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【北九州記念】1人気【0-2-1-7】、逃げ馬【0-0-0-10】など 当日まで覚えておきたいデータ

2020/08/16 17:00
勝木淳
2020年北九州記念データインフォグラフィックⒸSPAIA

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人気馬不振、8枠の中穴に要警戒

サマースプリントシリーズでもっとも難解だと個人的に感じるレース、それが北九州記念。そうはいってもスプリント路線は核になる馬がおらず、オッズが割れやすい。また秋のGⅠスプリンターズSは過去10年セントウルS組5勝、キーンランドC組2勝、安田記念組1勝、CBC賞1勝(残る1勝は香港)で北九州記念組は【0-1-0-11】。

あくまでサマーシリーズ全力投球組が大勢。ハンデ戦でもあり、人気順を予想することすら難しい。ただ今年は高松宮記念馬のモズスーパーフレアが出走想定にある。1人気は決まりだろう。

ところが……

人気順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

データは過去10年間のものを使用するが、1人気は【0-2-1-7】でなんと未勝利。これは大変だ。モズスーパーフレアは消しなのか。いやいや流行りのバカラ理論じゃないが、こんなデータで簡単に消してしまうと、あざ笑うように勝たれる可能性がある。

それでもデータをみれば、過去10年で1人気は2着2回、3着1回しか馬券に絡んでいないのだ。最後に1人気が勝ったのは08年スリープレスナイト。次走スプリンターズSを勝った。

一方で6人気【2-0-2-6】、8人気【4-0-0-6】、9人気【1-0-0-9】と6人気から9人気が7勝。10人気以下から2、3着馬も出現、17人気まで馬券に絡み、いよいよ3連系馬券的中は至難の業といえよう。

枠番別成績(過去10年)ⒸSPAIA

次は枠番別成績。勝ち馬が出ていないのは7枠のみで枠順に大きなバイアスはない。とはいえ8枠【3-1-3-20】は気になるところ。ほぼ多頭数で行われるレースであり、8枠は3頭入るケース多く、頭数が多いのは確かだが、この3勝は8、8、9人気といずれも上位人気ではなかった点には注目したい。

人気順別でも触れた6~9人気のレンジにぴたり重なるので、8枠にどんな馬が入るのか、枠順が確定し、前売りがはじまったら要チェックだ。

脚質傾向から見えてくるものは

それではここからはもう少し具体的に好走パターンを探っていこう。

前走との距離比較別成績(過去10年)ⒸSPAIA

1200m戦では同距離と距離短縮組(1300m以上)が多く、1000mか1150mしか該当しない距離延長組が少ないという前提で考えると、同距離【5-6-6-83】、短縮組【0-1-1-18】、距離延長【5-3-3-37】と短縮が少なく、延長が多いのは北九州記念特有の現象。

これは7月にサマースプリントシリーズのアイビスSDが行われていることが関わっている。アイビスSD組は【4-3-3-37】だから1着1頭をのぞきすべて該当。ちなみに例外的な1頭はルミエールS(現在の韋駄天S)以来の出走だった11年トウカイミステリー(8人気)。前走が新潟直千か1200m戦だった馬に注目しておきたい。

脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

北九州記念の脚質別成績をみると、逃げが【0-0-0-10】と大不振。スピード任せに逃げる競馬はオーバーペースを生みやすいようで先行も【3-5-3-30】と勝ちきれないケースが目立ち、中団から差す馬が【6-4-4-55】と好走する。

競馬は基本的にペースを握る逃げや先行勢が有利な競技だが、北九州記念は例外。どうにもハイペースを味方につける差し馬の逆転が多い。

 今回中団組の前走脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

中団から差した馬がその直前のレースでどんな脚質だったのか。前走も中団だった馬は【2-2-1-25】と好走例もあるが、多くはない。

北九州記念で中団だった馬のうち前走が後方だったのは【3-0-2-11】勝率18.8%、複勝率31.3%。実際のレースで中団から競馬をするかどうかは自ら事前に予想せねばならないが、ひとまず前走後方だった馬のなかに中団からレースをして好走する馬がいるのは事実だ。

今回中団組で前走は後方だった馬の前走着順別成績(過去10年)ⒸSPAIA

北九州記念で中団から競馬をした馬のうち直前のレースで後方だった馬【3-0-2-11】、これをもう少し解明したい。そこで前走着順別成績を。

後方から競馬をして好走した馬は皆無で前走6~9着【3-0-0-3】、10着以下【0-0-2-4】から巻き返していることがわかる。前走6~9着は11年8人気1着トウカイミステリー、13年6人気1着ツルマルレオン、19年9人気1着ダイメイプリンセスが該当。10着以下は10年6人気3着サンダルフォン、14年17人気3着カイシュウコロンボが該当する。

まとめると前走6着以下で後方からレースをした馬のなかに北九州記念で中団あたりから競馬をして好走する馬がいるようだ。

前走脚質別成績(過去10年)ⒸSPAIA

では、前走脚質別成績をもっと全体的にみる。北九州記念の直前のレースでどんな脚質だった馬が好走したのか調べた。

前走逃げた馬は【0-2-1-17】とやはりよくない。先行した馬は【3-3-3-38】で中団だった馬【4-4-3-56】を率では上回ったものの、優位とはいえない。で、もっとも勝率が高いのは先述した前走後方だった馬【3-1-3-26】の9.1%。後方だった馬が強いあたりがややこしさの内情だろうか。

前走高松宮記念を逃げたモズスーパーフレア、大丈夫だろうか。自身は19年に出走、4角3番手と先行して2人気4着だった。さて今年は……。

斤量別成績(過去10年)ⒸSPAIA

ハンデ戦の斤量別成績は背負った組、つまり実績馬に優位なデータになることが多いが、このレースは55.5キロ以上【1-1-3-34】と振るわない。52~53キロ【4-6-3-37】、54~55キロ【5-3-3-45】とこの範囲が好走パターンといえよう。

北九州記念は全体時計が速い。いわゆる、スピードレースになりやすい傾向から背負わされた馬よりやや軽い組がよく走る。では軽ければいいのかというと、51キロ以下は【0-0-1-22】なので、軽量の格下馬では勝てない。

波乱は人気の盲点になりがちな北九州記念であれば好走できそうな実績馬などにいそうである。予想センスが大いに求められそうだ。だから私には特に難しく感じてしまうわけか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。

2020年北九州記念データⒸSPAIA