【オールカマー】能力値1位のカレンブーケドールは始動戦で取りこぼす可能性も 距離延長で狙ってみたい穴馬とは?

山崎エリカ

2020年オールカマー インフォグラフィック

ⒸSPAIA

今年もスローペースの可能性が高い

オールカマーは先週のセントライト記念と同距離コースで行われる。セントライト記念は前半5F62秒6-後半5F60秒4のスローペースになったが、これはほぼ必然。中山芝2200mは、スタートしてから高低差約5.3mの最高地点(1コーナー)を目指して上り、後半で最低地点まで下って行くコース形態のため前半が遅く、後半が速くなりやすいという特徴がある。

またセントライト記念に関しては、菊花賞のトライアルという理由も考えられる。出走権利や賞金のある馬、特に始動戦の馬にとっては、本番で最高の走りをするために足りないものを補うことが目的であり、無理に行き切ったり、競らせたりして消耗させたくないという意識も働く。賞金が足りておらず、権利取りが必要な馬も、できることなら余力を残して勝ち負けしたいだろう。

これは天皇賞(秋)のステップレースであるオールカマーにおいても同じことが言える。実際に過去10年でもハイペースになったのは、極端に決め手のないステイヤーのネコパンチが気合いをつけて意図的な大逃げを打った時だけ。とにかく逃げ馬が本気で逃げるか、極端に馬場が悪化するかでない限り、ハイペースは発生しにくい。

今年のオールカマーも逃げ馬不在。今の中山芝コースは、セントライト記念の決着タイム2分15秒0(例年は2分13秒台)が示すように時計を要しているが、それでもスローペースになる可能性が高い。同じくらいの能力ならば、前々で立ち回れる馬を中心視したい。

能力値1〜3位の評価は?

2020年オールカマー出走馬のPP指数


【能力値1位 カレンブーケドール】
昨秋のジャパンC・2着が光る。ジャパンC当日は、ひとつ前のウェルカムSで12番人気のプレミオテーラーが逃げて2着に粘るなど、不良馬場からの馬場回復途上でイン強襲馬の活躍が目立っていた。そういう意味では最内枠から最短距離を通ったこの馬は恵まれたが、ややハイペースを先行策から直線で一瞬抜け出し、あわやの場面を作ったことは評価できる。この時の指数がメンバー中でNo.1のもの、つまり同じ指数で走れれば、快勝できることになる。

また、前走の京都記念は最内枠からつまずき加減で2完歩目が遅く、1〜2コーナーを後方2番手で進めながら外に出して行く形。アメリカズカップが大逃げを打って、かなりのハイペースを演出したことで展開に恵まれたが、2着と崩れなかった辺りに底力を感じる。

ただし、今回はあくまで始動戦。昨秋の始動戦、紫苑Sでは3着と取りこぼしている。強さは認めるが、目標はこの先なだけに負けても驚けない。仮に負けてたとしても、次走以降で評価を落とすことはできない馬である。

【能力値2位 ミッキースワロー】
昨年のオールカマーで2着。このレースも例に漏れず、スローペース。それも超絶スローペースだったために、末脚型のこの馬はステイフーリッシュに先着を許した。しかし、マクリ馬が出現したことで緩みないペースとなった日経賞、天皇賞(春)の近2走では指数を上昇させて、能力値2位にランクイン。

自分から動けない弱みがあるので、前がどこまでペースを引き上げるか、どこまで馬場が悪化するかでこの馬のパフォーマンスは異なってくる。今回、スローペースと想定した場合には積極的に狙えないが、能力値3位のクレッシェンドラヴよりは先に動けるタイプなだけに消去法で浮上。ここでも善戦が濃厚で2、3着くらいならチャンスがあるだろう。

【能力値3位 クレッシェンドラヴ】
昨年の福島記念で重賞初制覇、今年は七夕賞を制すなど、緩みない流れで真価を発揮する後半型の馬。昨年の七夕賞ではミッキースワローとのワンツーを決め、今年の福島記念ではクレッシェンドラヴが勝って、ミッキースワローが3着。好走のタイミングがミッキースワローと類似しているが、トップスピードはミッキースワローよりも遅い。五分のスタートを切ってもなかなか前には行けず、中団の後ろぐらいまで下がっていく面がある。

重馬場の前走七夕賞でも、内枠を利して前に行こうとはしたものの、最終的には中団の後方から。各馬が馬場の良い外へと進路を取っていく中、内から追い上げての優勝だった。ゴールドシップが制した皐月賞のような騙し打ちのような騎乗ができるのは、豊富なスタミナがあればこそ。ただし、スローペースと想定した場合には狙いづらいものがある。最内枠で馬場が悪化したとしても、先行するのは楽ではないだろう。

本命を視野に入れたい魅力的な馬は?

【能力値4位 ステイフーリッシュ】
4走前のAJCCでは、今回と同舞台の中山芝2200mで先行して2着しているように、すんなりと先行できた時に好走歴が多い。切れる脚はそこまでないが、平均的な緩みないペースで流れ込むのが得意。前走の目黒記念もパリンジェネシスとバラックパリンカが競り合ってペースが上がり、ラスト1F12秒前後の脚が要求された中、先行して3着に粘った。この馬よりも前で競馬をした4頭が14着以下に敗れていることからも、強い内容だったと受け取れる。

一転して今回、スローペースとなれば勝ち負けが濃厚。2年前のセントライト記念でジェネラーレウーノを重賞ウイナーに導いたように、このコースを知り尽くした田辺騎手が騎乗するも強み。今回はジェネラーレウーノに行かせての2番手が理想的だが、1年8ヵ月の休養明けとなると、逃げられない可能性もある。しかし、同騎手が2015年のAJCCで重賞ウイナーへと導いたクリールカイザーのようなスロー逃げなら問題はないだろう。本命か対抗に推したい馬である。

【能力値5位 サンアップルトン】
幻のダービー馬サトノジェネシスなど、強豪相手に善戦するなど、3歳春の時点から高い素質を感じでいた。近5走は安定した着順&指数でまとめているように、地力強化を感じさせる。ただ前走の日経賞では、五分のスタートを切ったが、二の脚が明確に遅く、最後方まで下がった。そこから我慢の競馬でスタンド前でも動かず、向正面でも最後方を追走。3コーナーから必死に追ってもジリジリとしか伸びなかったが、展開の後押しがあって4着に浮上した。

もともとテンが遅い面はあるが、前走ほど置かれることはない。前が自滅した分、着順を上げただけで、調子落ちしていたとみている。しかし、その後に休養させたことで調子を取り戻せている可能性が高い。そう考えると食指が動くのだが、この馬は昨夏の復帰戦では、成長分を考慮しても重い20kg増の馬体重で出走し、1勝を上げるのに休養明けから3戦も要してしまったように、本質的に叩き良化型。そこに課題が残る。また、今回がスローペースということを想定するなら、2500m以上の距離でもテンに置かれるこの馬は狙いにくいだろう。

今回の穴馬は?

穴馬となると、長期休養明けの馬に行きたくなるところではあるが、そういった馬は過剰人気になるうえ、案外好走しないのでひと工夫する。能力値上位の馬は自ら動けない馬ばかりなだけに、今回の舞台ならセンテリュオに望みを託したい。

前走のマーメイドSは、逃げたナルハヤに終始サマーセントがプレッシャーをかけたことで、牝馬限定戦としては速い流れ。3〜4コーナーの最内、最短距離を通ったことで展開や位置取りに恵まれた面は大きい。しかし、いい脚を長く使えていたことは事実で、前走内容からもっと長い距離を使ってほしいと感じていた。無理なく好位を取って、ロングスパートできるここは一考したい一頭である。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)のカレンブーケドールの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.1秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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