【マイルCS】人気馬の不安要素を発見 グランアレグリアは「レース間隔」、サリオスは「出走頭数」
鈴木ショータ
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グランアレグリアの不安要素は?
今週末に行われる秋のマイル王者決定戦、マイルCS。上位人気に推されそうなグランアレグリア、サリオスの2頭が抱える「不安要素」について見ていこう。
グランアレグリアの不安要素を挙げるとすれば、レース間隔だ。「一勝より一生」を掲げている藤沢和雄厩舎の管理馬らしく、大事にレースに使われてきている。
ほとんどのレースで2カ月以上の間隔をあけて出走しているが、唯一、中3週だったNHKマイルカップで1番人気5着に敗れている点は見逃せない。もともとテンションの上がりやすい面があるだけに、スプリンターズSからの中6週のローテーション、400mの距離延長がカギになりそうだ。
また、前回を仕上がり途上で激走してしまった反動も心配だ。「仕上がり途上の段階でも勝てた」とプラスに捉えることもできるが、穴党としてはその反動の方をリスクとして考えたい。スプリンターズSは前走時から12キロ増の502キロと、自身最高体重での出走となり、見た目的にも太いことは明らかであった。レース前日の土曜日に坂路で54.5秒の時計も出しており、調整過程からも「何とか間に合わせた」と感じられた。
筆者も現場で調教を見ていたトラックマンなのでわかるが、レース前日に54秒台の時計を出す馬はかなり珍しく、ほとんどの馬は65秒以上、速くて60秒前後というのが通例である。そんな調整過程でもGⅠを圧勝してしまったグランアレグリアには脱帽したが、その激走のダメージも心配だ。
スプリンターズSは15番手からごぼう抜きで1着となったが、その勝利も鵜呑みにはできない。16番手から3着に追い込んだアウィルアウェイ、13番手から5着に差してきたクリノガウディーという追い込み馬の伏兵2頭が掲示板に載っていることからも、超ハイペースで展開に恵まれた、という補正もして結果を考えた方が良さそうだ。
安田記念の記事 (【安田記念】今年は波乱必至!?「4歳」「ディープインパクト産駒」が振るわないワケとは?) でも触れたが、安田記念とマイルCSは流れが異なるレース。阪神開催に替わる今年も、コース形態から京都同様の傾向になる可能性は高いと読む。過去10年、安田記念勝ち馬の同年のマイルCSの成績は以下のようになる。
安田記念馬の同年マイルCS成績
インディチャンプ3人1着
モズアスコット1人13着
サトノアラジン5人12着
モーリス4人1着
ストロングリターン2人8着
リアルインパクト1人5着
モーリス級の名馬になると同一年度制覇も可能だが、多くは人気を裏切っているのが実情だ。もちろんグランアレグリアがモーリス級の名馬という可能性もあるが、逆張りするのも手だ。
多頭数に不安のある血統
サリオスは久々のマイル戦で、出走頭数がポイントになりそうだ。同じくサロミナを母に持つ、サラミス、サラキア、サロニカと3頭の兄姉がいる。それらの兄姉も含めた成績を見ていくと、出走頭数によって成績がはっきりわかれている。
14頭立て以内 単勝回収率192% 複勝回収率125%
15頭立て以上 単勝回収率16% 複勝回収率55%
また、1~2枠に入った場合は、【0-2-0-6】で、単勝回収率0%、複勝回収率45%で、6~8枠の外めに入れば【5-4-3-9】で、単勝回収率87%、複勝回収率93%となる。器用さには欠ける血筋のため、少頭数でのびのび外めを走るのが好走条件のようだ。
直近の例でいうと、エリザベス女王杯のサラキアは8頭立ての府中牝馬Sを勝利。エリザベス女王杯は18頭立てとなったが、7枠を引いて外々を回れたのが好走のポイントだったのだろう。
マイルCSは登録馬が17頭おり、なおかつ古馬混合のマイル戦。近走は長い距離を使われていただけに久々のマイル戦の流れに戸惑い、もまれるリスクも高い。
古馬混合の毎日王冠は楽勝だったが、出走馬のレベルも決して高いとは言えず、11頭と少ない頭数だったのもサリオスにとってはプラスに働いた。枠順にも注目だが、条件が厳しくなる今回は人気でも疑ってかかりたい。
ライタープロフィール
鈴木ショータ
競馬伝道師。競馬エイトトラックマンを経てフリーに。
オリジナルのweb競馬新聞「PDF新聞」を毎週発行。
根っからの大穴党で、馬券格言は「人の行く裏に道あり”穴”の山」
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