【セントウルS】ダノンスマッシュ重賞6勝目 トライアルホースをついに卒業の時が来たか

勝木淳

2020年セントウルS結果インフォグラフィック】ⒸSPAIA

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いよいよ待望のGⅠ奪取へ

サマースプリントシリーズ最終戦であり、スプリンターズS最重要ステップレースであるセントウルS。焦点はこのふたつの側面のどちらが結果に出るかにあった。

サマーシリーズにかける馬かGⅠに臨む馬か。結果は前走安田記念組のダノンスマッシュが勝ち、2着はマイルシリーズから転戦してきたメイショウグロッケ、3着に安田記念以来のミスターメロディ。スプリントシリーズ組は4着タイセイアベニールが最高で、GⅠ組優位という結末だった。

勝ったダノンスマッシュはこれで重賞6勝目、それも5つの競馬場で6勝というのはすばらしい。ロードカナロア産駒らしい器用さ、舞台を選ばない走りと安定感は一流といっていい。

しかしながら、6勝中5勝がGⅠ直前のいわゆるステップレース。その次走のGⅠでは3着が最高と振るわない。トライアルホースの代表格的な立ち位置に甘んじるわけにはいかない。一流から超一流に進むためにはGⅠタイトルが必須。このセントウルSを勝ったことで、また同じパターンにならなければいいが……。

レースはセイウンコウセイがハナを奪い、大外枠から行けなかったラブカンプーが競りかけ、前半600mは33秒0、先行集団は縦長、付いていける組とそうでない組がくっきり分かれた。ダノンスマッシュは4番手の外で余裕ある追走から一気に抜け出した。勝ち方に余裕があるだけに今度こそと思いたくなる。

2着メイショウグロッケは前半ついていけないなりに中団をキープ。最後の直線はトゥラヴェスーラ、タイセイアベニールとの間に入り叩きあい、挟まれながらもこれらを競り落とし、最後にミスターメロディを捕らえた。中京向きの長く末脚を持続できるタイプ。あまり人気にならない馬で今後もしぶとさを活かせるような舞台では注意したい。

3着ミスターメロディは、本番を見すえたトライアルレースとして理想的なレースだった。ダノンスマッシュの内側で、同馬同様にセイウンコウセイのハイペースにピタリと対応、抜け出して最後に甘くなったのは休み明けの分。

GⅠを勝った舞台だけに復活したのは当然といえば当然だが、休み明けから全開に仕上げず、狙ったレースに照準を合わせる厩舎だけに、この3着は不気味。昨年4着のスプリンターズSに向けてさらに上昇気配となれば一発逆転の可能性は十分ある。

サマースプリントシリーズ、今後への評価

サマースプリントシリーズは北九州記念を勝ったレッドアンシェルがCBC賞3着とあわせ14ポイントで優勝。最終戦での逆転にかけたラブカンプーは16着で、1ポイント加算の13ポイント。あと一歩及ばなかった。

今年のスプリントシリーズは函館SS、CBC賞、北九州記念が2着と0秒3差、キーンランドCが0秒2差と、短距離戦としてはある程度着差をつけたレースが多かった。秋に向けて勝った馬への評価、負けた馬の見直し、巻き返しへの期待などは十分整理すべきだろう。

個人的にはモズスーパーフレアが参戦、自らレースを作った北九州記念は例年以上にハイレベルな一戦だったと考えている。

2020年セントウルS結果インフォグラフィック】ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

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