【アルゼンチン共和国杯】「4歳6勝」「55.5キロ以上9勝」など データからはかつてほど波乱はなし
勝木淳
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年齢、人気、斤量から証明される実績馬優位
秋のGⅠ開催の狭間、5回東京開幕週といえばアルゼンチン共和国杯。アドマイヤジュピタ、スクリーンヒーロー、トーセンジョーダン、ゴールドアクター、シュヴァルグラン、スワーヴリチャードなど以後GⅠを勝つ馬たちが勝利した出世レースである。
その一方で05年14人気2着マーブルチーフ、07年10人気2着トウカイトリック、09年11人気1着ミヤビランベリ、10人気3着ヒカルカザブエなどハンデ戦らしく波乱のイメージも強い。この二面性も含め、アルゼンチン共和国杯の傾向について過去10年間のデータをもとに探っていく。
菊花賞から中1週とあって、3歳馬の参戦は少ない。17年1人気1着スワーヴリチャードなどあえてここに出走する3歳馬は【1-0-3-0】と凡走なし。青葉賞勝ち馬オーソリティにとっては追い風となるデータである。
4歳【6-4-3-22】も悪くはなく、5歳【1-4-4-40】、6歳【2-2-0-30】あたりも候補としたい。
先述のように、アルゼンチン共和国杯に波乱のイメージを抱くのはどうやら少し古いらしい。直近10年で10人気以下は【0-0-1-70】、激走は18年11人気3着マコトガラハッドのみと人気薄の好走頻度は落ち、かわって1人気【3-2-1-4】、2人気【4-1-0-5】、3人気【2-1-5-2】など上位人気馬が期待を裏切らずに走るようになった。
もっとも、7人気【1-1-0-8】ぐらいまでは好走する可能性が高く、この10年でも1~3人気で決まったケースはゼロ。イメージにとらわれず、こういった傾向を頭に入れておきたい。
人気薄の激走が少ないといった傾向と比例するように、かつてほど軽量馬の大駆けが見られなくなった。55.5~57キロ【8-3-0-36】、57.5~59キロ【1-2-1-13】と別定重量通りもしくはそれより斤量を課される組、いわゆる実績馬が強い。
53.5(54)~55キロ【1-4-6-48】は4歳馬【1-3-2-10】、5歳以上【0-1-2-36】なので、ハンデ有利な4歳馬は評価、背負わされなかった5歳馬以上は様子見がよさそう。
適性が高そうなメイショウテンゲン
GⅠの狭間とあって戦歴比較が難しいレースだが、ここでは具体的にローテーションなどを掘り下げていく。
実績馬が強いというこれまでのデータ通り、前走GⅠ組は【3-1-1-7】勝率25%、複勝率41.7%とよさげ。半面、GⅡのわりに前走3勝クラス【2-3-3-19】など侮れない。
15年から5年連続で前走3勝クラス組が馬券圏内(17年は該当馬ソールインパクト1頭のみながら7人気2着)、これも近年のトレンドだが、今年は大した馬が見当たらず……。
一方GⅠ組のレース別成績だが、宝塚記念【2-0-0-4】といささか極端ながら目立つ。同レース5着から参戦するメイショウテンゲンは要注意。
ローテとしては変則的なのでサンプル数が少なく、評価は難しい。だが、ユーキャンスマイルは菊花賞3着、万葉S2着、ダイヤモンドS1着、阪神大賞典1着と長距離適性もありながら、新潟記念1着、天皇賞(秋)4着など中距離でもそこそこ走るタイプ。それだけに、東京芝2500mのアルゼンチン共和国杯向きかもしれない。
前走クラス別成績でいえば、オープン組【2-1-2-36】にも注意が必要。GⅡでの前走オープン特別組は、どちらかといえば評価が難しいもの。今年は丹頂S組のバレリオ、プリンスオブぺスカなどが想定にいる。ちょっと掘り下げておきたい。
今回延長【2-0-2-11】に対して今回短縮【0-1-0-25】。前走が2600m組は不振で丹頂S組【0-1-0-19】。前出2頭は厳しいか。札幌日経OP組【0-0-0-5】も含め北海道の2600mからここに来る馬はやや評価を下げたい。
ここまで見てもやはり上位人気に押されそうなユーキャンスマイル、メイショウテンゲンで堅そう。やや面白みに欠けるが、近年のトレンドには逆らわない方が無難か。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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