【マイルCS】先週末は高速馬場で内有利 ペースが流れてもグランアレグリアに死角なし

三木俊幸

2020年マイルCS馬場適性チャートⒸSPAIA

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引き続き高速馬場

今年は阪神競馬場が舞台となるマイルCS(GⅠ・芝1600m)。2走前の安田記念でアーモンドアイを撃破、前走のスプリンターズSでは後方追走から1頭だけ次元の違うレースを披露したグランアレグリア。春のクラシック2戦ではコントレイルにこそ敵わなかったが、他馬には先着させない強さを見せたサリオス。さらに淀みないラップを自ら刻んでGⅠ勝利をあげているレシステンシアとタイプの違う馬が集結しただけに、面白いレースとなりそうだ。今週も馬場適性の観点から分析、予想を行っていく。

先週末の阪神競馬場芝コースのクッション値は9.8。金曜日から日曜日まで3日間とも全く同じ数値だった。土曜日に行われたデイリー杯2歳Sでは、レッドベルオーブが1:32.4の2歳レコードをマーク。日曜日のエリザベス女王杯でも2:10.3という速いタイムが出る高速馬場だった。

先々週の日曜日から雨が降っていないものの、今週は木曜日の夜から金曜日の朝にかけて雨予報。さらにレース当日にも、雨がパラつく可能性もある。雨量自体は少なそうなので、良馬場でのレースになるとは思うが、天気予報を注視しておきたい。

マイルCSと同コースでペースも46.6-45.8(+0.8)と程よく流れたデイリー杯2歳Sについて見てみると、5番手を追走していた勝ち馬レッドベルオーブの上がりは34.0、2着ホウオウアマゾンと3着スーパーホープは34.2。マイルCSもある程度ペースが流れそうだが、古馬GⅠ級の瞬発力、前2週の馬場状態が良かったという点から、急激に上がりがかかるということはないはずだ。

また、芝外回りコースで行われた5レースで馬券圏内に好走した15頭が直線で内から何頭目のコースを通って伸びてきたかについても調べてみた。

勝ち馬は最内が2頭、内から3頭目が1頭、4頭目が2頭という内訳となっている。3着以内に入った15頭中14頭が内から5頭目以内を通って伸びてきており、内有利の傾向が見られた。

内回りコースで争われたエリザベス女王杯は内から5頭目、9頭目、7頭目という決着に終わったように、外が伸びない訳ではないが、内の馬場状態が良いのでロスなく立ち回った馬が結果を残していると言えるだろう。

穴で押さえておきたい馬は?

今年のマイルCSはレシステンシアがレースを引っ張ることになりそう。速めのラップを刻んでの持久力勝負が得意な馬なので、Sペースになることはないと考える。

馬場適性チャートⒸSPAIA



【グランアレグリア】
高速馬場で上がりの速い決着を得意としているので、今回の馬場への適性はかなり高い。ある程度速いペースになることが想定されるが、差し脚質に転換した4走前の阪神C以降は全てMまたはHペース。仮に馬場が渋ったとしても、高松宮記念と安田記念で好走していることからも死角は見当たらない。

【サリオス】
昨年のサウジアラビアRCを1:32.7で勝利していることからも、高速馬場は歓迎。今回と同舞台の朝日杯FSを勝っており、このとき前半4Fの通過が45.4のHペースを3番手追走から押し切った内容は評価できる。1600〜2000mの適距離では大崩れはないだろう。

【インディチャンプ】
昨年の春秋マイル王で実績は十分。前走の安田記念は伸び上がるようなスタートとなったことで中団からのレースとなり、3着。グランアレグリアに0.5秒差つけられた点も踏まえると、ある程度落ち着いたペースを好位から差すという競馬がベスト条件ではないだろうか。

【レシステンシア】
先週のデイリー杯2歳Sでレコードが塗り替えられるまでの2歳レコードホルダー。それだけに今の馬場への適性は高い。騎乗する北村友騎手はチューリップ賞でSペースの競馬をして3着に敗れた後、乗り替わりとなってしまっただけに、再び回ってきたチャンスで同じような失敗はしないだろう。自分の競馬に徹してどこまで粘れるかといったところだ。

【サウンドキアラ】
前走のスワンSは休み明け、1400m、開催最終週で内がかなり荒れた馬場で1枠1番からスタートしたということを考慮すれば度外視可能。2走前のヴィクトリアマイルはアーモンドアイには敵わなかったが、ノームコアには先着させなかった。究極の瞬発力勝負になると分が悪いので、ある程度ペースが流れるのは歓迎材料。勝つまでは難しいが、ひと叩きされた上積みもあるので、変わり身があっても不思議ではない。

【ケイアイノーテック】
近5走中、1600m戦の4戦は全て掲示板に載っており、3走前の安田記念でも5着となるなど地味に安定した成績を残している。裏を返せばあと一歩足りないとも言えなくはないが、ペースが流れた時に良さが出るタイプだと見ているので、穴として押さえておきたい。

▽マイルCS予想▽
◎グランアレグリア
○サリオス
▲サウンドキアラ
△レシステンシア
×インディチャンプ
☆ケイアイノーテック

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。


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