【京王杯2歳S】1400mでも快勝モントライゼ 気になるその距離適性は

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馬券の軸にはしやすいモントライゼ
GⅢ格の東京スポーツ杯に比べるとGⅡ格の京王杯2歳Sはスケールでもの足りない印象があるものの、京王杯2歳S組は朝日杯FSで15~17年、19年と好走馬が出ており、暮れのGⅠのステップレースとしての機能は以前より強化されつつある。こういった事情もあるのか、今年は2015年以来久々にフルゲートで行われた。路線整備によって分散化する2歳路線では珍しいことだ。もちろん各陣営が手薄なここならばと踏んだ可能性もあるが……。
勝ったモントライゼは小倉2歳S2着の実績馬。デビュー3戦はいずれも1200mを走りながら、スプリンターらしくないゆったりとした走りで距離延長は問題なかった。とはいえ、東京芝1400mは平均以下のゆったりした流れであれば1200m向きのスピード馬が強く、ハイペースになるとマイラー型が強い舞台。春の京王杯SCは前半600m35秒2というスロー逃げに持ち込んだスプリンターのダノンスマッシュが勝った。今回も前後半600m34秒7-34秒7のやっと平均ペースといった緩い流れ。勝ったモントライゼが本質的にスプリンターであるという可能性もなくはない。
スタートから少しだけ押して番手をとり、レースを引っ張ったリメスが離しても追いかけるようなところはなく、鞍上に従順な姿に完成度の高さが伝わる。大人びた競馬にかえって奥深さを感じないものの、2歳GⅠであれば器用に立ち回りそうだ。さらに距離が延びるという課題もあるが、どんなレースをするのか想像するのも容易く、馬券の軸としては計算できる。
まだまだ奥がありそうなリフレイム
モントライゼと人気を分け合ったリフレイムは5着。中1週で-8キロ、強行軍の影響もあっただろうか、前走のような追い込みは見られなかった。2着ロードマックスに直線入り口から半ばまで再三ブロックされ、広い外目に持ち出せず、フットワークを伸ばすような走りをさせられなかった。最後にロードマックスの外に出てからは脚を使っており、力はこんなものではなかろう。
パドックで寝ようとするなど話題の尽きない馬で、モントライゼとは対照的な幼さに奥深さを感じる。デビュー戦や2戦目の走りから世代きっての個性派であることにちがいなく、虜になるファンも多い。馬券については過剰に売れる可能性もあり、現状は慎重に考えたい。
昨年との比較で見える距離適性
2着ロードマックスはリフレイムが外に出すのを再三ブロックするなど岩田望来騎手の強気な騎乗が光った。モントライゼが抜け出した後から伸びてきたので届かなかったが、ゴール前の脚色は目立った。フルゲートの17番枠は有利な条件ではなく、結果的に終始外を通る大味な競馬になったが、それもこの馬には合っていたようだ。
3着ユングヴィは今年の新種牡馬ミュゼスルタン産駒。ゆったりとしたペースのなか前半やや消極的だったが、最後までモントライゼを追ってしっかり走った。上がりの競馬は本質的には合わない印象で、その分もう少し前で競馬できればと悔やまれる。父ミュゼスルタンはデビュー2連勝で新潟2歳Sを勝ち、NHKマイルC3着という実績。ユングヴィの好走は左回りのマイル前後、2歳後半と条件的には父の戦績を想起させるものだった。今後も3歳春までぐらいは注目して損はなさそうだ。
レースの最後600mは11.4-11.3-12.0。馬場状態がかなり異なるが、昨年は前半600m34秒9から後半600m11.3-11.3-11.5。勝ったタイセイビジョンは差して快勝後に距離延長に対応、朝日杯FS2着、アーリントンC1着だった。2着は逃げたビアンフェ。その後は距離延長では結果が出ず、重賞の葵Sを勝った。早めに抜け出したとはいえ、最後の200m12秒0でロードマックスに詰められたモントライゼの距離適性をどうとるか。ビアンフェ寄りととるのか、マイルまでならギリギリセーフととるのか。朝日杯FSの大きなポイントになりそうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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