【秋華賞】デアリングタクト三冠達成の可能性大 京都2000mに適性がある相手候補は?
坂上明大
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着差以上の力差で二冠達成
3歳牝馬三冠レースの最終戦である秋華賞。過去10年の勝ち馬で単勝オッズが最も高かったのが10.1倍の2014年ショウナンパンドラであり、三冠レースの中でも特に強い馬が順当に勝利するレースだ。無敗での牝馬三冠がかかるデアリングタクトら有力馬を参考レースから分析する。
【オークス】
週中に40mmを超える雨が降ったうえに日照時間も短かったが、日曜日の朝には含水率13%強まで回復。10、11Rと上がり3F33秒台前半の時計も出ており、軽めの馬場コンディションでの競馬となった。内外、前後の差も感じられず、全馬が自身の力を発揮できる条件だったと言える。
1着馬デアリングタクトは2角で挟まれる不利を受け、道中は行きたがる面を抑えながらの追走。直線でも前が壁になりながら、豪脚で先行勢を一掃した。自身の上がり3Fは11.0-11.0-11.1程度とやや脚を余した形。強いの一言だ。
2着馬ウインマリリンは外枠から馬群の先頭に立ち、直線は狭いラチ沿いをこじ開ける。上がり3Fの個別ラップは11.2-11.4-11.4と持ち味の渋太い脚を披露した。秋華賞のレースの質を考慮すれば、本馬が最も秋華賞向きといえるだろう。
3着馬ウインマイティーは好位のラチ沿いで脚をためて、直線では一時先頭に。ただ、ゴール直前で上位2頭に交わされ、少々力差を感じる内容ではあった。ただ、この馬には上がりが速過ぎる馬場だった感もある。
4着馬リアアメリアはスムーズに折り合い、直線は外差し。ラスト1Fがウインマリリンと同程度、マジックキャッスルより+0.1秒であるから、本レースにおいては完敗であったか。
5着馬マジックキャッスルは直線でデアリングタクトに寄られて進路を失う不利。ロスの少ない競馬ではあったが、単独2位の上がり1Fタイムは高く評価できる。
7着馬ミヤマザクラは終始ハミを噛みながらの追走。距離適性の分もあってか、ラスト1Fで失速してしまった。
内前有利のイス取りゲーム
【紫苑S】
秋の中山開催開幕週。昼ごろに多少の雨が降ったものの時計は平均を保ち、馬場状態と水捌けの良さが際立った。夏期休場中に芝が生え揃ったことで、内々を距離ロスなく走った馬が好走しやすいトラックバイアスで、ペースも後傾1.5秒のステップレースらしい緩い流れ。上位馬の上がりラップは大差がなく、「内前有利」のイス取りゲーム感は否めない。
上位評価は4着馬マジックキャッスルと6着馬ウインマイティー。ラスト1Fは同程度だが、スパート位置が異なるため上位馬よりもいい末脚を使っている。特にウインマイティーは出遅れも響いており、上位馬を今回逆転する可能性は高いだろう。
底を見せないリアアメリア
【ローズS】
中京芝2000mでの開催。金曜1.0mm、土曜0.5mmの降雨があったが馬場への影響は感じず、クッション値は「やや硬め」の時計の出やすい馬場状態。3日間開催で2度のレコードタイムが記録されており、トラックバイアスはなし。
1着馬リアアメリアは先行して折り合いピッタリ。前哨戦としては文句なしの競馬だった。身体的な成長はまずまずだが、気性的成長はかなり大きい。後続がごちゃつく中、スムーズに抜け出した展開利は大きいが、抜け出してからはフワフワ走っており、まだまだ底は見えない。ただ、走破時計が翌週の夕月特別(ソフトフルート)より0.1秒しか速くない点は気になるところ。
2着馬ムジカは上がり3F11.6-11.1-11.3程度とデゼルと同程度の末脚。エピファネイア×ディープインパクトの瞬発力型で直線勝負向き。京都替わりも○。
3着馬オーマイダーリンは内々を距離ロスなく追走した。ここでは高い評価はできない。
牝馬三冠のその先
秋華賞直行のデアリングタクトは2018年アーモンドアイと同様、80~90%程度のデキで出走してくるだろう。最大目標はその先の古馬混合GⅠだ。それでも春には余りある力差を示しており、外枠を引いたことで無敗の三冠達成の可能性は高いとみる。
◎デアリングタクト
○ウインマリリン
▲ミヤマザクラ
△ウインマイティー
☆ソフトフルート
ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。
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