【マイルCS】牝馬連対ゼロでグランアレグリアに暗雲 「牡馬」「前走4人気以内」等を全て満たす1頭は?

門田光生

2020年マイルチャンピオンシップデータインフォグラフィックⒸSPAIA

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かつては「日本一堅いGⅠ」とも

エリザベス女王杯はラッキーライラックが人気に応えて優勝。ここで出した不利なデータを覆して勝たれてはぐうの音も出ない。当日人気が分からなかったので挙げなかったが、1番人気馬が8連敗中というデータも全く関係なかった。

今冬の阪神は例年と違って連続開催となるので、競馬場側はそれに耐えうる馬場状態に仕上げてきたようだ。それが高速決着という結果になり、京都と同じくパワーよりスピード重視の傾向になっているのかも。はい、言い訳でした。

マイルCSでリベンジだ。マイルCSといえば「日本一堅いGI」と呼ばれた時代があったのだが、ここ10年だと馬単、3連複とも平均配当が1万円を超えており、3連単に至っては10万円オーバー。このレースの大穴といえば「あっと驚くメイショウテゾロ」が有名だったが、今やふたケタ人気馬が馬券に絡むのは当たり前になっている。ただ、近5年だとふたケタ人気馬は3着までに来ておらず、馬単も10万円を超えていない。単勝も5年連続で10倍以下の馬が勝っており、驚くような波乱は起こっていない。

さて、今年は人気馬とそうでない馬にはっきり分かれそうだが、果たしてどうなるのか。いつも通り過去10年のデータに加えて、エリザベス女王杯と同様に京都と阪神の成績を、種牡馬別に分けて分析していこうと思う。

ハービンジャー産駒が躍進?

今年のマイルCSは阪神の芝1600mが舞台となる。同じ距離、外回りでも、時計のかかり具合や芝の質が違うので、種牡馬によって得意、苦手が分かれている可能性は十分ある。

京都・阪神芝1600mの種牡馬別



京都芝1600mの勝利数1位は、119勝を挙げているディープインパクト産駒。2位ダイワメジャー産駒が34勝だから、このカテゴリで敵なしといえるだろう。今回登録している出走馬の父系だと、3位以下はハーツクライ、アドマイヤムーン、ステイゴールドの順となる。

阪神芝1600mも1位はディープインパクトで109勝。京都芝1600mと同じく、2位に3倍以上の差をつけている。勝率、連対率もほぼ変わらないので、舞台が阪神に移っても全く影響なし。同様に京都と阪神でほぼ同じ数字を出しているのはダイワメジャー、タイキシャトル、タートルボウル。

阪神の方が成績の落ちている種牡馬はアドマイヤムーン、ヴィクトワールピサ、ジャスタウェイ。アドマイヤムーン産駒は勝率こそ京都10.5%→阪神8.7%と微差だが、連対率は京都19.8%→阪神13.5%と大きく落ちる。ヴィクトワールピサ、ジャスタウェイ産駒はアドマイヤムーンとは逆で、連対率はほぼ変わらないものの勝率が大きく下がってしまう。

阪神になると成績が上がるのはハーツクライ、ステイゴールド、ハービンジャー。3頭とも勝率、連対率が大きく上昇するのだが、特に上げ幅が大きいのはハービンジャー。今回はハービンジャー産駒のペルシアンナイトが最もコース替わりの恩恵を受けるのではないか、と推測される。

なお、リアルインパクトとハードスパン産駒はサンプルが少ないため検証の対象外となる。

牝馬は連対例なし

年齢別



ここからはいつも通り過去10年のデータを基に検証していく。まずは年齢だが、最もいい成績を残しているのは4歳馬。4勝、10連対は全世代で1位の数字で、勝率や連対率もトップ。3、5、6歳馬の数字は似たり寄ったりだが、7歳以上になると馬券に絡んだ馬はいない。

性別

今年はアーモンドアイやクロノジェネシス、ラッキーライラックなどが牡馬混合GIで結果を出しているように、芝レースに関しては性別の差はほぼないとみていいだろう。今回出走するグランアレグリアも、安田記念とスプリンターズSで牡馬を圧倒したのは記憶に新しいところ。しかし、このマイルCSに限ってはここ10年、連対馬は全て牡馬。牝馬は3着に2頭(うち1頭は海外所属馬)いるだけだ。

所属別



所属別で見ると、栗東所属馬が美浦所属馬を圧倒。勝率、連対率ともに倍近い差をつけている。

前走着順

前走人気



前走着順だが、前走1~4着馬(勝率6.9%)よりも、前走5~9着馬の勝率(7.5%)が高いことが判明。前走成績が信頼できないことも、堅く収まらない要因のひとつなのだろう。

ただ、前走人気は違うようで、前走1~4番人気の馬が18連対と、かなりの高確率で連に絡んでいる。できればこのデータは満たしておきたいところだ。

前走レース別

出走間隔



ステップレース別だと最も連対馬を出しているのは富士S。7頭出しているのだが、勝率や連対率で大きな差はついておらず、どのレースからでもチャンスがあるといえる。

ただし連対馬20頭中、19頭が中8週以内のローテーション。エリザベス女王杯と同様、休み明けの馬には厳しい結果が出ている。唯一の例外は2015年のモーリス。安田記念から直接ここに挑んで勝っている。

前走騎手



最後に面白いデータを。このレースは前走から継続騎乗が88回、乗り替わりが90回とほぼ同じ。連対数も10頭対10頭と互角である。何が違うかといえば、継続騎乗の馬が1着2回、2着8回に対して、乗り替わった馬は1着8回、2着2回。乗り替わった馬の方が勝率が約4倍高くなっている。

ここで復活、アドマイヤマーズ

データが出揃ったので整理してみよう。今回、軸馬としての絶対条件は、連対馬の100%を占める「牡馬」、ほぼ必須なのは「前走4番人気以内」「中9週以内」、あと加点対象となるのは「4歳馬」「栗東所属」。1着狙いなら「乗り替わり」、2着狙いなら「継続騎乗」となる。種牡馬ではハービンジャー、ステイゴールド、ハーツクライ産駒も加点対象としていいだろう。

今回の出走馬はマイナス材料が少なく難解となったが、データ的にほぼ完ぺきに近いのはアドマイヤマーズ。必須条件はもちろん、全てのデータをクリア。2着が多いデータが出ている継続騎手騎乗馬なので、今回は連軸として本命視したい。

それに続くのはラウダシオン、ペルシアンナイト、ヴァンドギャルド。ラウダシオンは年齢以外に減点なし。ペルシアンナイトは年齢と前走人気でマイナスだが、父が阪神で威力倍増のハービンジャー。この加点が大きい。ヴァンドギャルドは「前走4番人気以内」を満たしていないのは痛いが、減点はこれだけ。

注目のグランアレグリア、サリオスの名前が出てこなかったが、ノーマークでいいのだろうか。グランアレグリアは「性別」「所属」でマイナス。今年は特に牝馬の活躍が目立つ年だが、ここ10年の連対馬が全て牡馬というレースデータを無視することは、やはりできない。

サリオスは「年齢」「所属」が引っかかっているが、「性別」と違って全く可能性がないわけではない。今回サリオスに騎乗するM.デムーロ騎手はここ5年で3回馬券に絡んでおり、このレースとの相性のよさも見逃せない。

◎アドマイヤマーズ
〇ラウダシオン
▲ペルシアンナイト
△ヴァンドギャルド
×サリオス

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
ジャパンカップの豪華すぎる出走メンバーが話題になっていますが、これが有馬記念だったら、と思うのは筆者だけでないはず。ひと昔前なら、有馬記念でジャパンカップの再戦、という可能性も十分あったのですが。


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