ルメール騎手が川田騎手に12勝差をつけてトップ 札幌では横山武騎手が大活躍【3回新潟・2回小倉・2回札幌開催終了時の騎手リーディング】

三木俊幸

2020年騎手リーディング争いインフォグラフィック

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2年7か月ぶりに土日未勝利だったルメール騎手

2020年騎手リーディング争い



先週末で夏競馬が終了し、今週末から舞台は中山、中京へと変わり秋競馬がスタートする。その前に、4週間に渡って行われた3回新潟・2回小倉・2回札幌の各開催で活躍した騎手たちを振り返るとともに、2020年の騎手リーディングトップ5の成績についても見ていこう。

騎手リーディングトップ5の顔ぶれは、前開催終了時点と変わらず。トップは132勝まで勝利数を積み重ねたルメール騎手だった。札幌を拠点に騎乗したルメール騎手の日別の勝利数を見ると、2→3→4→1→0→0→2→2。順調に勝ち星を増やしていたが、3週目の8月29日と30日はいずれも0勝に終わる。他の騎手であれば「今週は調子が悪かったな」と思うだけだが、ルメール騎手がJRAで騎乗した週に1勝もできなかったのは、2018年の1月13日、14日の週以来、2年7か月ぶりだった。

2位の川田騎手は、新潟と札幌の変則開催だった前開催では5勝しかできなかったものの、例年どおりの開催となった今開催は13勝をあげて、年間120勝。しかし、ルメール騎手はそれを上回る14勝を挙げたため、その差は1勝広がって12勝差となっている。

3位争いに変動あり

前開催終了時点では武豊騎手と福永騎手が71勝で並んでいたものの、2着の回数が多かった武豊騎手が3位、福永騎手が4位、3勝差で松山騎手も追いかけるなど大接戦だった3位争い。しかし今開催が始まって以降、3→1→1→2→1→2→1→2とコンスタントに13勝を積み重ねた福永騎手が84勝で3位にランクアップした。

プラス12勝と福永騎手に迫る勝利数をあげ、80勝とした松山騎手。前開催は2週間の騎乗停止もあり5位に転落していたが、騎乗停止が明けた8月15日に3勝、16日に2勝をあげて4位に浮上し、その座をキープしている。

対して今開催は6勝と失速気味だったのは武豊騎手。2着が10回と多く、勝てそうで勝てないというレースが続いている。開催最終週に4勝(土曜2勝、日曜2勝)と調子を上げつつあり、小倉2歳Sではメイケイエールで重賞制覇。今後の巻き返しに期待したい。

福永騎手は秋競馬の1週目は騎乗停止となっている。その間に松山騎手、武豊騎手は大幅に勝ち星を上積みできるのか。この先も3位争いから目が離せない。

戸崎騎手が重賞2勝の活躍

ここからは競馬場別の騎手成績を見ていこう。3回新潟開催は7勝をあげた三浦騎手がリーディング。同じく7勝も、2着の回数差で戸崎騎手が2位となっている。戸崎騎手はサトノアーサーで関屋記念、ショックアクションで新潟2歳Sを勝利し、重賞2勝と印象に残るレースが多かった。

その他では6勝の福永騎手が単勝回収率161%、複勝回収率115%。騎乗回数17回と少ないものの、同じく6勝だった横山典騎手が勝率35.3%、連対率52.9%、単勝回収率271%、複勝回収率156%と好成績を残し、存在感を見せつけた。

2回・3回新潟開催を通じての成績では、15勝をあげた福永騎手が2011年以来9年ぶり2回目の夏の新潟リーディング獲得。開催日14日間のうち、小倉で4日、札幌で1日騎乗したにも関わらず、2位戸崎騎手に6勝差をつけての圧勝だった。

リーディング獲得の川田騎手はJRA通算1500勝達成

2回小倉開催は騎手リーディングトップ5に名を連ねる騎手が活躍した。川田騎手と松山騎手による激しい争いは最終週まで続いたが、川田騎手は最終日にアドマイヤザーゲで新馬戦を勝利。今開催の13勝目はJRA通算1500勝となり、メモリアル勝利とともに4年ぶり5度目の夏の小倉開催リーディングを獲得した。

川田騎手といえば、人気馬に騎乗することが多いので、回収率は低くなる傾向にある。しかし今開催は7番人気のフリードを勝利に導くなど、単勝回収率は112%だった。

また3位福永騎手は、新潟でも開催リーディング3位となっており、2つの競馬場で上位にランクインした。単勝回収率167%、複勝回収率114%と馬券的にも妙味があったのに加え、7勝中5勝が2歳戦によるものだった。

ルメール騎手を封じ込めたレースは見応え十分

1回・2回と通じての勝利数ではルメール騎手26勝(2年連続4度目の受賞)に対し、21勝と及ばなかったが、2回札幌開催で15勝をあげてリーディングを獲得したのは横山武騎手だ。

横山武勝利レースと2着馬騎手

単純にルメール騎手の12勝を上回っているだけでなく、15勝中6勝は負かした2着馬にルメール騎手が騎乗していた。着差は全て3/4馬身以内と接戦、強気な騎乗でトップジョッキーを封じ込めるレースは見応え十分で、価値ある勝利だと言えるだろう。

勝利した後に馬の首筋をポンポンと撫でるのは、お馴染みの光景となりつつある。秋競馬ではどれくらい有力馬の騎乗依頼が集まるのか、楽しみでならない。

若手騎手では、存在感を見せたルーキー秋山稔騎手をピックアップしたい。5勝のうち、4勝が6番人気以下で10番人気、13番人気での勝利もあり、単勝回収率は374%と高かった。今後も高配当をもたらしてくれる騎手として注目しておきたい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。

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