【シリウスS】カフェファラオの好走パターン判明 GⅠへの展望は?
勝木淳
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カフェファラオの今後
前走JDDで単勝1.1倍ながら7着に沈んだカフェファラオが見事に巻き返して1着。3歳ダート路線トップランカーとしての力を示した。JDDの敗因は色々と考えられるが、シリウスSの結果から詰まった間隔と右回りだった可能性が高い。
JDDはデビュー以来はじめて中1週半と詰まった間隔での出走、右回りは新馬戦以来だった。父はアメリカンファラオ、ゴリゴリの米国血統。新馬は力の違いと割り切れば、回りの左右がパフォーマンスに影響を与えていた可能性は高い。今回は3カ月の休み明け、左回りと、自身にとって条件が好転したのではなかろうか。
スタートはやや後手ながら中団の外にとりつき、道中はルメール騎手が馬の機嫌を損ねないよう、馬群に入れず外目を選びながら追走。先行集団と後方の間あたりの絶妙な位置をとり、4角では無理に進出せず置かれないように追走。直線で末脚を伸ばした。
中団追走から上がり600m36秒9を記録。強かったといえば強かったが、ルメール騎手が道中から細心の注意を払っていたように感じる。負荷やストレスをかけない競馬を展開した結果だけに、いざGⅠとなったときに同じ競馬ができるかどうか。
チャンピオンズCはコースこそ100m短縮するだけの中京ダート1800mではあるが、相手はまるで異なる。カフェファラオの真価は次走で問われそうだ。とはいえ、レースの後半600mのラップは12.7-12.3-12.4と、坂を上がってからも止まっていない2着サクラアリュールを差し切ったのは見事。秘めるポテンシャルは十分にある。
1800m以上なら3着エイコーンは外せない
記録でいえばダート1900mはオープン以上で施行がなく比較しにくい。翌日に同距離の3勝クラス白川郷Sが行われ、その勝ちタイムは良馬場で1分56秒3。シリウスSを1秒5上回った。
白川郷Sは900m通過55秒4、シリウスSは55秒0。ペースは若干ながら重賞の方が早いものの、白川郷Sの後半600mは12.5-12.0-12.1。抜け出して突き放したハギノアレグリアスとキーフラッシュは、シリウスSを記録上では凌駕した。こちらも忘れないでおきたい。
シリウスS最後の200mは12秒4なので白川郷S1・2着には見劣るが、早めにインコースから先頭に立ったサクラアリュールと、それを追うような進路で最後の最後に急追してきたエイコーンは、それなりに価値ある走りだった。両馬ともに道中はインコースのラチ沿い。外を回った組はカフェファラオ以外みんな届かなかった競馬であり、枠順なりに素直に組み立てた作戦が功を奏した。
粘ったサクラアリュールも立派だが、最後の苦しいところで伸びてきたエイコーンはさらに評価しておきたい。この好走で人気上昇、買い時は9人気の今回だった可能性はあるものの、1800m以上であれば馬券的には外せない存在になるだろう。
昇級緒戦、休み明けながら3人気に支持されたダノンスプレンダーはスタートで遅れ、普段より位置を下げながらも、内から最後までしっかり末脚を繰り出しての4着。クラスにメドを立てた内容だった。上がり600mは2、3着馬と同タイムの37秒0。相手次第でオープン通用だろう。
4角で抜群の手ごたえ。やや勢いをつけすぎたメイショウワザシの斜行によって大きな不利を受けたダイメイコリーダは、JDDでカフェファラオに勝っていただけに残念。今回は不利がすべてであり、古馬相手でも先行してきっちり流れに乗っていた点は見逃せない。今回の競馬によって精神的なダメージを受けていなければ、今後も条件次第でやれる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
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