【エリザベス女王杯】デムーロは4年連続3着以内で鬼　東大HCが「非根幹距離」を分析

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「非根幹距離」マイスター、ゴールドシップ

今週末は下半期の女王決定戦、エリザベス女王杯が行われる。京都競馬場改修工事に伴う阪神での開催がクローズアップされているが、昨年覇者ラッキーライラックの連覇がかかるレースでもあり、さらに実績十分の古馬勢とクラシックを戦ってきた3歳世代との初対決と見どころがめじろ押しだ。

エリザベス女王杯は2200mという独特な距離設定で行われるGⅠ。マイルや2000mなど、400で割り切れる「根幹距離」に対して「非根幹距離」と呼ばれる。血統分析で目にすることの多いフレーズだが、趣を異にするようなデータが現れるのだろうか？ 過去5年の芝レースをもとに検証していく（なお「非根幹距離」は1400m,1800m,2200mとし「根幹距離」は1600m,2000mとする）

まずは血統の観点から種牡馬別成績を確認する。

主要種牡馬のうち、根幹距離・非根幹距離ともに抜群の成績を残しているのはディープインパクトだけだった。回収率は非根幹距離の方が良いのも強調材料。ラキシス・マリアライトの産駒連覇などエリザベス女王杯でも数多の好走歴があり、今年もラヴズオンリーユー以下多数の出走馬の評価を下げる必要はないだろう。

非根幹距離でパフォーマンスを上げるのはルーラーシップとゴールドシップ。ルーラーシップは2200m戦で【22-22-16-107】複勝率35.9%を誇り、複勝回収率も98%と平均以上。さらに重賞に限れば【3-3-3-11】複勝率45.0%と半数近い産駒が馬券になっている。今年は同じ2200mの新潟牝馬Sからの臨戦となるウラヌスチャームとロサグラウカが一発を狙う。

ゴールドシップは根幹距離に比べ複勝率が7%ほど高く、単勝回収率は154%とワクワクするような結果が出た。前走から距離延長の場合では【4-2-6-23】複勝率34.3%、さらに栗東所属馬は【3-2-3-3】複勝率72.7%、単勝回収率925%・複勝回収率488%と血湧き肉躍る数字。唯一の出走となるウインマイティーはオークス3着の実力馬で、秋華賞の大敗から人気を落とす今回が狙い目だ。

なお逆に凡走が多いのがエピファネイア産駒。エリザベス女王杯に出走はないが、頭の片隅に入れておくと人気馬を消しておいしい馬券にありつけるかもしれない。

デムーロ騎手、エリザベス女王杯5年連続好走なるか

続いて騎手別成績。好走率・回収率いずれかが根幹距離に比べて高い騎手をピックアップした。

M.デムーロ騎手は1800m・2200m戦で【105-59-60-221】複勝率50.3%。さらにディープインパクト産駒に騎乗する場合は、【37-10-11-41】と勝率が4割近い。デムーロ騎手自身、宝塚記念・エリザベス女王杯で【3-1-3-2】複勝率77.8%と圧倒的な勝負強さを見せており、エリザベス女王杯では2016年クイーンズリング1着→2017年モズカッチャン1着→2018年モズカッチャン3着→2019年ラヴズオンリーユー3着と4年連続で馬券圏内。昨年1番人気ながら勝ち切れなかったディープインパクト産駒・ラヴズオンリーユーに、再び騎乗する今年も期待大だ。

前走オールカマーを勝ったセンテリュオに騎乗する戸崎圭太騎手は、牝馬×継続騎乗で【22-21-13-41】複勝率57.7%を記録。前走上がり2位以内の馬に絞ると【10-8-8-9】複勝率74.3%、単複回収率ともに110%台と安定している。また、ノームコアに騎乗する横山典弘騎手も重賞で3割を超える複勝率をマークと、クセのある非根幹距離で存在感を発揮している。

キセキの2着から半年、角居師が再び波乱を起こす

最後にエリザベス女王杯に出走馬を送り出す調教師をチェックする。

角居勝彦調教師は単勝回収率が根幹距離：65%、非根幹距離：96%とこの舞台で妙味のあるトレーナー。前走逃げ・先行での安定感は群を抜いており、該当するエスポワールにも期待が持てる。また武豊騎手とのコンビでは同コースで行われた今年の宝塚記念でキセキを2着に激走させたことが記憶に新しい。

1番人気濃厚のラッキーライラックを送り出す松永幹夫調教師も非根幹距離の方が好走率・回収率ともに高く、5番人気以内では単勝回収率121%と買える条件。池添学調教師は非根幹距離で複勝率を3割に乗せており、府中牝馬SでGⅠ馬2頭を下したサラキアの勢いも捨てがたいところ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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