップは11.0-11.4。そして2着に残ったタイトルホルダーにつけた着差は0秒2だった。データ上ではダービー当確ランプは残念ながらつかない。

歴代ダービー馬とこの時点で比べてしまうのはいささか無理もあるが、着差0秒5というラインを下回った。2着は前で粘りこんだタイトルホルダーだったことを考えると、今後の評価は次走に予定されているホープフルSに持ち越された。気性の若さが解消されればパフォーマンスは自然とあがるだろう。早急に結論を出すことはない。

2着タイトルホルダーは先手を奪おうとしたところにレインフロムヘヴンに来られてリズムを乱したものの、うまく立て直して最後まで粘った。若駒なら大敗してもおかしくないシーンがあっただけに、スローペースに恵まれた2着という評価は早計かもしれない。先手を奪った際はさらに力を出す可能性はある。

3着ジュンブルースカイは外枠で、発馬直後ごちゃついた場面で不利を受けることはなかったが、自然と後方馬群に位置。ペースを考えれば難しい位置からよく3着に追い上げたが、武豊騎手がダノンザキッドの後ろにつけて同馬を意識したレース運びを施しながら離されてしまった。現時点では力負けという印象もあり、次走ダノンザキッドの3着という成績から上位人気に押されるようなら嫌ってもいいかもしれない。

2020年東京スポーツ杯2歳ステークスレース展開

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。


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