【毎日王冠】サリオスを対抗にまでとした2つの理由は?穴は複勝率37.9%のデータからトーラスジェミニ

東大ホースメンクラブ

2020毎日王冠インフォグラフィックⒸSPAIA

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例年なら時計勝負だが……

10月11日(日)に東京競馬場で行われる毎日王冠(GⅡ・芝1800m)。活躍馬を多数輩出している伝統の一戦に、秋の飛躍を誓う11頭が集結した。想定オッズの段階では、クラシックでコントレイルとの2強の一角と言われたサリオスとダービー4着馬サトノインプレッサの3歳馬2頭が古馬たちを差し置いて支持を受けている格好だが、ここで狙うべきは果たしてどの馬なのか。また、穴馬の台頭はあるのか。今週もデータを踏まえて検討していこう。

はじめに、当該レースにおける過去10年の傾向を分析する。

過去10年 毎日王冠のタイム/4角位置別成績ⒸSPAIA

ここ2年連続で1分44秒台半ばの高速決着が続いており、良馬場ならハイレベルな時計勝負が期待されるところではある。しかし、現時点で台風が関東地方に接近、上陸の可能性もあるという予報が発表されており、普段とはだいぶ異なる条件でのレースとなりそうだ。少なくとも例年よりタフなコンディションを想定すべきだろう。

個性派シルポートが逃げをうった2010~2012年のレースなど、例外もあるが、頭数が概ね手ごろに収まっていることもあり、傾向としてはスローペースが続いている。そういう意味では先行勢に分がありそうなものだが、「府中千八展開いらず」の格言のとおり脚質上のバイアスは少ない。そう考えると、各馬の取捨に関してはやはり「馬場」が重要になってくる。

馬場悪化で逃げ粘りも?

過去10年のこのレースで最多の3勝を挙げているのが前走・エプソムC組。今年は不良馬場で行われ、4角2番手でレースを進めたダイワキャグニーが9番人気で勝利、逃げた最低人気のトーラスジェミニが3着に粘るという前残りの波乱となった。このように、馬場の悪化で差しが利かなくなる場面は珍しくない。

過去5年 東京芝1800mの馬場×4角位置別成績ⒸSPAIA

過去5年の当該コース成績について調べてみても、良馬場の場合の4角先頭だった馬の連対率は20.0%、複勝率26.8%だったのに対し、馬場悪化時には4角先頭の馬の連対率は30.3%、複勝率は37.9%と10ポイントほど高いことがわかる。今回は短距離馬カイザーメランジェやコントラチェックの出走で隊列に変化があるかもしれないが、先行勢にも注意が必要だ。

前走に引き続き……

本命は前走の新潟記念に引き続き、サンレイポケットとした。新潟記念ではスタートで立ち遅れたうえに、スローペースが重なって厳しいレースを強いられたが、それでも差を詰めて勝ち馬とタイム差なしの3着。ハンデの利があったとはいえ、強いレース内容だった。1800mという条件は少し短いようにも思われるが、2走前に不良馬場の府中で勝利を挙げた経験もあり、馬場悪化でタフな条件になればチャンスはあるはずだ。

2番手には人気のサリオス。クラシック戦線でコントレイルとの2強を演じるなど、世代では力が抜けた存在。人気を集めるのも当然だが、古馬との初対決でこれまで未体験のレベルの道悪という条件を想定するならば、そこまで絶対視する必要はないように思われる。

3番手にはトーラスジェミニを推す。札幌記念では、GⅠ馬たちに実力の差を見せつけられた格好であり、一線級と比べると力が足りないようにも映るが、先手を取れるのは大きな強み。状態の良い馬場の内目をロスなく立ち回れれば、波乱を演出したエプソムCの再現もありうる。

4番手はダイワキャグニー。前走・エプソムCで勝利を挙げたことから考えるに、今のこの馬にとっては高速馬場より時計がかかる馬場のほうが向いているように思われる。その意味で条件は向きそうだし、去勢明け初戦でも軽視は禁物だ。

以下、サトノインプレッサ、ザダルまで押さえておくことにする。ザダルは重馬場のセントライト記念で3着という経験があるが、近走は時計の出やすい馬場で好レースをしていただけに道悪では評価しにくいところがあるため、相手評価にとどめたい。

▽毎日王冠予想▽
◎サンレイポケット
○サリオス
▲トーラスジェミニ
△ダイワキャグニー
×サトノインプレッサ
×ザダル

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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