【毎日王冠】サリオス古馬と初対決 データ的には大丈夫?

勝木淳

2020毎日王冠インフォグラフィックⒸSPAIA

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開幕週ながら外枠が好成績

4回東京開催が開幕する。ここから中央競馬はいよいよクライマックス。2020年の競馬は残る3開催でクラシック終幕、中距離やマイルなど古馬チャンピオン決定、翌年に向けて2歳王者、女王の誕生、完結へと進む。

そんな東京の開幕週は毎日王冠。この開催最終週にある天皇賞(秋)の最重要ステップレースだ。まずはこのレースについて過去10年間のデータをもとに傾向を調べていく。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA

夏の間に芝の張り替えなど、入念な更新作業が入る。秋の芝は馬場的には1年のはじまり、当然ながら絶好の状態にちがいない。その開幕週に行われる毎日王冠の枠順別成績はちょっと意外。

内枠は複勝率こそ出ているものの、1枠【0-0-3-8】と勝ち馬はゼロ。2枠は【2-0-0-10】勝率16.7%だが1枠とは異なり2、3着はゼロ。4枠【1-4-2-7】勝率7.1%、複勝率50%から外が全体的に好成績、6枠は【3-2-2-11】勝率16.7%、複勝率38.9%とスイートスポット。7枠【2-0-0-18】、8枠【2-2-1-15】と勝ち馬は6枠より外から多く出現。

ご存知かと思うが、馬場管理の技術が進んだことで近年は開幕週であっても内外の差が少なく、外からの差しも決まる。内枠のアドバンテージが減ったとみるべきで、そうなれば馬群で受けるストレスと進路どりの難しさが軽減される外枠の強みを発揮しやすいということか。

年齢別成績(過去10年)ⒸSPAIA

続いて年齢別。最有力は【3-4-0-11】勝率16.7%、複勝率38.9%の3歳。次位以下は4歳【4-2-5-19】勝率13.3%、複勝率36.7%、5歳【2-2-2-24】勝率6.7%、複勝率20%なので若い馬を重視する作戦でよさそうだ。

死角が少ない3歳勢、古馬ではダイワキャグニーが浮上

今年も想定にサリオスとサトノインプレッサといった3歳馬の名前があり、この世代の掘り下げは重要になる。

3歳馬の前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

毎日王冠で好走する3歳馬、その必須条件は前走GⅠ出走。その数字は【3-4-0-8】と好走馬はすべて前走GⅠ組。前走日本ダービーのサリオス、サトノインプレッサはいずれもクリア。

3歳馬前走GⅠ組の前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

3歳の頂点を決める日本ダービー組は、【2-2-0-4】と毎日王冠で好走多数。ちなみに日本ダービー組はその着順による傾向はなく、馬券圏内である必要はない。2着だったサリオスは当然ながら4着サトノインプレッサも侮れない。

3歳馬を重視しつつも想定は2頭のみ。やはり古馬の傾向も頭に入れておきたい。

前走クラス別成績(過去10年)ⒸSPAIA

3歳馬も含めた全体のデータでは、GⅠ組は【5-7-4-41】。3歳【3-4-0-8】を除くと古馬【2-3-4-33】勝率4.8%、複勝率21.4%。数字上はGⅡが【2-1-1-11】、3歳【0-0-0-1】除くと【2-1-1-10】勝率14.3%、複勝率28.6%で上回る。データでは古馬は前走GⅡ組に注意となる。

前走GⅡ組の前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

昨年のランフォザローゼスはセントライト記念から毎日王冠というローテだったが、これは例外。

ほかを見ていくと、札幌記念【1-1-0-7】と中山記念【1-0-1-0】が有力ながら今年の札幌記念1着ノームコアは天皇賞(秋)とエリザベス女王杯両にらみ、2着ペルシアンナイトはGⅡに昇格した富士S、3着ラッキーライラックはエリザベス女王杯直行といずれも予定が出ており、今年は不在。このデータは来年に持ち越しだ。

前走との距離比較別成績(過去10年)ⒸSPAIA

このままでは少々お粗末なので、角度を変えてみる。前走との距離比較をすると、同距離(前走1800m戦)【4-0-4-12】が最有力。こちらも3歳【0-0-0-2】を除くと古馬は【4-0-4-10】勝率22.2%、複勝率44.4%。

なお、今回短縮【4-4-4-44】は2400mの日本ダービー組など3歳【2-2-0-6】を除くと【2-2-4-38】勝率4.3%、複勝率17.4%で距離延長と同程度になりトーンダウン。古馬の狙いは前走1800m組だ。

前走1800m組の前走レース別成績(過去10年)ⒸSPAIA

その前走1800m組をレース別でみると、エプソムC【3-0-2-8】勝率23.1%、複勝率38.5%が目立つ。想定にはエプソムC9人気1着ダイワキャグニーがいる。こちらは3歳2頭と比較しても人気にはならないだろうが、警戒したい。この夏に去勢、セン馬となった同馬だが、天皇賞(秋)は08年からセン馬も出走できるレースになった。全8勝が東京という屈指のコース巧者だけに、ここを勝てばGⅠ出走への可能性は高まるだろう。

また、3勝クラスながら関越S(1800m)を勝ったザダルも想定に名前がある。2000mからの距離短縮組よりデータ上は優位であり、3歳時に荒天で延期されたプリンシパルSを勝ったコース巧者でもある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。



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