【スプリンターズS】「差し8勝」「セントウルSの1番人気4勝」など データ的にはダノンスマッシュ好評価

勝木淳

2020年スプリンターズSインフォグラフィックⒸSPAIA

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差し馬、逃げ馬を組み合わせた馬券が理想

秋のGⅠシリーズ開幕はスプリンターズS。舞台は中山芝1200m。2角すぎから4角まで一気に駆け降りるレイアウトで、小倉芝1200mに次いで前半600mが速くなるコース。

おまけに最後の直線には急坂が待ち受け、スピードだけでは押し切れない。短距離王決定戦にふさわしき舞台だ。いつものように新潟で施行された14年を除く過去10年9回分のデータを用いて、その傾向を探っていく。

枠番別成績(過去9回)ⒸSPAIA

6枠【0-0-0-18】は謎としかいいようがない。4、3、4、2人気が含まれるもののほとんどがふた桁人気馬。6枠が来ない理由に合理的な説明がつかず、消しとまではいえない。

6枠以外を複勝率ベースでみると、8枠がやや落ちるものの大差はなく、好走要件に枠順が入るとは言いにくい。だが、勝率でみると4枠【4-2-0-12】勝率22.2%、5枠【2-1-0-14】勝率11.8%と真ん中ぐらいに大きな数字が並ぶ。9回中6回、4、5枠の馬が勝利しているのは気になるところ。

この“電撃戦”はわずかなポジションの差が結果を大きく左右するが、枠に逆らって大きく動く余裕やスキのない競馬になりやすい。「外枠から内側へ入る」「内枠から外側に出す」どちらも容易ではない。インで詰まるリスク、外を回るロス、どちらの可能性も低い真ん中枠は競馬がしやすいのではなかろうか。

脚質別成績(過去9回)ⒸSPAIA

スプリンターズSでの位置取り別成績をみると、中団【8-4-3-42】と圧倒的。9年で8度、中団からひと脚使うような馬が勝利。逃げ馬【0-3-1-5】は複勝率44.4%と、馬券の軸に向くものの勝てない。

登録にあるモズスーパーフレアは軸に最適ながら、単勝勝負は危険かもしれない。先行【1-2-3-25】はさらに冴えず、やはり中山芝1200mはスピードで押し切れる舞台ではない。

ハイペースを追走しつつ最後に差し脚を伸ばせる馬の単勝か、逃げてハイペースを粘りこめる馬を軸にするかだろう。

データはダノンスマッシュ満点評価

次にローテーションの面から掘り下げてみる。

前走レース別成績(過去9回)ⒸSPAIA

主要ステップレースのセントウルSは【5-3-3-40】勝率9.8%、複勝率21.6%と頭数が多く数字は目立たない。だが、馬券に絡んだ頭数はもっとも多く、ここはしっかり検討すべき。

セントウルS組の前走着順別成績(過去9回)ⒸSPAIA

セントウルS組の同レースでの着順別成績を調べると、同レース1着【2-1-1-5】勝率22.2%、複勝率44.4%。2着は【2-1-0-6】勝率22.2%、複勝率33.3%。当然ながら、セントウルS上位好走馬が勢いそのままにというケースが多い。

登録馬からは、ダノンスマッシュとメイショウグロッケに注目。掲示板以下もひと桁着順馬までは馬券圏内に巻き返すケースがみられるので、ミスターメロディ、ビアンフェ、クリノガウディ―あたりまで視野に入れておきたい。

セントウルS組の前走人気別成績(過去9回)ⒸSPAIA

次に、セントウルSでの人気とスプリンターズSとの関係を調べる。

セントウルS1人気馬が【4-0-0-4】、勝率は50%。数字上は3人気以内が有力だ。2着ながら12人気激走のメイショウグロッケはデータ上、本番で再び激走する可能性が低そうだ。

3人気以内だったダノンスマッシュ、ミスターメロディ、ビアンフェはここでもマークしたい。

セントウルS組の前走脚質別成績(過去9回)ⒸSPAIA

セントウルSでの位置取り別で調べると、先行【2-1-3-14】、中団【3-0-0-12】が理想的。逃げた馬は【0-2-0-4】と馬券圏内に顔を出すが、今年はセントウルSを逃げたセイウンコウセイの登録はない。

登録馬ではダノンスマッシュ、メイショウグロッケ、ミスターメロディ、ビアンフェ、ラブカンプーが該当する。さらにキーンランドCも【1-1-4-32】とサマースプリントシリーズのなかでは好走馬を出しているので、調べる。

キーンランドC組の前走着順別成績(過去9回)ⒸSPAIA

キーンランドC組は1着馬【1-0-2-5】を筆頭に、掲示板以上だった馬が好走する傾向にある。

エイティーンガール、ライトオンキュー、ヤマカツマーメイド(除外対象)がそれに該当。道悪、内枠不利な馬場状態だったため、15着に敗れたダイアトニックの取捨は慎重にしたい。複数のデータに該当するダノンスマッシュが最有力ながら、休み明けのトライアル勝利から本番で勝てない戦歴は引っかかる。今度こそ、とも思いたいところだが…。

グランアレグリアの懸念材料

最後にグランアレグリアは安田記念からの直行組。間隔をとったときほど走るディープインパクト産駒の典型ともいえる同馬にとって、直行ローテはむしろプラス材料。加えてこのローテは【1-1-0-6】、15年11人気2着サクラゴスペル、17年1人気1着レッドファルクスと前例があるのは心強い。

しかしながら、この両馬はともに中山芝1200m重賞で1着の経験があった。グランアレグリアは中山未経験。高松宮記念2着という内容から1200m適性がないとは言わないが、不安といえば不安。重箱の隅をつつくような話で杞憂に終わる可能性は高いが、いつもとは異なる中山の馬場は懸念材料。

上がり時計を要するパワー型向きの馬場への適性を考えると、GⅠではどうしても時計が足りないライトオンキューにとって、願ってもない状況ではなかろうか。もっともキーンランドC2着馬は【0-0-0-3】だが…。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年スプリンターズSインフォグラフィック

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