【小倉記念】サトノルークスは危険な人気馬 京大競馬研究会の本命は開幕週の馬場が向きそうなアールスター

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開幕週の小倉の時計に注目
いよいよ夏も本格化し、暑い日々が続いている。体調管理には十分に注意していきたい。今週予想するのは小倉記念。近年のなかでも、レベルはかなり低いメンバー構成となりそうだが、馬券的には面白いレースであるので、しっかりと予想していきたい。
次のデータは、過去10年の小倉記念の1~3着だった馬の4角順位を勝ち時計別に分けたものである。

勝ち時計が1分58秒以上になった時は、馬券に絡んだ12頭のうち6頭と50.0%が4角7番手以下で通過しており、差し追い込みも決まりやすい。その理由としては、時計がかかれば先行馬も比較的バテやすく、バテない追い込み馬が能力を発揮しやすくなるということがあげられる。

しかし、1分57秒9よりも速い決着となった場合、4角7番手以下から馬券に絡んだ馬の割合は、18頭のうち3頭で、16.7%と厳しい数字となっている。比較的に分かる。ある程度のペースで流れて時計が速い決着になると、先行馬がそのまま粘りこんでいることが見てとれる。
特に今年は、開幕週の馬場で天気も晴れ予報だ。今年の小倉記念の出走馬を見ると、ミスディレクションをはじめ、ショウナンバルディ、ノーブルマーズ、タニノフランケルなど先行馬候補が多く、一見ペースが速くなりそうだが、ノーブルマーズやタニノフランケルに関しては近走の競馬から必ずしも先行するとは限らない。そうなると、序盤のポジション争いは思った以上に速くならず、平均ペースでレースが流れると予想する。時計勝負に強く、ある程度前につけられそうな馬を中心に重い印を打っていきたい。
軽斤量で展開も向きそうな3頭
◎アールスター
近2走は、ゲートに入るのを嫌がる面を見せており、本来の能力を発揮できておらず、3走前のサンタクロースS(3着)は、直線で前が壁になってしまう不利があった。それが無ければ、勝っていたという内容である。特に注目したいのは、小倉競馬場で行われた5走前の英彦山特別だ。時計1:59.4はクラスを考えると優秀で、レースラップは、12.6 - 10.6 - 11.8 - 12.7 - 12.3 - 12.1 - 12.3 - 11.8 - 11.4 - 11.8と最初の2Fが速く、終盤も速いラップでまとめている。その流れをアールスターは道中早めに仕掛けて完勝した。このことから、終始速い脚を持続できる能力があるということが考えられる。開幕週の馬場で、ミスディレクションなどが淀みのないペースを作れば、アールスターの能力が発揮されそうだ。おそらく、中団からの競馬となるだろうが、英彦山特別の勝ち方も中団から早めに仕掛けての完勝だったので、問題はないだろう。今年は、他の出走馬のレベルが低調であり、人気も考えると面白い一頭だ。
○ランブリングアレー
3歳時は、フラワーC3着など素質を見せていた馬で、古馬になって素質が開花しつつある。2走前の糺の森特別(1着)は内有利の馬場を唯一外から差し切って勝利しており、強い内容だった。昇級初戦となった3勝クラスの垂水Sも危なげなく勝利し、勢いは十分。ディープインパクト産駒らしく、休み明けのフレッシュな状態の方がパフォーマンスは高いので、今回は垂水Sから約1か月半と間隔が詰まっている点は少し気になるが、今回の手薄なメンバーならやれそうだ。
▲ショウナンバルディ
前走の阿武隈S(13着)は馬場が悪く、外が伸びる馬場の内を先行しての凡走であるので、悲観する内容ではない。時計の速い決着は得意で、先行力もあるので開幕週の速い馬場は合うだろう。3走前の明石特別は、春の阪神開催での時計の速い馬場で12.6 - 11.7 - 12.2 - 12.2 - 12.1 - 11.7 - 11.6 - 11.6 - 12.1 - 11.9という、ラスト5F目から終始11秒台を刻む速いラップを持続するレースで好走している。こちらもアールスター同様、格上挑戦にはなるが、先述したように今年のメンバーレベルの低さや53キロという斤量を考慮すると、買える一頭のはずだ。
1番人気想定サトノルークスの評価は?
菊花賞2着馬で、1番人気が想定されるサトノルークスの取捨については、当日の天候次第だろう。ともに2着に好走したセントライト記念、菊花賞はどちらも上がりのかかる展開だったのに対して、日本ダービーや皐月賞のように高速展開には全くついていけていない。
血統的には、母がリッスンでサドラーズウェルズを内包していることからも、馬場が悪いほうが向くのは明らかだ。そして、先述した勝ち時計のデータから、脚質的にも開幕週の良馬場で時計が速い決着になると危険と見る。加えて、前走の鳴尾記念(8着)も重賞とはいえ、勝ち馬と1秒離されている馬が1番人気だと、買いにくいだろう。
小倉記念2020 京大競馬研究会予想
◎アールスター
○ランブリングアレー
▲ショウナンバルディ
(文 ケータロー)
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
