【マイルCS】グランアレグリアの取捨は枠次第 ハイブリッド式消去法でマイル王決定戦を占う

八木遊

2020年マイルチャンピオンシップハイブリッド式消去法インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

5つのデータから絞れた馬は?

先週の『エリザベス女王杯』は名前を挙げた3頭が4、16、17着に敗れた。最終的に本命にしたウインマリリンは見せ場を作ったが、1~2着馬を消去していたため馬券は惨敗。それでも攻めの姿勢は変えず、マイルCSでも死角があれば有力馬も積極的に消していきたい。

今週の対象レースは阪神芝1600mで開催される『マイルCS』。今回も京都で行われた過去10年の当該レースと、2018年以降に阪神芝1600m戦で行われた重賞17レースから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップしたい。今年はどの馬が凡走する確率が高いのか、データで迫った。

『当日9番人気以下』×『前走から騎手乗り替わり』★2.1%★(2010~19年マイルCS)

まずは人気に注目。1番人気の馬は2009年のカンパニーが勝ったのを最後に10連敗中だ。ただし、人気薄が頻繁に好走するわけでもない。過去10年で9番人気以下は【1-1-1-95】で、複勝率は3.1%と低い。前走から騎手が乗り替わりの場合は、【1-0-0-47】で複勝率2.1%まで落ち込んでしまう。

消去するかどうかは当日の人気と鞍上に左右されるため、現時点で確定はできない。候補は以下の5頭だが、アウィルアウェイとヴァンドギャルドは9番人気以下になるかどうか微妙なライン。他の3頭は確実に消去対象となるだろう。

【今年の該当候補】
・アウィルアウェイ
・カツジ
・ブラックムーン
・ベステンダンク
・ヴァンドギャルド

『6歳以上』×『前走3着以下』★2.6%★(2010~19年マイルCS)

6歳以上の馬がこのレースで好走するには、前走で連対していないと厳しい。1~2着からの参戦は【0-1-1-5】だが、3着以下は【1-0-0-38】。唯一馬券に絡んだのが2014年の覇者ダノンシャークだった。

今年、この条件を満たしたのは3頭いたが、うち2頭は1つ目の条件で消去が濃厚。3頭目として、近2走で復活の兆しを見せているペルシアンナイトだが、この馬を新たに消したい。

【今年の該当馬】
・(ブラックムーン)
・(ベステンダンク)
・ペルシアンナイト

『ディープインパクト以外のサンデーサイレンス系』×『キャリア16戦以上』★2.8%★(2010~19年マイルCS)

3つ目は血統に注目した。ディープインパクト系を除くサンデーサイレンス系は過去10年で【2-3-4-51】とまずまず。しかし、キャリアを16戦以上重ねた馬は【0-1-0-35】と36戦して2着が1回あるだけだ。

この条件を満たしたのは上位人気が予想される昨年の春秋マイル王・インディチャンプと、スカーレットカラーの2頭。連覇を狙う前者は叩き良化型で、中間に一頓挫あった今回は厳しいレースが予想される。ある程度の人気を集めると想定されるが、ここでは消しとしたい。

【今年の該当馬】
・インディチャンプ
・スカーレットカラー

『3歳馬』×『前走上がり2位以下』★3.6%★(2010~19年マイルCS)

今年は3歳馬が4頭出走を予定している。うち3頭がGI馬と、世代屈指のマイラーがそろった。ただし過去10年で3歳馬は【2-0-2-32】と苦戦傾向。3歳馬の場合、前走で上がり最速を記録していたかどうかが重要。もし上がり2位以下だった場合は、【1-0-0-27】で、複勝率3.6%だった。

4頭のうち前走で上がり最速をマークしていたのは毎日王冠を楽勝したサリオスだけ。他の3頭はまとめて消去する。

【今年の該当馬】
・タイセイビジョン
・ラウダシオン
・レシステンシア

『前走4角10番手以下』×『今回1~4枠』★4.0%★(18年以降の阪神芝1600mの重賞17レース)

最後は2018年以降の阪神芝1600mで行われた重賞17レースから消去データを取り上げたい。前走で4角10番手以下の後方に位置していた馬が1~4枠に入った場合、【1-0-0-24】と結果が出ていない。5~8枠なら【2-3-2-27】なので、その差は歴然だ。差し馬はできれば5~8枠を引き当てたいところだろう。

最後の消去データは、枠順が発表されてから確定する。現時点で残っている6頭のうち、前走4角10番手以下だったのはグランアレグリアとケイアイノーテック。この2頭が1~4枠に入れば消去する予定だ。

【今年の該当候補】
・グランアレグリア
・ケイアイノーテック

5つの消去データを確実に免れるのは、アドマイヤマーズ、サウンドキアラ、サリオス、メイケイダイハードの4頭という結果になった。8番人気以上ならヴァンドギャルド、5~8枠ならグランアレグリアとケイアイノーテックにも印を回したい。

現時点の本命候補はサリオスとアドマイヤマーズの2頭。妙味があるのは近2走の敗戦で人気を落としそうなアドマイヤマーズの方だろう。サウンドキアラとメイケイダイハードの2頭も激走を期待して押さえておきたい。


【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。競馬との出会いはメジロマックイーンが勝った1990年菊花賞。その後、オルフェーヴルに魅了され今に至る。思い出のレースはトウカイテイオーが勝った1993年有馬記念とウイニングチケットが勝った1993年日本ダービー。


《関連記事》
【マイルCS】グランアレグリア不動も、そろそろ一発あるぞ、富士S、スワンS組!
「ディープ産駒の複勝率33.6%」東大HCが阪神芝1600mを徹底検証
コントレイル輩出の東スポ杯が1位 2歳戦「出世レース」ランキング

おすすめ記事