【福島記念】超がつく難解なローカル重賞 攻略のヒントとなるデータは?
勝木淳
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傾向くっきり、年齢、枠番、斤量、馬体重
秋の福島最終週、2020年福島競馬のとう尾を飾るのは名物重賞の福島記念。近年は秋開催の真ん中に組まれており、最終週施行は2015年以来となる。
些細な違いかもしれないが、3週目に組まれる影響は馬場状態なども含め予想する上で大きいのではなかろうか。この点も頭に入れながら過去10年(新潟施行の11年を除く)のデータから傾向を探っていく。
3歳から6歳まで各世代2勝、8歳1勝、勝利数でみると世代の差は少ないが、出走数を考えれば、3歳【2-2-1-7】勝率16.7%、複勝率41.7%、4歳【2-2-2-9】勝率13.3%、複勝率40.0%が勝率、複勝率ともに抜けている。
5歳以上は頭打ち状態で出走可能な重賞やオープン特別を渡り歩くような馬が出走馬に多く含まれているため、どうしても出走数が増え、好走馬を探し出すのに苦労する。今年も想定馬は5歳以上の数が3、4歳の倍近くある。まずは3、4歳を評価すべきだろう。
1~3枠【7-2-6-39】、6枠より外【0-3-3-47】と内枠優勢。4枠【0-1-0-17】、5枠【2-3-0-12】なので、5枠より内と6枠から外は評価を変えるべきだとデータは語る。
このデータは少し意外だった。秋の福島といえば微妙な馬場状態であることが多く、いわゆる外差し決着になりやすい印象があったからだ。外差し有利ならば、スタートから外を走る外枠に分があるだろうと。
ところがこのレースは内枠優勢。これは覚えておきたい。最終週施行の15年以前と16年以降に変化があるのかと思いきや、それもなし。今年も内枠に警戒だろう。
ローカルハンデ重賞とあって、斤量別成績は要チェック項目。53キロ以下の軽量馬は【0-1-1-26】とサッパリ。格下馬の下剋上という場面は想定しなくてよさそうだ。
しかしながら54~55キロは【6-4-3-43】勝率10.7%、複勝率23.2%なので3歳馬、もしくは古馬の別定重量よりわずかに軽い斤量を課されるような微妙な立場の馬が好走しやすい。また、重いハンデの実績上位馬57.5~59キロ【1-3-2-4】も強い。
反対に、56~57キロの標準的な斤量は【2-1-3-42】勝率4.2%、複勝率12.5%と確率が低く、このあたりが福島記念の難しさだろう。
秋の福島といえば時計をやや要する馬場に強いパワー型優勢の印象だが、その点が馬体重別成績にあらわれている。
500キロ以上は【5-3-0-26】で好走確率も高い。498キロ以下も好走馬は出ているが、勝率や複勝率がガクンと下がる。400キロ台を消せではなく、500キロ以上の大型馬に要警戒と覚えておきたい。
見落としがちな関東馬優勢という傾向
さらに顕著な傾向がみられるデータを探すと、東西別成績を見つけた。
福島は、新潟以上に関西馬に注目せよとはよく言われる。新潟より、栗東からの輸送距離がはるかに長い福島に遠征する関西馬は勝負がかりという意味だが、福島記念はちょっとそれが当てはまらない。
栗東は76頭出走で【2-4-6-52】、美浦は84頭出走で【7-5-3-63】。出走数を考えれば関東馬優勢といっていい。
前走GⅠ組【2-1-2-3】勝率25%、複勝率は62.5%と目立つが、想定には該当馬がいない。
というのも天皇賞(秋)から来る馬は【2-0-1-1】。12年マイネルスターリー以外は上位人気に支持され、きっちり好走した。
その人気に注目すると、関東馬の上位人気は堅実で3人気以内であれば【4-4-3-7】。穴ばかりに目が行きがちになるローカル重賞だが、3人気以内に関東馬がいたら迷わず軸にするという作戦がよさそうだ。
穴という意味では、関東馬の8人気以下は【1-1-0-40】と頼りない。10年12人気1着ダンスインザモア、14年13人気フラアンジェリコと大穴が出ているが、15年以降は出現していない。
関西馬で福島4勝、七夕賞3着ヴァンケドミンゴなど強力な馬も想定馬にはいるが、4歳の関東馬トーラスジェミニ、ナイママ、マイネルサーパスなどに注目したい。とりわけ福島でオープン勝ちや重賞好走歴があるマイネルサーパスが上位人気に支持されるようであれば、連軸にしたいところだ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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