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ルメール騎手と川田騎手の差は25勝に広がる 波乱演出の岩田康騎手は7勝中6勝が逃げ切り【4回東京・4回京都開催終了時の騎手リーディング】

2020/11/04 17:00
三木俊幸
2020年4回東京・京都終了時騎手リーディングインフォグラフィックⒸSPAIA

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武豊騎手は2週間で9勝

4回東京・京都終了時リーディング

数々の名勝負が繰り広げられてきた京都競馬場のスタンド改修前最後の開催となった開催では、牡馬・牝馬とも無敗の三冠馬が誕生。東京競馬場ではアーモンドアイが歴代最多となるGⅠ8勝目をあげるなど、日本競馬の歴史が動いた1か月だった。

毎週末熱いレースを繰り広げた騎手たちにスポットを当て、4回東京・4回京都開催が終了した時点での騎手リーディング、また各開催において活躍した騎手や馬券的に注目すべき成績を残した騎手について詳しく振り返っていく。

まずは2020年の騎手リーディングトップ5から見ていこう。前開催を終了した時点から順位に変動はなく1位はルメール騎手。日別の成績を見ると1→4→1→1→2→3→5→3と8日間全てで勝利、毎日王冠と天皇賞(秋)を勝利するなど重賞も2勝。プラス20勝で171勝まで勝ち星を積み重ねている。

追いかける2位の川田騎手は、京都大賞典をグローリーヴェイズで勝利し、2開催連続で重賞を勝利したものの10勝しか上積みできず、146勝。1か月前は15勝差だったルメール騎手との差は25勝にまで開いてしまった。

3位は福永騎手。今開催は16勝をあげて111勝としている。10月17日には1日6勝と大活躍。11年連続での年間100勝を達成している。その翌週には土曜日にヴァンドギャルドで富士Sを勝利すると、日曜日の菊花賞では見事にコントレイルで三冠馬達成。充実の秋を過ごしている。

4位の松山騎手も16勝を上積み。秋華賞ではデアリングタクトを無敗の三冠牝馬へと導くという、大仕事をやってのけた。107勝で福永騎手との差は4勝差と変わらなかったが、自身初の年間100勝もマークし、ハイレベルの争いを繰り広げている。

5位の武豊騎手は10月4日に行われた凱旋門賞に騎乗するため渡仏。しかし、騎乗予定だったジャパンを管理するオブライエン厩舎の馬が禁止薬物を摂取した可能性があったため、無念の出走取り消しとなった。

帰国後14日間は自主隔離が必要だったため、前半2週間は騎乗できず、3週目の菊花賞ウィークから復帰。すると土曜日に3勝、日曜日に2勝、最終週も4勝をあげてわずか2週間で9勝という大活躍を見せ、94勝としている。夏場から少し成績が下降気味だったが、この調子で勝ち星を積み重ねれば、次開催終了時には年間100勝をクリアしそうだ。

ルメール騎手の独壇場

続いて競馬場別の成績についても振り返っていこう。4回東京開催のリーディングは16勝をあげたルメール騎手。騎乗機会56回中34回馬券に絡んでおり、複勝率は60.7%という成績だった。

9勝で2位だった戸崎騎手は芝のレースで7勝、中団から差すレースが多かった。印象深かったのは11月1日にテルツェットで勝利した国立特別。ゴール前で内の逃げ馬が外に馬体を併せてきたため進路が狭くなったが、瞬時に進路を内に切り替えて3頭による接戦を制したレースはベテランらしい巧さを感じた。復帰後はコンスタントに勝ち星を積み重ねており、関東圏における開催リーディングでは常に上位に名を連ねている。

その他では、開催2日間で13鞍のみの騎乗だったが、3勝をあげた岩田康騎手に注目。7番人気、5番人気、4番人気馬による勝利で単勝回収率は322%、複勝回収率は101%と好成績。そして3勝全てが逃げ切り勝ちだった。

石橋騎手は、【1,7,7,32】と勝ち星には恵まれなかったが、47レース中15回馬券圏内に好走して複勝回収率は100%。地味な成績だったが、馬券的には買っておいてもいい騎手だと言える。

4回京都開催は松山騎手がリーディング

4回京都開催は14勝で二人の騎手が並んだものの、2着の差で松山騎手が開催リーディングを獲得、2位が福永騎手だった。ともに開催を通じて難しかった馬場を読み切る騎乗が目立った。松山騎手は騎乗回数が77回抜けて多かった中で複勝率41.6%、福永騎手は人気馬に乗っているイメージがありながら単勝回収率が117%と高かったという点は評価されるべき数字だ。

また先述の東京開催に続いて、ここでも岩田康騎手を取り上げる。スワンSでは11番人気と人気薄のカツジを重賞勝利に導くなど4勝、単勝回収率337%、複勝回収率171%と高い数字を残した。脚質を見ると、4勝中3勝がまたしても逃げ切り。人気薄でも先行力のありそうな馬に騎乗した場合は、積極的な買ってみると高配当につながるかもしれない。

最後に、10月25日までの6日間行われた4回新潟開催の好成績騎手についても触れておく。最後まで接戦となったが、8勝の吉田隼がリーディング。6勝で横山武と岩田望が並んだが2着の差で横山武が2位だった。吉田隼騎手と横山武騎手に関しては、先月の2場開催で苦戦したものの、ローカル開催では有力馬が集まるとともに抜けた存在であることは間違いないだろう。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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