【札幌2歳S】白毛馬初の芝重賞ウイナー・ソダシ その可能性と今後巻き返しそうな馬とは

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1、2着の差はほぼなしといっていい
白馬の一族、そのはじまりは96年に生まれたシラユキヒメ。芦毛のクロフネとの間にホワイトベッセル、ユキチャン、マシュマロら白毛のアイドルホースを多く生んでいるが、キングカメハメハとの交配では珍しい白毛のブチ柄を誕生させている。愛らしさ満点のブチ柄はさらなる人気を呼んだ。
その一頭、ブチコが母と相性のよかったクロフネを父に迎え生まれたのがソダシ。こちらは母のようなブチ柄ではなく、祖母シラユキヒメとクロフネの仔と同じ真っ白な白毛。ソダシは札幌2歳Sを勝ち、白毛初の芝の重賞勝ち馬となった。
レースは人気のピンクカメハメハが好発からハナに立った。北海道開催の2歳戦は例年以上に少頭数が多く、このレースは14頭立てで初に近い多頭数競馬。隊列はすんなり決まるかと思われたが、2番手以下はコーナーでごちゃつくシーンもあり、ピンクカメハメハは思うようなペースダウンができなかった。
スタートから12.3-11.0-11.7-12.1-12.1、前半1000m59秒2は2歳馬には厳しい流れ。その後もラップは落ちることなく、3角手前から11.9と再加速。これにピンクカメハメハが後退、1人気バスラットレオンとソダシが抜け出した。
洋芝、厳しい流れからの再加速、ソダシに流れるロングスパート型のクロフネの血が見事にハマった。人気のバスラットレオンを道中からマーク、きっちり捕らえるあたりはセンスと能力の賜物といっていい。前半の突っ込みすぎたペースから最後の600mは36秒9。
洋芝、時計がかかる展開に滅法強い、それがゴールドシップ産駒。昨年ブラックホールが勝った影響もあり、今年は5頭がエントリー。最先着は2着ユーバーレーベン。スタートひと息、道中は最後方。馬に任せて位置をとる戸崎圭太騎手らしい位置取りが結果的に前半の急流を回避した。
3角から大外を一気にまくって、4角ではソダシの外につけるも札幌の大回りなコーナーで大外進出はロスが大きく、馬自身もコーナリングが不格好で4角出口では外に膨れるシーンもあった。最後までゴールドシップ産駒らしい止まらない末脚で迫ったものの、クビ差及ばず。4角で膨れた分ともとれる内容で、今後も条件次第で面白い存在になりそうだ。
レコードの過信は禁物
勝ち時計は2歳レコードの1分48秒2。先週のキーンランドC1分10秒6から大きく回復した馬場、前半の突っこみすぎたペースが影響した時計であり、好位から抜けたソダシ、厳しいペースをまくったユーバーレーベン以下は慎重な取り扱いが必要そうだ。ユーバーレーベンと一緒に動いた4着アオイゴールド、6着ヴィゴーレは最後に置かれてしまったあたり体力負けだった印象を受ける。
ソダシやユーバーレーベンに負けたバスラットレオンは見直す余地はありそうで、同じくピンクカメハメハのペースに巻き込まれた8着ウイングリュックも流れ次第で巻き返しは十分。また、13着ピンクカメハメハも道中ペースダウンしなかったわけだが、折り合いを欠いていたような印象は少なく、こちらも無茶なペースを演出しなければ再度浮上してくる可能性は高そうだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
