【オールカマー】ポイントは「重い馬場」と「持続力勝負」 馬場がぴったり合いそうな本命馬は?

坂上明大

2020年オールカマーインフォグラフィック

ⒸSPAIA

カレンブーケドールの不安材料

中山芝2200mという特殊条件の別定戦GⅡにくせ者が集い、秋のGⅠシーズン目前ということで本気度もバラバラ。長距離GⅠ・3勝馬フィエールマンの回避により、さらに力差も縮まった印象だ。参考レースから各馬の「地力」と「適性」を読み解いていく。

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

【京都記念】
週中、水~木曜日に8.0mmの降雨もあったが、それ以上に当日は朝から1時間に2.0~2.5mmほどの雨が降り続いたことで芝・ダートともに重馬場開催。後半になるにつれて内側が荒れていき、好走馬の平均進路は14.3頭目と馬場の綺麗な「外有利」のトラックバイアスとなった。レースラップはアメリカズカップの大逃げで61.1-62.7の前傾1.6秒となったが、2番手以降は62.8-60.7の後傾2.1秒の落ち着いた流れとなった。

2着馬カレンブーケドールは最内枠発走の影響か、行き脚がつかず後方からレースを進める。4角から進出を開始し、直線入り口では勝ち馬クロノジェネシスの直後のポジション。その後はスッと突き放されて2着に終わったが、勝ち馬はその後に宝塚記念を圧勝し、3、4着馬が目黒記念でも3、4着ならまずまずの評価は必要だろう。

ただ今回はドバイ帰国後の復帰戦。加えて、母父Scat Daddyで新馬戦時から馬体重が増えていない点から、成長力もそう期待できない。フィエールマンの回避で地力最上位の評価は妥当だが、オッズ程の期待値は見込めそうにない。

3着馬ステイフーリッシュはスローペースの馬群を引っ張る形。上がりのかかる競馬も合っており、力を出し切っての3着ではあった。今回も上がりのかかる競馬、かつ楽に好位を取れそうな好条件。崩れることはないだろう。

コース替わりでさらに上昇

【天皇賞・春】
降水量0mmの1週間。加えて、夏場のような気候で、当日の含水率はゴール前:10.2%/4角:8.9%と乾燥状態であった。また、前開催で荒れた内馬場の回復が春開催に間に合わず、開幕週から内を避けた競馬が目立ち、当日の好走馬直線平均進路は10.1頭目。モタれ癖のあるユーキャンスマイルや仕掛けが遅れた組は不利な内馬場を走ることになってしまった。

3着馬ミッキースワローは関西遠征を苦手としていたが、今回はうまくいったように感じた。ラスト1Fで上位2頭に粘り負けしたが、これは距離適性の差であろう。中山芝2200mに替わる点はプラス。中山芝中長距離のGⅡ以下では当然力上位の一頭だ。

荒れ馬場のロングスパート勝負

2020年七夕賞 トラックバイアス


【七夕賞】
梅雨時期らしく、1週間を通して雨が降ったことに加え、土曜夕方にもまとまった雨が降り、レース当日も12時に3.0mm、13時に2.0mmの降雨。当日の含水率はゴール前:14.7%/4角:16.0%で相当水分を含んだ馬場状態での競馬となった。さらに、内馬場の傷みも激しく、コーナーでもラチ沿い3、4頭分をあけての競馬。トラックバイアスは「外有利」とみる。

レースラップは逃げ馬こそ後傾0.1秒の平均ペースだったが、4番手以降は後傾2.1秒のスローペース。ただ、1000mあたりからペースが上がり、クレッシェンドラヴは1000~1400mを11.4-11.4で通過。ロングスパート勝負に耐えられない馬には厳しい競馬であった。

1着馬クレッシェンドラヴは母からBold Reason≒Never Bendの3×5のパワーやHyperionの5・6×6・8・8のスタミナを受け継ぎ、本レースの馬場や展開がピッタリ。内田騎手の好判断で距離ロスを最大限抑えた点も大きい。今回も馬場や条件は合いそうだ。

14着馬アウトライアーズは終始荒れた内目を追走。度外視可能。

重い馬場はステイゴールド産駒

◎ステイフーリッシュの母カウアイレーンはキングカメハメハ×Silver Hawkのパワー血統で、2010年ターコイズS(中山芝1600m)の勝ち馬。本馬も中山芝重賞で[0.2.1.0]と崩れておらず、重い馬場も望むところ。同じステイゴールド産駒の○クレッシェンドラヴとともにタフな競馬を激走してほしい。

◎ステイフーリッシュ
○クレッシェンドラヴ

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者40000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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