【北九州記念】快速馬集結でペース激化は避けられない 京大競馬研は差し馬の台頭に期待

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大混戦の短距離戦
8月23日(日)に小倉競馬場で行われる北九州記念(GⅢ・芝1200m)。高松宮記念1着のモズスーパーフレア、アイビスサマーダッシュの優勝馬ジョーカナチャン、昨年の北九州記念を勝利しているダイメイプリンセスなど、好メンバーが揃い激戦模様となっている。今年は変則開催の為、開幕2週目に行われる北九州記念だが、例年と比べてどこまで傾向が変わってくるだろうか。過去の北九州記念の傾向も踏まえつつ、他の面からも予想していきたい。

まずは、北九州記念の過去10年の3着内馬について、コーナー通過順を見ていく。逃げ馬は過去10年で1頭も3着以内に入っていないのに対し、3角10番手以下の馬は6勝、2着3回、3着3回と12頭も3着内に入っており、差し決着になりやすいと言える。これは開催後半に施行されていることだけではなく、アイビスサマーダッシュからの転戦が多く、快速馬が集まりやすいことが影響しているだろう。
しかし、先行馬が壊滅しているわけではなく、3角3番手以内だった馬も7頭と番手から粘り込んでいる例もある。特に前半3Fが32秒台後半から33秒かかったときには、いずれも3角5番手以内を追走していた馬が粘りこんでいるという傾向が見られた。
開幕2週目の傾向は?
上述したように、例年の北九州記念は差しが決まる傾向が見られたが、今年は開幕2週目の日曜日に行われる。そこでクラスは異なるが、開幕2週目の日曜日に行われた芝1200m特別戦のコーナー通過順を調べてみた。

開幕から時間が経っていないだけに、過去10年の北九州記念の傾向と比べて先行馬が残っている。4角先頭の馬が4頭も3着内に入っており、番手からの押し切りも目立つ。とはいえ、後方待機組も十分圏内に加わっており、開幕週のような逃げ馬天国というわけではないようだ。
これら二つのデータから、今年は開催前半のため前残りにも警戒が必要だが、快速馬が集結しており差し馬にも十分チャンスがあると考える。

最後に、過去10年の北九州記念における性別成績を調べてみた。牡馬が【4-4-4-78】で勝率4.4%、複勝率13.3%であるのに対し、牝馬は【6-6-6-57】と勝率8.0%、複勝率24.0%とかなりの好成績だ。すべての年で牝馬が少なくとも1頭絡んでおり、牝馬には常に注目しておきたい。
本命はタイセイアベニール
以上のデータ等を踏まえ、タイセイアベニールを本命に推す。前走のCBC賞では、完全に前残りの中で、後方から進路を探すロスがありながらも追い込んでの4着は価値が高い。近走は競馬場を問わず好走を続けているので、初めてとなる小倉も問題ない。また今年は、モズスーパーフレア、ジョーカナチャン、ラブカンプ―という快速牝馬が揃い、流石にハイペースは避けられない。そのため、いくら開催前半とは言え後ろからの差しが届くと考え、充実一途のタイセイアベニールが差し切っての重賞初制覇に期待する。
対抗にはジョーカナチャンを挙げる。前走のアイビスサマーダッシュでは、千直王者のライオンボスを降して勝利、非常に強い内容だった。また3走前の北九州短距離Sでは、重馬場で完全な外差し馬場の中、ハイペースで飛ばして5着。最後まで粘ったのは強さの証拠だ。前に行く馬の中では、この馬が一番粘れるとみての対抗評価とする。
3番手はダイメイプリンセス。この馬は典型的な夏馬で、北九州記念では一昨年が2着、昨年が1着とコース相性も抜群だ。前走のアイビスサマーダッシュは、最後に差は詰めているが前が止まらなかった。叩いての上積みもあり、前が止まる展開なら差しが届きやすくなる。斤量56キロが嫌われて人気しないなら狙ってみたい。
以下、3歳馬で斤量51kgと未知の魅力があるカリオストロ、小倉で重賞勝利があり復調気配のあるマイネルグリット、近走は安定した成績を残しているトゥラヴェスーラ、CBC賞は位置どりが後ろ過ぎて届かなかったアウィルアウェイまで印を回す。
モズスーパーフレアは、5か月の休み明けに加えて56.5kgを背負わされ、実質トップハンデだ。激流が想定される今年において、休み明けでトップハンデとなれば、流石に最後に脚が上がりそうだ。人気するのであればバッサリ切ってみたい。
▽北九州記念予想▽
◎タイセイアベニール
〇ジョーカナチャン
▲ダイメイプリンセス
△カリオストロ
×トゥラヴェスーラ
×アウィルアウェイ
☆マイネルグリット
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
