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【キーンランドC】昨年僅差の4着だったライトオンキューが本命 高配の使者は「時計のかかる道悪馬場が得意」な対抗馬

2020/08/28 06:00
三木俊幸
2020年馬場適性チャート

ⒸSPAIA

過去10年の結果からは脚質の有利不利はなし

サマースプリントシリーズも終盤戦に差し掛かり、優勝争いを占ううえでも大切な一戦ではあるが、同時に1着馬にはスプリンターズSの優先出走権が与えられるレースということもあり、大舞台を目指すうえでも重要なレースという位置づけにあると言えるだろう。

馬場適性の観点からレースを分析・予想していくにあたり、まずは過去10年のキーンランドCの結果を振り返ってみる。

過去10年のキーンランドCの結果ⒸSPAIA

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2013年は函館開催となっていたので参考外としたいが、それ以外の9年の勝ちタイムは良馬場であれば1分8秒後半、稍重なら1分9秒前半という決着が多く見られる。上がりも良馬場なら34秒前半〜後半、稍重なら35秒前半での決着となっており、洋芝らしく適度に時計はかかっているが、標準的な馬場でのレースとなっている。

脚質面では、1着〜3着まで全ての着順において、逃げ・先行馬が5勝、差し・追込馬が4勝という内訳となっており、ほぼ互角。脚質による有利不利はあまり考える必要はないだろう。

内有利も外も伸びる馬場

続いて先週末の8月22日(土)と23日(日)に札幌競馬場の芝1200mで争われた4レースの結果から馬場傾向を分析する。両日とも良馬場での開催となり、Cコース変わりとなっていた。

8/22・23 札幌芝1200m 勝ちタイムと上がりⒸSPAIA

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1勝クラスの千歳特別はチェアリングソングが1:09.1、上がり34.7、2勝クラスの手稲山特別(牝馬限定戦)はメイショウミモザが1:08.8、上がり34.9でそれぞれ勝利。開催後半に差しかかっても極端に馬場が悪化しているということはなく、良好な馬場状態をキープしている。

8/22・23 札幌芝1200m 通過順位ⒸSPAIA

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3着以内に入った馬の通過順位を見ると、逃げ・先行馬が3勝、2着2回、3着1回と好成績を残している一方、土曜日の3歳未勝利戦では15頭中4角12番手だったメイショウアカイシが2着、千歳特別では12頭中4角9番手だったディヴィナシオンが2着、日曜日の手稲山特別では15頭中4角11番手通過のキャスパリーグが3着になるなど、差し馬の台頭もあった。

8/22・23 札幌芝1200m 直線で通ったコースⒸSPAIA

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最後の直線で内ラチ沿いから何頭目のコースを通っていたかというデータでは、Cコース変わりで最内を通った馬が4頭、内から2頭目が3頭、内から3頭目が2頭と75.0%の割合を占めていた。しかし、先述の差し馬3頭については、メイショウアカイシが内から7頭目、ディヴィナシオンが内から6頭目、キャスパリーグも内から6頭目と外を通って伸びてきていることからも、内外の差がない馬場状態になっていると見てとれる。

しかし今週末の札幌は雨予報で雨量も多そうなので、道悪での競馬は避けられそうにない。そうしたことも踏まえ、キーンランドCは「1分9秒台の決着」「上がりは35秒後半」「外差しも可能」という条件下で好走できそうな馬を中心に狙ってみたい。

昨年以上の結果に期待

ここからは注目馬の適性について馬場適性チャートを用いて詳しく見ていく。縦軸は高速馬場を得意とするスピード型か時計の掛かる馬場に強いパワー型かを示す指標、横軸は上がりの速い馬場に強い瞬発力タイプか上がりの掛かる馬場を得意とする持続力タイプのどちらに分類できるかを表している。

2020年キーンランドカップ馬場チャートⒸSPAIA

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【ダイアトニック】
2走前の高松宮記念では、ゴール前で不利を受けたものの僅差の3着に好走、前走の函館スプリントSでは0.3秒差をつけて快勝している。しかし、高松宮記念は重馬場とはいえ、上がり33.7で走れる馬場状態だったこと、前走は洋芝ながら1:07.5、上がり33.9と高速決着の舞台だったことを踏まえると、道悪で上がりのかかる馬場になることはマイナス材料。力上位ではあるが、割引が必要だ。

【ライトオンキュー】
昨年のキーンランドCでは後方追走から大外を回して4着。ダノンスマッシュやタワーオブロンドンと僅差のレースを見せた。その後、京阪杯で重賞勝利を飾っており、力をつけていることを証明した。今年3月にはドバイ遠征を行ったが、レースが中止となり無念の帰国。帰国初戦の函館スプリントSでは6着に敗れたが、前走のUHB賞を1:08.8、上がり34.4で完勝しており、調子は上がっている。前走と昨年のキーンランドCのレースぶりを見る限り、札幌コースと時計のかかる馬場への適性は高いので、昨年以上の結果に期待する。

【フィアーノロマーノ】
もともと1400m〜1600mを中心に使われ、阪神Cと阪急杯2着という実績がある。力をつけてきて速いタイムの決着にも対応できるようになっているが、重賞で馬券圏内に好走した時の上がりは34.3〜34.8と平凡なタイム。それだけに高速馬場になるよりは、上がりのかかる条件は味方する。前走の函館スプリントSは初めての1200m戦だったが、前残りの展開で差してきて4着と内容も評価できる。

【イベリス】
同馬の1200mでのベストパフォーマンスは、昨年のセントウルS。1:07.3、上がり34.0を使って3着、勝ち馬は後のスプリンターズS優勝馬のタワーオブロンドンだったことを考えると評価してもいい。しかし、開幕週で1:06.7のレコードがマークされるほどの高速馬場だったので、今回のような時計、上がりともかかる条件が合っているタイプとは思えない。

【ダイメイフジ】
前走の函館スプリントSは、楽にハナを奪って2着と久しぶりに好走した。今回も逃げることはできそうなメンバー構成ではあるが、他にも先行する馬が多いので、楽な競馬をするのは難しいと考える。とはいえ、過去には控える競馬でも結果を残しており、時計がかかる馬場は歓迎なので、最後の一頭として押さえておく。

【エイティーンガール】
北海道での近2走はいずれも7着と結果が出ていないが、5走前のファイナルSは1:09.5で勝利、4走前のシルクロードSでも1:09.0で2着となるなど時計のかかる馬場で好走した実績がある。2歳時には重馬場で未勝利戦を楽勝しているので道悪適性は高く、配当妙味もあるので、まさに今回が狙い時だ。

【ビリーバー】
前走のアイビスサマーダッシュでは、後方から馬群を割って追い込み3着と見せ場を作った。1200m戦の成績は[4,3,5,12]だが、時計のかかる条件での好走が目立つ。今回も乗り方次第では、再び馬券圏内に好走することは可能だろう。

▽キーンランドC予想▽
◎ライトオンキュー
○エイティーンガール
▲フィアーノロマーノ
△ダイアトニック
×ビリーバー
×ダイメイフジ

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。